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【麻雀小言Vol.4】不運を意識しすぎない

麻雀とは運の影響を多分に受けるゲームである。どれだけ強くなっても有効牌を引かなければ手は進まないし、全力で降りていても安全牌が尽きて放銃してしまう時だってある。
そういった自分にとって不都合な展開が続き、何をやっても勝てないという状況は誰しも経験しているだろう。所謂下振れ、地獄モードなどと呼ばれるやつだ。

今回はその下振れの対処法…というより、どういった心情でこのつらい状況を捉えたらよいのか、正しく付き合うにはどうしたらよいのかという、少しメンタルに関わるお話。


現在進行系の下振れというものは無い

そもそも下振れとはなんぞやという話ですが、ざっくり表せば本来の実力が運の要素によって発揮できず、期待できるスタッツが出てこないといったことでしょう。
つまり起こった結果に対する評価なのです。直近20半荘で10ラスを引いたとなれば、誰にとっても下振れと言えるでしょう。けどこれから迎える21半荘目も同様に、不運により受け入れ難い結果が生まれるかどうかなど誰にもわからないのです。
だからこそ常に同じ判断基準をもって対局に臨まないといけないということです。

勿論大抵の人はそんなことぐらいわかりきっているのでしょう。けれど人である以上、どうしても不幸が積み重なれば暗い気持ちになりますし、「下振れ中だから…」と未来を悲観して麻雀を打つことそのものが嫌になる時もあるでしょう。

そんな簡単に切り替えられないというのは百も承知ですが、「今下振れているから…」ではなく、「昨日までは下振れていた」「さっきの半荘までは地獄だった」と、僅かではありますが意識を変えてみるのは如何でしょうか?少しは気が楽になるかもしれません。

過剰な意識が認知のズレを生む

不運は誰にでも平等に訪れるものですが、人間である以上その時に生じた怒りやストレスをどこかで発散したくなるもの。
誰かとの対話の中で愚痴を零す人もいれば、SNSに心情を書き殴る人もいるでしょう。ですがこういった行為はあまりオススメできません。

別に聞かされる・見せられる立場を慮ってという訳ではありません。
そうやって自分の中で「今自分は不幸なのだ」というどうでもいい認識を強めることで、大きな弊害が生まれるからです。

東2局南家の配牌と第1ツモ

上図のような可もなく不可もない配牌。というよりドラが2枚有る分評価を高めに見積もってもいいくらいでしょう。
こんな配牌でも2連続でラスを喰らい、更に東1局に打つべきリーチを打った結果追っかけられて子のマンガンを放銃した後となると見え方も変わってくるというもの。
通常の精神状態なら大人しく西や9sを切って真っ直ぐ進められるのに、過剰に不運を意識することで6mや6s、5pといったとんでもない打牌を選択させることがあるのです。

「どうせ上手くいかない」「危険そうな牌を先に処理したい」「仕掛けを強く見たい」

どのような心情から導き出された結論かは定かではありませんが、いずれの選択もその理由も、論理的な思考の欠片もありません。

これはあくまで私個人の経験に基づくものですが、人は声や文書といった形で心情(特にネガティブなもの)を出力すると、それを更に強く意識する傾向にあります。
その膨れ上がったネガティブな感情によって、置かれている状況に対する認知がズレ、間違った選択をしないためにも、極力内に秘めるべきであると私は思うのです。
(辛いことなのは重々理解していますが)

それってホントに下振れ?

ここからは主題とは少し逸れるお話。
『下振れ』
近年この便利なワードが浸透し、猫も杓子も下振れ下振れとおっしゃいますが、この言葉を使用する別の弊害もあるのです。
下振れというのは、運の要素によって本来の実力相応の結果が出ないことだと最初にお話しました。
ということは裏を返せば、キツい表現にはなりますが実力がない人・実績が無い人が結果を残せないのは下振れでもなんでもなく実力相応であるということなのです。

要はこの「下振れ」という表現を使うことで、自身の麻雀を見直すこと、学びを深めることから逃げてはいませんか?ということです。

例えばこんな盤面。ドラと赤を持った1シャンテンのチャンス手だが上家からリーチが掛かり、危険牌が2種浮く形となってしまった。
ここでこの打ち手は白の対子落としをしたのだが、これが跳満放銃となってしまい、この失点が尾を引いて結局この半荘ラスとなった。

字牌で放銃なんてツイてないな、ラスは仕方ないな。
そう思った人は上振れだの下振れだの語る領域に達していません。なぜならこの白放銃は完全に実力不足が生み出したものだからです。

この手から白を切るということは手牌を2シャンテンに戻し、かつ放銃抽選を受けるという行為なのです。よく安易に「回る」と称して字牌の対子落としをする人がいますが、このケースに関しては手を和了から遠ざけて危険牌を打っているのですから、大げさでもなんでもなく「利敵行為」といっても差し支えないのです。

降りるだけなら4mや8pといった現物があります。形としてはこれも2シャンテンになる打牌です。
価値があるから形を崩したくない?であるならば2pか8mを切って1シャンテンを維持すればいいのです。
仮に白が通ったとて、この巡目に先制リーチを受けて、手牌を2シャンテンに戻しても押し返しなど困難なのです。

非常に厳しい言い方をすると、この手で白を切ることは麻雀的に大損で、その認識がなく選択した結果、実際に悪いことが起こったというのは実力の範疇なのです。
ですがこういった状況も、「下振れ」と認識してしまうと正しく反省し学びを得ることが出来なくなってしまいます。

「下振れ」を過度に意識する必要もないけど、そこに全ての責任をなすりつけるのも良くないよというお話でした。
麻雀って難しいね。

それでは

※当記事内で使用した牌姿並びに全体牌図は「牌画作成くんbyその研」様及び「全体牌図作成くんbyその研」様を用いて作成しました。


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