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vol.53「読書のDOKUSO」(『世界SF全集 16』スタージョン ブラウン 永井淳・小笠原豊樹・稲葉明雄・南山宏:訳/早川書房/1969年刊)

vol.53「読書のDOKUSO」

『未来のミライ』みたいなタイトルになっちゃったな…。

いえ、みなさんこんにちは。

今週はSFです。
…3回に1回くらいSFな気もします。

早川書房の全集が、大学図書館に入っていたのでお借りしました。

中身は、
スタージョン『夢見る宝石』『雷鳴と薔薇』
ブラウン『火星人ゴーホーム』『みみず天使』

全集1冊で文庫本4冊分おいしい。

それぞれの作家の雰囲気を、
サラッと知るにも便利でしょう。

では、どうぞ…。

中身が4つもあるので、
内容の話はしないのです。

先におことわりします。

…ということで。

たしか、この連載の最初の方で、

SF語るなら最低1000冊

なる、暗黙の了解におもねって、

読んだのが何冊目か

をカウントしていたような気がします。

いつのまにか忘れて、
もはや手遅れですが。

🍄🍄🍄🍄🍄🍄🍄

これで良かったと思います。

よく考えると、1000冊って…。

読書というのは、
し過ぎると毒でしょう。

いま、

「dokusyo」

をタイプミスで

「dokuso」(毒素)

と打ってしまって、直しましたが。

それくらい、綴りも意味も近い気がします。

🍄🍄🍄🍄🍄🍄

しばらく前、今年の2月くらいに、
推理小説の読書会に参加しまして。

扱った本は、
ウィルキー・コリンズ『月長石』。

その読書会の空気がなんだか妙でした。

大量に推理小説を読み込んだオタクにしか分からない、ハイコンテクストなジョークが交わされているらしく。

みなさんそれぞれ、自分で自分の発言に笑いながら話しているのです。

どことなく、ジメジメした雰囲気。

🍄🍄🍄🍄🍄

「ハイコンテクスト」なら、
文脈がつながっているので、
まだいいのですが。

自分で笑っちゃっているのですから、
会話がキャッチボールされてません。

素人の僕にはわからない文脈があるのか
むしろ、玄人同士も通じてないんじゃないのか

コンテクストも形成されてないんじゃ…と。

教授が小難しい論文にコメントしているのを見ても、同じ感想を覚えます。

ほんとに話が通じてるのだろうか?
分かったふりをしてるんじゃ…?

とんだディスコミュニケーションです。

特定のジャンルに浸かりすぎて、
自分の世界に閉じこもるのは、
知性の在り方として貧しいでしょう。

🍄🍄🍄🍄

少し前に友人が、

小説好き、
本好き、
読書好きを
混同してはならない

という主旨のツイートをしていました。

その分類に当てはめると、
僕は「本好き」に該当します。

本というメディアを愛しています。
とくに、教育学部生として。

🍄🍄🍄

「教育」とは基本的に、

自分の知っていることを相手に知らせる

行為なのですが。

教師と生徒が、
それぞれ生きてきた年月は、
長さも内容も違いすぎます。

持ち合わせた経験、人生の文脈が違うからこそ、

あー、なんで分かんないかなッ

という、教える難しさ、ディスコミュニケーションが出てくるのです。

ところが、本を介すると、このギャップが狭まる。

スタージョンを読んだ人々は、「スタージョンを読んだ」という経験を共有します。

コミュニケーションツールとして、
「固いメディア」である本が光る。

「教養」と呼ばれるものの正体は、この効果のことでしょう。

🍄🍄

4月に読書会サークルを作って、
今週末、初めて課題図書を設定しました。

テグジュペリ『ちいさな王子』。
あるいは『星の王子様』。

児童文学のような、SFのような。
とにかく有名タイトルではある。
そして、まごうことなき名著。

ここから始まれば、あとはどのジャンルが続いてもよさそうな本だろう、と。

そんな印象を期待しました。

要は、

どんな趣味を持っているか

は問題ではなく、

とにかく同じ本を読んで、
コミュニケーションしよう

と思って、読書会を開きたがるのです。

🍎

本は「死んだメディア」とも言われます。

先週扱った、『ハーモニー』のミァハも同じことを言っていました。

ネット記事とは違って、
更新が為されないもので。

おかげさまで、みんなが読んだ『星の王子様』は、だいたい同じものであってくれる。

だから、「教養」にもなれる。

ありがたいことに、
テグジュペリの飛行機は、
誰のもとにも落ちてくる。

(おわり)

小説に「エモ」を求めるのでもなく、
読書という「行為」を練り上げるのでもなく。

「情報の束」としての本を好いています。

読まずに中身が分かるのなら、
それが一番いいのですが。

アンキパン待望論って、
こうやって生まれるんですね。

では、次の水曜日にお会いしましょう。

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