angels in the brain

おさないひかり

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おさないひかり

最近の記事

風上

ばかみたいだけど14歳のアイドルが「お母さんに会いたいときもあった」と泣く動画を見てひどく動揺した それを何百回も思い出して心臓をめちゃくちゃにされたようになって泣いている お母さんに会いたい気持ちをわたしは知らないことがつらい お母さんに会いたいってどんな気持ちなんだろう こんなことを書いてしまったのをお母さんが知ったらひどく悲しんでもう二度とわたしに会いたくなくなるかもしれない お父さんお母さんごめんなさいと思う時間はそうではない時間を均一に覆ってしまうように強い わたし

    • 毛並み

      ‪この間ひとりで喫茶店にいたら、大学生くらいのきれいな女の子たちが入ってきて隣の席に座った。久しぶりに会ったようで、飲み物を待ちながら近況を報告し合っていた。その会話の中に、ふざけんな、は?意味わからん、ありえん、顔やば、黙って、みたいな攻撃的な言葉がたくさん含まれていて、わたしは隣でなんだか肩身が狭く怖いような気持ちになってすこし早めに店を出ることにした。 ああいう風に互いを貶しあって楽しそうにじゃれている場面に遭遇するたびに、あーわたしはこれを通ってきてないんだなーという

      • 5/11

        だんだん人と会えなくて寂しい気持ちとか今日は何もできなかったみたいな焦りの気持ちがほとんどなくなって、駐車場の日陰に座って勉強したり風が吹いてあちこちの方角から違う花のにおいがするだけで大丈夫になった。こんな気持ちのまま夏がきて秋がきてまた冬がきたらどんなにいいだろう。鏡のような秋を最後に見たのは17歳だったと思う。あれが10年前の遠さなのか、時間は過去から未来へ流れていくのではなくて、未来からきて現在を通り抜けて過去へ乱反射していると感じる。そのほうがしっくりくる。傷がたく

        • 4/23

          少し前から気分のむらがすごくて予想してコントロールすることが全くできない。さっきまでちょっと散歩しようかなとかうきうきしてたのに糸くずのようなきっかけが次々に連鎖して爆発して思ってもないようなことを言いそうになる。思ってもないというのは、そのときは確かに思っているんだけど、時間が経てば忘れて気にならなくなるようなことがその瞬間何百倍にも拡大されて目の前が原型がなくなったそれでいっぱいになってるような感じ。ステロイド飲んでたときに出ていた副作用に似てるからいわゆる躁鬱の状態なの

          4/29

          4月が終わる、4月が終わるんだって毎年思ってる気がする。でもどの4月も思い出そうとするとねじを逆に回されるような不穏な負荷がかかる。4月が特別なんじゃなくどの季節も同じで、思い出すときにはもう思い出の形に整えられていて、そっくりそのまま出てくるなんてことは一度もない。あれみたいだ、オーブントースターのつまみがジリジリ音をたてているときの、まだあと何分か残っているのに無理やりつまみを0にしようとして、音が早くなるあの感じ。悪いことをしてるみたいに、もう夜でもそんなに寒くないねと

          4/24

          寝てないのでどこから今日か分からないまま今日になる。寝てはいるのだけど、1時間くらいの短い眠りが3、4回やってきて、船酔いみたいに気分が悪くなって目が冴えてしまう。そういうのが何日か続いたあとに20時間くらい眠る、というサイクルを繰り返している。なので本当にどこから今日なのかよく分からない。健康のような、そうでないような気がする。もともと食事がそんな感じだから、合っているかもしれないと思うようにしている。犬のようだなと思うけど、犬だって家で人間と暮らしていれば夜に自分の寝床で

          日記

          ‪頭がいっぱいいっぱいすぎて2日だけ新潟に帰ってみてたんだけど、ますますいくつかの気持ちが分離しただけで何かがよくなったわけではない 「元気そうでよかった」と言われたので元気そうではある 何かをよくしたいと思っていたわけでもないはずだけど、もうすっかり稲刈りが終わっていたのは少し寂しかった それでも外に出ると稲穂のくすぐったい粉っぽいにおいの空気がゆっくり動いている 母はもう10月なのに暑いなんておかしい、毎日忙しくてかなわない、と言っていた たまに帰るたびに部屋の間取りや調

          2/1 02:25

          ‪人と話してるときが一番静かでそうじゃないと頭の中がうるさすぎる。天使が100万匹飛び交ってる。天使と言えば聞こえがいいがそれは虫でも星でもなんでも構わない。自分と同じくらい自分のことを考えてる、自分と同じ脳みそを持った人と永遠に自分の話をし続けられたらいいのに。そうすればずっと静かでいられるのに。歳をとるほど感情の種類が増えてすぐにこの喉の奥のかたまりが何なのかを知ることができなくなってしまう。家に帰りたい。もし家があるのなら。外は寒くて寂しい。わたしの体がここにあることだ

          ひみつの舟を出す

          こないだ向子ちゃんと会って、わたしたちは生きてるから気持ちや考えも変わるし、何年も前に分かったことが今も同じように分かるとは限らないよね、と言う話をした。彼女はどんどん進んでいて、今はもう300年のヒントを一緒にやったあの場所にはいない、懐かしく感じる、と言っていた。そのときわたしはなんとなくそうだよね、と相槌を打ったけど、わたしの場合は少し違うなとも思っていた。その気持ちを何日かほったらかしにしていたので、今少し考えてみたくなって書いている。 わたしにとってあの水道橋の路

          ひみつの舟を出す

          忘れる水

          歳とるとみんな賢くなってくのは自然なことで、もういかに賢くならずにいられるかということしかないんじゃないか。生きること、死ぬことに直接触るような境地まで人を連れて行ってくれた人たちが、気付けば生活のために丁寧な仕事をするようになるのは見ていて切ない。きれいな身なりをして、写真の中で微笑んでいる。そこはとても安全で、とても遠い場所に見える。みんな忘れていく。わたしももうあまり思い出せないことが多い。忘れなくてはお金は稼げないし、忘れなくては幸せになれないのだとしたら、これからど

          日記

          写真貼れるんだ。 高校生のときやってた日記サイトのこと急に思い出して、まだあんのかなと思って調べたらまだあった。無知で可愛くてなんかよかった。 サマーバケーションインマイヘッドという本を19歳のときに作って、それが中原中也賞の最終選考にうっかり残って、それでいままでこうやって書いたりしてるんだけど、サマーバケーションという本はそのサイトの日記をまとめた本だったんだ。わたしの10代をパッケージしておきたいと思っていた。もうこんな気持ちは手放さなくてはいけないと気付いていた。

          ひとりぼっちの宇宙

          ‪今日、詩集を買ってくれたという、釧路に住んでいる女の子がお店に来てくれた。わたしは彼女の注文にちょうど根室から帰ってきたときに気付き、釧路へ送る封筒を買ったので、その封筒に「ついこの間根室へ行きました」というようなことを簡単に書いた。そのことを話してくれた。 300年のヒントを読んで、何百年もあとに石碑を見つけて読んだような気持ちになりました、というようなことを言ってくれて、ああ、あの感じ、あのずっと前から知ってる感じ、あれは他の人にも伝わるんだと思って、なんだよ、みんな早

          ひとりぼっちの宇宙

          本当に速くて遠い

          本当に速くて遠くで燃える火のように 誰も知らない涼しくて暗い場所のことを考える 本当に速くて遠い永遠

          本当に速くて遠い

          お湯

          今日、2年前に出した「300年のヒント」という詩集を買ってくれた人から、「からだとこころのすき間にお湯が入ったようになる」というところがよかった と言われて、そんなの自分でも忘れてたからドキッとした。 からだ と こころ の すき間 と言われたとき、すっと自分のからだとこころが剥離してすき間が空き、 に お湯 と言われて、ちょうどお風呂くらいの温度のお湯がつーっと入ってくるのが分かった。 4年前くらいに書いた。大学で夜遅くまで作業をしていて、ひとりで、本当にさみしく

          書くひみつ

          書いているときが好きで、できることならずっと書いていたいと思っている。書いているとき、わたしはふだんの生活で無視している自分の姿が見えてきて、まるで高速で飛ぶ光の玉になったような気がしてくる。書いていると、自分が何を知りたかったのか、何を書きたかったのかが分かってくる。日本語のキーボードの画面をタップしながら、わたしの身体はよじれたり弾けたりする。その運動の中で、一筋の光がすっと射すようにわたしが何を思っていたのかが分かる。それはダンスのようだと思っている。つらいとき、かなし

          遠く

          泣き出しそうな、水面の輝きのようなそんな気持ちがずっと遠くにあって、ここからはよく見えず、歩いてそこまでいく元気もなく、ただ無視してここで何にも言わずに寝て起きて仕事してまた寝る