実行委員会形式

「実行委員会」という手法の真の価値とは?

イベントのポスターやフライヤーの下の方に、「主催/◯◯◯◯◯実行委員会」とクレジットされているのを見かけます。

この「実行委員会」という言葉の意味、正しく知っていますか?

よく知っている人もいれば、ぜんぜん知らない人もいる。
それが「実行委員会」というものだと思います。

実行委員会形式は、じつは「場づくり」の重要な手法のひとつです。

「カタチだけ実行委員会」の弊害

実行委員会というのは、通常、常設の組織ではありません。
ある取り組みを開催するために結成される、主催者組織です。

主催者であるということは、責任者であるということ。
責任者であるということは、意志決定できるということ。

意志決定したからこそ、その責任を負っています。

実行委員会は主催者組織ですから、その取り組みについて、最終的な責任を担っています。

しかし、世の中の様々な「◯◯実行委員会」のなかには、「カタチだけ実行委員会」がたくさん存在しています。

よくあるパターンは、市区町村などの予算がついているイベントなどの実行委員会です。

実質的に行政が主催・実行しているけれど、ポーズとしては「市民といっしょに取り組んでいますよ」という形を取りたい。

こんな行政側のニーズが、背景にあります。

こういう「形だけ実行委員会」の会議は、予定調和のなれ合いの場です。

結論ははじめからだいたい決まっていて、そこに向けて、通りいっぺんのそれらしい話し合いがなされます。

こういう場では、委員の発言も無責任になりがちです。

実行部隊は他にいるので、文句だけ言っていたり、実現が困難なアイデアを並べたり…。

自分がやるわけではないので、気楽なのです。

僕も(なにかの間違えで)こういう実行委員会に出てしまうと、残念といいますか、なんといいますか、暗澹たる気持ちになります。

「形だけ実行委員会」には、弊害もあります。

本来の意味での、「実行委員会」を作ろうとしても、「形だけ」にばかり出ている人たちが、「それが実行委員会だ」と誤解してしまうのです。

だから、自分が主催者で、自分の責任なのに、「自分は“お手伝”いなのでわかりません」などと、意味不明のことを口走ってしまうのです。

みんなでなにかに取り組むための手法

イベントなど、なにかやりたい取り組みがあって、でも自分だけではできない。むしろみんなでやりたい。

そんなときは、「実行委員会形式」というのは、とてもいい方法です。

実行委員会は、みんなで取り組むための組織の形です。

意志を持つ人たちの知恵や技術やエネルギーを集めて、それを「現場」に注ぎ込むことができる手法です。

場づくりクラス」でも、「会議のやり方」と対にして、この「実行委員会形式」について、しっかり学びます。

この2つの手法の組み合わせで、「主催者」になれるからです。

「みんなでひとつのことに取り組む」というのは、雰囲気の問題ではありません。

そこには、哲学と技術(ノウハウ)が必要です。

しっかり「みんなで決める」手続きを踏めているか。

本当に、みんなで納得して、取り組めているか。

ここを丁寧にやってください。

感動とか盛り上がりとか、いろいろあるかもしれませんが、そういう「意識の高揚感」に惑わされないでください。

そのむこう側に、もっとすばらしい世界があります。

\Question/
あなたは、実行委員会に参加したことがありますか?
そこでどんな経験をしましたか?

長田英史(おさだてるちか)|プロフィール
NPO法人れんげ舎代表理事。「場づくりクラス」講師。まちだNPO法人連合会会長。
1972年、神奈川県茅ヶ崎市生まれ。和光大学経済学部経営学科卒業後、同大学人文学専攻科教育学専攻中退。教育学や心理学、運動論、身体論などを学ぶ。1990年、在学中にかかわった「子どもの居場所・あそび場づくり」の市民活動に学生ボランティアとして参加し、卒業後は就職せず、それを仕事にする。
いわゆる中間支援組織ではなく、自らも現場で活動する「プレイヤー」として、「場づくり」の哲学とノウハウを共有し続けている。
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