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新しい時代の指標・KPIって、何だろう? 令和前夜の創業

4月です。春です。
期も新しく、事業を成長させようと頑張られている経営者・ビジネスパーソンの方も多いのではないでしょうか。

1. 指標を研究する会社を作りました

僕もそんな一人です。この4月から、Hakali(ハカリ)という株式会社を3名で共同創業しております。「指標を研究する会社」です。指標は、KPI(Key Performance Indicator)とも言い変えても大丈夫。

↓ロゴはこちら。「ししおどし」がモチーフ。

指標を研究する会社、始めます

↑共同創業したCEOの小川が書いた創業noteです。

「ああ、なんかマーケティングとかのコンサルする会社なのね。。。」

といわれてしまいそうですが、あえて「研究」というコトバを使っています。(※もちろん、マーケティングのお手伝いもやります。むしろやらせてください)

指標とは、そのくらい深くて、とりわけ経営者や管理職など「事業を成長させたい」と考えている人にとっては、大事なものなのです。

 2. なぜ指標が大事なのか

測定できるものは改善できる。 (ピーター・ドラッカー )

測定できないものは制御できない。 (トム・デマルコ)

指標の重要性は、ビジネスの世界では古くから伝えられていました。2人の巨人(それぞれ、マーケティングと、ソフトウェア工学の分野です)奇しくも同じ話をしています。

私がかつて13年働いたリクルートでは、

「それって定性だよね?定量的に言うと?」
   →数字で話せ
「その数字にアスピレーション(大志)はあるのか?」
   →もっと目標いけるよね

という、指標を絡めたフレーズが、若手を恐怖に陥れていたものです。

しかしながら、組織の様々なレイヤーで、共有言語となる数字を語ることは、会社のDNAとして深く刻み込まれ、若手もやがて、後輩達におなじような問いかけを投げたものです。そして、それこそが会社の強みでもありました。

実際に、僕が2001年に入社したときに数兆円あった借金を、わずか数年で返し、健全財政に返り咲きました。社員の目標達成意欲の高さもさることながら、縁の下では、目標となる指標作りが実に巧みに設計されていたからだと考えています。

3. 指標・KPIの効果。劇薬となるべき乗の強力さ。

さて、先の2人の巨人、ドラッカーとデマルコの台詞は、似ていますが実は二つの視点から語られていることにお気づきでしょうか。

ドラッカー「改善できる」→ 実行の視点=メンバー
デマルコ「管理できない」→ コントローラーの視点=管理職

ビジネスで言えば、メンバーと管理職の視点。

つまり、指標は、メンバーと管理職の2者のどちらのパフォーマンスにも影響を与えるものなのです。重要性を実感するために、簡単な算数で考えてみます。

二つの似た会社があるとして、それぞれのビジネスの指標の正確さ・実効性が違うとします。正確さは実際とのズレ、実効性はビジネスへの妥当性と考えてください。

A社の指標・・・100%の正確さ・実効性
B社の指標・・・80%の正確さ・実効性

①実行②管理の両面で、パフォーマンスに影響が出るとすると、最終的な成果は①×②で下記のような結果になります。

A社の成果・・・100%のマネジメント × 100%の実行 = 100%の成果
B社の成果・・・80%のマネジメント × 80%の実行 = 65%の成果

この時点で、パフォーマンスに1.5倍もの差ができます。

加えて、大きな会社であれば、組織の階層の数だけ「べき乗」の影響を受けることになります。3階層の組織では、3乗の3.6倍。大企業ほど指標の影響を受けやすいのです。

さらに、時間の影響も無視できません。管理者とメンバーが、週次・月次の振り返りと改善を行う度に、この差は広がっていきます。毎月べき乗で積み上がった最終的なパフォーマンスの差は、10倍・100倍にも及ぶ可能性もあります。

これが、指標のパワーでもあり、恐ろしさなのです。

ある改善施策が失敗に終わる、などと言ったことよりも、もっと致命的な影響を事業に対して与えかねないのが「指標」のえげつなさです。

それ以外にも、組織のモチベーションや、外部性の確立など、様々な強力な薬効があります。AIでさえも、正しく指標を考えなければ、うまく活用できません。AIは指標・KPIを最適化するためのツールにすぎないのです。が、長くなるので、このあたりは別の機会に。

4. よい「指標・KPI」を設定する方法と問い

では、よい「指標」とはどのようなものか。

よい指標とは、端的に言うと「その数字をコントロールすることで、事業をゴールの状態に持って行けるもの」です。ゴールの多くは、売上だったり、顧客満足度だったり、ビジネスの目的によって異なります。

ただ、これを設計するのは、そんなに簡単ではありません。

指標を作ったものの、それを管理することも、伸ばすこともできなかった、という経験はありませんか?

指標やKPIの設計方法については、教科書的な考え方は記事や本などでも紹介されていますが、実のところ、ビジネスのゴールを実現するためにはそれだけでは不十分なことも多いのです。

例えば、ゴールである売上を、

売上 = 顧客数 × 単価  = ・・・

と分解していったとしても、

・事業内容(サービス内容・課金形態・ターゲット)
・内部環境(会社・組織の状態)
・外部環境(競合・顧客・マーケット・パートナー・社会情勢)

によって、何を「指標」にすべきなのかは変わってきます

DropboxのCOO、 ヤミニ・ランガン氏は、Dropboxの日本とオーストラリアへの進出を考えたときに、それぞれの国で必要なリソースが全く違うことに気づいたといいます。(※)

名著「ビジョナリーカンパニー2」にも、卓越した様々な企業の指標が何だったのかのかが記されていますが、その内容は多様です。

もし、コントロールできない数字を指標にし、それを追いかけることになると、組織全体は疲弊します。動かない数字・意味のない数字を追いかけることは、あらゆる人を絶望的に、無気力に変えます。逆に、効果的な指標を置くことで、ダメだった組織がみるみる変わっていった、ということはよくあります。

それのためにも

・現在の構造を把握。数字そのものではなく、関係性
・今の組織において、コントロールができる要素(できれば競合よりも)
・成果につながりやすく、小さな勝利をビビッドに反映できる要素
・全員が集中できるよう、一つに絞り込む

ということを追究する必要があります。

これは、ビジネスの課題発見と戦略策定そのもの。かつて、ゼクシィnetというサイトを立ち上げたときには、指標に合わせて、事業構造を変えたこともあります。

この数年で、何らかのテクノロジーやインターネットサービスを導入している会社は増えました。経営者やマネージャーが扱うデータは爆発的に増えた結果、指標の設計の難易度は上がっています。

しかし、難易度が上がっているからこそ、うまく設計できれば、より強力に事業をドライブすることになります。

5. 創業の理由。合理的に指標を用いれば、世の中はよくなる。

僕が4年いた、大阪・中津にあるベンチャー企業は、非常に数字に強い会社でした。この会社では、数字への意識が、経営からメンバーまであらゆるところで意識的に行われていました。

企画・開発部門の責任者だった私も、4年間かけて、社内の様々なデータ基盤の統合を行い、DMPやMA、BIなど、様々なツールの導入を行いました。また、変化の多い中で、事業成長のための指標を、優秀なメンバーや経営陣とともに練り上げることができました。

そのせいもあってか、事業部長として入社した当初は40名ほどだったところから、4年で200名ほどにまで成長し、IPOまで実現したことは「中津の奇跡」と言っても良いかもしれません。

もちろん、目標に向けて、社員が一丸となって勝ち得た結果でした。しかし、そこに「徹底的な指標化」が大きな勝因になったのは間違いありません

同じ時間を過ごしても、成長する会社としない会社があります。組織、そして人も同じ。そこに「指標」が与える影響は大きいのです。

ある研究(※2)では、人を最もモチベートさせるのは、マネージャーの声がけでも、派手なイベントでもなく、自分の仕事が「指標」を改善し、進捗を実感することだ、という結果がでています。(実感値としていかがですか?)

コンマリさん流で言えば、指標はココロをときめかせる魔法、なのです。

僕たちがHakaliを創業したのは、意味のある「指標」が何なのかを、お客さまとともに研究していきたいと考えたからです。よき「指標」は、人も、会社も、社会もよくする。

令和の時代に、ふさわしいインジゲーターを持てば、日本もまた、成長していくのではないでしょうか。

そう信じつつ、ハカっていきましょう!

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<参考>
※1 高収益市場を攻略するポイント:Dropboxの2B攻略経験からの学び
※2 The Power Of Small  Wins (Teresa M. Amabile and Steven J. Kramer)

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