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お留守番のお弁当

「あっ!」

運転しながら、わたしは叫んだ。

「あんたのお弁当忘れた……」


今日は
朝からニンニクを刻み、
玉ねぎと椎茸を刻み、
じゅうじゅうしてる間に大豆ミートをお湯で戻して、ジャガイモをみじん切りした。

それを全てフライパンにいれ
ぐつぐつさせながら火を入れる。

その間に顔を洗い、
食洗機に食器を突っ込み、
化粧を施し、朝ごはんをかき込む。

キーマカレーが完成する頃には、
わたしの身支度も完成した。


実は昨晩、
オンラインで仕事中、
息子から手紙が届いていたのだ。

明日、雨みたいだから
駅まで送って欲しい

あとお弁当つくるときに
ママのほうが早く起きると思うから
一緒に起こして。

ハム

書き殴り過ぎて,ハルがハムに見える…
明らかにハムで間違い無いと思うけど。

実際の文字…

うん、ハムだよね。


で、
いつもはチャリだから7:20に見送ればいいのに、
駅まで送るために6:55に2人で家を出た。


思ったより車が多い。

「ねぇ、駅まで乗せるけど、
 あんまりにも時間がかかったら
 最後まで行けないからね」
「うん,気にしなーい」
「ママは次の仕事があるから、7:20には帰り道になるんだからね」
「わかった」


10分走ったところで気づいた。

あっ!
お弁当!!

「お弁当忘れた…」
「えっ!?ぼく持ってないよ」
「だよね…取りに戻る時間ない」
「大丈夫だよ、1回くらい昼ごはん抜いても生きていけるから」

途端にキュンとしてしまった。
怒らないし機嫌もそのまま。

あら、なんていい子なの💕
育てた人の顔が見てみたい笑笑

違う違う、キュンとしてる場合じゃない。
現実問題、ご飯どうしよう。
時間も迫ってる…。

「スクールバスの最寄りコンビニまで送るから、ご飯買って行ってくれる?ごめんね」
「いいよー!大丈夫🙆」

と、
バス停から700メートルほど離れたコンビニにおろした。


700円を握りしめ、息子はゆるゆる歩いて行く。
あと20分でバスが来る時間…

親心というか、少しだけ長く生きてるから思ってしまう…
「そんな速度で大丈夫?」
「ねぇ、間に合う?」
「バス来ちゃうよ?」
「ゆっくり選んでたら時間なくなるからね!」
「ちゃんと学校に行くのよ」
「遅刻しないでね!」


あぁ…車の窓を開けて叫びたい。
全部言いたい。
スーツの男性が颯爽と歩く中、コンビニに逆走していく息子。いや、走ってないな。まったりと1人だけ違う時間を進んでいるような息子だった。

こんなにたくさんの人がいる中で、
わたしは、この想いをすべてぶちまけてしまいたい衝動に駆られる。
「大丈夫??まにあうー?」と叫びたい。

でも、
この子なら大丈夫と信じたい。

言いたいなぁ、
信じたいなぁ…
この気持ちの狭間で、信号が青に変わり、
わたしは出発した。


学校、行けたかな?
無理なら連絡くるよね。
スマホあるしね。
バス、乗り遅れても次あるしね。
あの子なら…大丈夫よね。


子どもに浴びせる小言の数が多いほど、
「あなたを信じていないのよ」と言っていることになる。
心配なの、不安なの、って、
裏を返せば、

あなたにはまだこれができないと思うから心配なの。
あなたにできると信じられないから不安なの。
である。

何あったらどうするのよ!
という気持ちは
何かあったときこの子には対応は無理、
と決めつけているんだ。

盲目的に信じるのはやりすぎだと思うけど、
うちの子なら大丈夫というだけの
経験を重ねてきたはずなのだ。


あぁ……この子なら大丈夫と信じることは、なんでこうも怖いのだろうか。


わたしは、
大丈夫だと、ちゃんとわかってる。

何かあった時の対応も
ちゃんと伝えてるし、この子なら大丈夫と思ってる。

とはいえ、
たったこんな数年で…
まだ干支1周しかしてないのに、とも思ってしまうのだ。


子育ては
やっぱりわたしが1番育てられてると思うの。

心配症も過ぎれば過干渉。
爽やかに心配りに収めておきたいなぁ、と
自己反省を込めて書いておこうと思う

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