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vol.49「〈必読書〉のなくなった世界」(『日本の思想』丸山真男/岩波新書/1961年刊)

vol.49「〈必読書〉のなくなった世界」

みなさんこんにちは。

ひさしぶりに岩波の本ですが、
やはり読みにくいです。

文字小さい、
紙質悪い、
製本あまい。

つまりはコスパ重視。

なりふり構わぬ学びを推奨してるところが、
ジリ貧学生の味方って感じでロックです。

丸山真男、『日本の思想』。

では、どうぞ…。

ひとむかし前は、〈学生の必読書〉として知られていた本です。

戦前戦後期にあたる、日本の政治思想を扱った論文・講演集。なかなか興味深い内容が並んでいました。

日本には、体系的な政治思想をまとめた研究がない(当時)。

その理由などを解説しております。

政治を勉強しようとしてるのに、
いくら本を読んでも要領をえない

そんな人には、新鮮な発見があるかと思います。

⏳⏳⏳⏳⏳⏳⏳

〈学生の必読書〉として「知られていた」と、
過去形で紹介させていただきました。

それにしても、この本を〈必読書〉として喧伝していた人たちは、今はどこにいるのでしょう。

「なにを必読書とするか」は、「学生になにを期待するか」を間接的に表していると思います。

ならば、

もう、政治なんて勉強しなくていいよ!

ってことなのでしょうか。

⏳⏳⏳⏳⏳⏳

少し前に流行った『君たちはどう生きるか』も、
〈必読書〉認定をされていた本です。

あの本は分かりやすい方で、

コペル君はこう生きたけど、
君はどうするの?

という明確な問いかけがなされていました。

それを今一度、いまの若者に突きつけたくて再プッシュしたのでしょう。

ただ、「基礎教養になる」のと、
「流行する」のとはちがいます。

結局のところ、
〈必読書〉として復権はなされたのか。

疑問に感じるところではあります。

これはもはや、
〈必読書〉の定義問題です。

⏳⏳⏳⏳⏳

ともかく自分は現代の学生なので、
現代の〈必読書〉を読んでおきたいところです。

今だったら、なんでしょう。

『多動力』、『新世界』
『革命のファンファーレ』
『脱近代宣言』
『AI vs 教科書が読めない子どもたち』

これでは、Amazonの売り上げランキングと同義です。

しかし、あながちハズレでもない気がします。

〈必読書〉とされている本を読むのでなくて、
みんなが読む本が〈必読書〉になる。

⏳⏳⏳⏳

Amazonで売れているから、
自分も呼んでおこうと思う

これはそのまま、

みんな読んでるから、
僕も読もうと思う

という判断を下していることになります。

じゃあその人は、周りに合わせている能無しなのか。

それとも、〈必読書〉を読み手が決めるのだから、評価の民主化と言えるのか。

それは、個人が決めてよいことです。

⏳⏳⏳

ただ、先ほど挙げた本はどれも

周りに合わせたりなんかするな

というスタンスをとっているように思えます。

これでは

その本を手に取る動機

と、

その本から受け取れるはずの学び

が、矛盾を引き起こすことになります。

この場合は読書家として、
明確な失敗でありましょう。

⏳⏳

そろそろ本稿を閉じることにします。

みんなが読む本は、
きっと良い本なのでしょうが。

みんなが読む本ばかり読んでいては、
自分の知識に”独自性”は生まれない。

キャリア形成とか人材とか、
そういう観点では困った矛盾です。

周りを気にしない

とか。逆に、

〈必読書〉もそうでないものも読む

なんて力業もありうるでしょうが。

これでは「できるかどうか」の問題なので、
わざわざ1000字書いた意味がありません。

ひとつだけ、前向きな結論を残すとしたら、

多くを望まない

ということでしょうか。

結局のところ、

丸山真男、テグジュペリ、アリストテレス
ウェルズ、ホッブズ、夏目漱石…

誰でもいいですが、今読んでいる本の著者と、
周りで急き立ててくる人間たち。

どっちに時間を使うのが有益でしょう。

貴重な時間を読書に使うのは、
ベストではないかもしれませんが。

「他よりはマシ」な使い方だと思うことができたら、それで十分なのだと思います。

端的に言えば、〈必読書〉という表記がよくない。

「読まなかったこと」が損害になったりしないのだから、〈むべき物〉なんてありません。

そうして今日も、
「読めば足しになるかな」って本を読む。

少なくとも無駄では、
不毛ではないはずだと。

自答しながら時間を消費していく。

そんなヒリヒリした生活が、
本の虫には薬であるかもしれません。

(おわり)

新学期です。
読書会サークルを作りました。

意外と、人生とは空疎なようで。

引き出しの少ない大学生から出てくる言葉は、思い出と予定のことばかり。

昨日の飲み会と、
明日のバイトの話で終わり。

それが嫌だから、新しいコミュニケーションを欲しがりました。

同じ思いをした人はいるようで、
少しづつ輪が広がっています。

ご興味あれば、
Twitterからどうぞ。

では、次の水曜日にお会いしましょう。

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東北大学/「エキマエ読書会 by東北大生’s」のオーナー/ 「読書生活のサンプル」をお送りします(毎週水曜日)
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