社会的価値のつぎ、「感覚的価値」
買ったまま読めてなかった『広告 vol413』を少しだけ読んだ。
ちなみに、これまでに『広告』を買ったことはなかったから、初購入。
今回のテーマは「価値」。
中でも、「現代の千利休」の章が印象的だったので、その章の内容について。
生活者にとっての「価値」の要素は大きく4つある。
「機能的価値・生理的価値」「関係的価値」「社会的価値」「インターネット的価値」。
それぞれ名前からなんとなくその価値の中身は推測できると思う。ただ、「インターネット的価値」のみは他の価値観とは異なる役割で、現代において、他の三つの価値を普及させる役割を持っている。
これまでは、価値を伝える上で大きな役割を担っていたのが「資本」だったけど、現代ではその役目を担っているのが「インターネット」ということ。
だから、個人でも一企業よりも影響力を持つことが可能とのこと。
価値には一応階層があって、
↑ 「社会的価値」
↑ 「関係的価値」
↑ 「機能的価値・生理的価値」
っていう階層になってる。まず、機能的価値・生理的価値を満たして、次に関係的価値を、最後に社会的価値を満たすというような階層構造。
その話の流れで、最後に来る「社会的価値」のその先には何がくるかという話があった。
筆者は「無用」や「遊び」が来るのでは?と言っていた。
今の世の中は課題解決とか、目的的な社会で、「無用」が迎合されるのとは正反対だけど、そうではなくて「無用」なものが価値を持つ時代がくるのではないかと。
意味がないことが価値を持つような時代。
例えばで、ルンバの話。
段差にぶつかってひっくり返ったり、途中で止まってしまう、機能的には失敗な面は、かわいくもあり、それが価値にもなっている。一見無用な機能が価値を生んでいる例。
これについては最近つらつらと考えていたこととマッチした。
ファンがつく = 価値がある って考えると、きっと世の中のサービスや商品が課題解決的だけだったり、効率的なだけではファンはつかない。
それだけでは価値がつきにくい(つかないとは言わない)。
じゃ、どんなものにファンは惹かれるかと言ったら、感覚的なものだと思う。それが「無用だけど心地よいもの」だったり、「遊び的要素」なのだろうと。
ウェブメディアが実際そうで、役に立つ情報ばかりを発信しているウェブメディアは確かに役には立つけど、意外とファンが少ない。
ユーザーは自分の知りたいことを知れればそれで用済み。ウェブサイトから離れてしまう。言わば辞書的な役割。辞書にはファンはつかない。
でも、役に立つ記事と役に立つかはわからないけどなんだか興味をそそられてしまう記事があるウェブサイトは一人当たりユーザーのセッション数が比較的多い。
編集者のこれまでの人生についてや閑話休題的な小ネタだったり。
きっと、有用なものだけだと息苦しさを感じるじゃないかと。
学校の先生だって、きちきちっとしてていつも真面目で優秀な先生もいいけど、どこかちょっと抜けてて、でもいろんな経験をしている先生の方が人気があったりする。
Netflixは最たる例。
社会的価値 → 低額でコンテンツ配信
関係的価値 → テラハ見た?みたいな他者との交流を生む
機能的価値 → 動画配信
っていうように、それぞれの価値では満たしてる。
でも、アマゾンプライムじゃなくて、Huluにも契約しないのは、Netflixがオリジナルコンテンツに年間数千億という莫大な予算をかけてるから。
「遊び」要素に近いかな。でも、少し違うくて、「スタンス」かな?「単に動画配信プラットフォームに収まる気はありません」っていう企業スタンス。そこに魅力というか、価値を感じて契約してる。
余談だけど、Netflixのあなたへのおすすめ機能。あれは最初の頃はよかったけど、最近だと最適化されすぎててほとんどが90%以上のマッチ度で正直うざい。自分にはマッチしないであろう動画も教えてほしい。最適化されすぎると不快。
だから、「あなたへのマッチ度0%」ってコンテンツも表示されてたら面白い。マッチ度0%のコンテンツなんて、見る価値もないコンテンツでしかないけど、なんか気になって見てみる。で、実際にまったく肌に合わなくて「見なきゃよかったー」って後悔したり。でも、もしそーゆう機能を実装したら、それこそ「無用」な役に立たない機能だけど、Netflixはよけいに好きになる。面白い。
社会的価値の次にはそーゆう、個々人の感覚的なセンサーにひっかかるかどうかの要素が絶対出てくる。というか出てきてる。
東北弁風に言えば「いづい」の逆の感覚。
「いづい」ではないものが好まれる価値観。
「感覚的価値」って感じ。
その人それぞれによる、感覚的な価値観。
今までもきっとあっただろうけど、満たされている今の世の中は、この価値観がどんどん加速していくと思う。
それが多様化の源泉にもなるし、すでになってる。
「感覚的価値」に少し敏感になって、その感覚が鋭いサービスとか商品、企業を見つけていきたい。
んで、世の中にシェアしていきたい。
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