[Tip]【文字起こし】交換ノート11:noteはじまって1週間経ってないけどどうよ
本ノートは、ブロガーのいしたにまさきさんと、株式会社ピースオブケイクの代表取締役CEO加藤貞顕さんとの対談を文字起こししたものです。
なお、一次ソースとなる対談音声は以下のリンク先で聞くことが出来ます。
■交換ノート11:noteはじまって1週間経ってないけどどうよ https://note.mu/ishitani/n/ne80f44f4a5bb
日時:2014年4月11日(金)午後
場所:東京・渋谷 (株)ピースオブケイク オフィス
いし=いしたにまさき
加藤=加藤貞顕
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なお、本ノートは100%公開しておりますので、無料(購入なし)でも全てのテキストをお読みいただくことが出来ます。
【対談・録音スタート】
1)note ローンチの1週間を振り返る
いし:はい、ということで、株式会社ピースオブケイクのオフィスに来ておりまして、今目の前に加藤(貞顕)さんがいらっしゃいます。どうもありがとうございます。
加藤:よろしくお願いします。
いし:(note がローンチして)今日でまだ1週間経っていないんですよね?
加藤:経ってないです。4月7日の月曜日にローンチしました。
いし:最初の1週間が終わるというタイミングですね。
加藤:そうですね。
いし:ということで、まーはっきりいって今すごい大変だと思うんですけど。
加藤:(笑)
いし:たぶんユーザー登録ももう1万ユーザーを超えたんですよね?
加藤:初日で1万ユーザーを超えました。
いし:今、非常にたぶん要望とか死ぬほど色々届いている、というのはあるんですけど。
加藤:たくさん、ありがとうございます(笑)
いし:今日はちょっとですね、ボクとコグレマサトさんと堀正岳さんの3人で「交換ノート」というのをやっているんですけど、その中で「note ってなんか今までのウェブサービスとはちょっと違うよね」という感覚がすごくあって、ボクがどこかのノートで書いたんですけど、Tumblr とか Twitter とか Instgram とか諸々のサービスがありますが、今までのウェブサービスと note を比較するのってあまり意味がないかなぁ〜、と。
ボクがすごい意外だったのは、ちょっと若い世代の子たちから、いわゆる「投げ銭的なものに近い」みたいな話しが出てて、「いやそれも違うんじゃないの」とボクは正直思って。だって「投げ銭」のようなサービスが上手く行かなかったのは、やっぱり、それなりの理由があるわけで。なんかそういうところとは違うところになんとなく向いているからこそ、ボクらの「交換ノート」は3日くらいで10ノートくらい書き込みをしてしまったんで、1日3つくらい書いているわけですよ(笑)。
で、じゃーそれをやったことで、フェイスブックの投稿が減ってるとか、ツイッターの投稿が減っているとか、ブログの更新頻度が落ちているとか、別にそういうことじゃないんですよね。みんな、それらにプラスって感じで「交換ノート」を始めていて。「あっ、なんかこれは面白いな、新しいものが出てきたんじゃないかな?」というのが、みんな遊び始めているという理由なんじゃないかな、という気はしていて。
で、なんかその辺、加藤さんは色々なことを考えるから、当然サービスなんてものを設計すると思うんですけど、note を始めてみて、なんか、狙って、狙い通りの部分と、「えっ?!みんなそうやるの?」みたいな、意外な部分とかってのがあったら、是非聞かせていただきただけると、楽しいなぁ、と。
加藤:ん〜、そうですね。あのー、ま、単純にまず予想以上に多くの人に使っていただいているのが一番大きいですね。
いし:サーバが重くなっていましたもんね。
加藤:サーバを増設しています。やっぱり色々な、僕らは、最初はね、cakes というサービスもやっているように、出版的な目線で、出版がネットに食われているのを、逆にテクノロジーとコンテンツの方から迎え撃つというつもりで cakes ってサービスをやっているんですね。デジタルでクリエイターが出版的なコンテンツを作っていこうということで始めたんですけど、それをじゃー個人向けの仕組みを作ろう、ということで note を作って。そしたら作っていく過程では、「あれ?これは別に出版だけに関わらず全然ない」と。
いし:はいはい。
加藤:画像をアップロードできるようにすると、当然写真をアップロードしたくなるだろうし、そしたら、イラストとかマンガも上げたくなるし。そしたら別にサウンドもアップロードしていいなー、とか、動画もいいよな、とか。ってなると全部行けるかな、と。結果的になんかちょっと Tumblr や Instagram に似てきちゃったんですけど。で、そういう風に作ったら、やっぱり、そういう皆さんが本当入ってきてくれて。
まーそのつもりで作ったんですけど。
いし:(笑)
加藤:本当にこんなに皆さんが使ってくれてすごく有難いな、っていうのがまず一点で。あとは、そのー、課金の使い方が、ちょっと僕らが、もう既に考えていたところを超えた使い方をしている人がいっぱい現れてきて。まー普通に、単体で売る。あるいはなんですか、有料ラインを一番下に置いて……。
いし:あれはボクはちょっとビックリしましたね。
加藤:僕も考えてなかったです。っていうか一番下に有料ラインを引けることを見つけたときに、「あっ、やっぱり一番下にラインが引けるんすね。マズいな!」と。
いし:あーなるほど。
加藤:まー悪い風に使えるじゃないですか。
いし:そうですよね。
加藤:マズいな、と一瞬思ったくらいで。なんだけど、あれを「投げ銭的に使う」っていうのが発明されて、しかも結構ワーク(機能)している。なるほどな、と思ったのと。あともう1個ねー、岡田育さんがやっていたんだけど、「1回書いて課金したコンテンツをずーっと更新をし続ける」(編注:【わたしは驢馬に乗ってnoteをうりにゆきたい】(随時更新))というやつがあって。
いし:あー、やっていましたね。
加藤:あれがねー、ちょっと考えてなかったんですけど、スゴい面白いなぁ、と思って。それってつまり「そのスレッドに参加する権利」を得るってわけですよね、そのコンテンツに。
いし:なるほど。
加藤:コンテンツが広がっていって、その下にコメントが付いてるから、そこで語り合って。これはすごく新しいですよね。だからこれに対しての通知をする機能っていうのはたぶん必要なんだろうなとは思っているんですけども。
いし:あー、なるほど。要するに、その自分の買ったノートが「更新されましたよ」という通知を発信すると。
加藤:それはユーザーに通知しなくちゃいけないな、と思って。
2)「いいね!」だけではない「評価」の伝え方
いし:ちょっと話を広げると、アフィリエイトとか、あとアドセンスはちょっと違うけど、アフィリエイトでブログをやっててアフィリエイトのリンクを貼っているとすっごい勘違いされることが1個あって、「お金欲しいんでしょ?」みたいなことを言われるんですよね。でも、ちょっと違うんですよ。
加藤:わかります。
いし:アフィリエイトでそんなに人から言われるほど儲かるなんてことはまずないですよ(笑)。で、じゃーなんでみんな貼ってんの?っていうと、自分が書評をたとえば書いた記事で「本が売れた」っていうのは、これね、最大評価ですよね。
加藤:そうですね、人を動かしているわけですもんね。
いし:そうなんですよ。だから別に、いろんな人がブログ書いている人にいますけど、でも、やっぱりブログを書いてる人の中でどっかにある部分っていうのは、自分が書いたことで誰かの行動をちょっと変える、背中を押すことが出来たりとか、あと、僕が紹介しなければ、この人はこの本を読むことがなかった。あと、もちろん自分が書いたものに対する評価でもあって。で、それを可視化する方法が、残念ながら現状アフィリエイトしかないんですよ。
加藤:あーなるほどね。
いし:そこがやっぱり最大の問題で。で、なので、さっきの岡田育さんの話で言うと、多分、お金が欲しければ、例えば続きを100円、100円ってこう切っていけば良いって話じゃないですか。でもそうじゃなくて、その100円が欲しいんじゃなくて、100円ということによって、「これは面白いん」っていう意見表明なんですよね。で、そっちが欲しいわけで、だからそうすると投票とかにある意味近いのかもしれないですけど。でも、じゃー単に「いいね!」と押すだけじゃー、やっぱりそれはなんかなんだろ、そんなん誰でも押せるし。
加藤:楽ですからね。
いし:楽なことなんですよね。で、それはやっぱりちょっとコミットするっていうところを入れようと、現状やっぱり100円でもいいから払うっていうのが一番分かるんですよね。
加藤:それねー、あのーそれは実は発見だったんですよ。あのー売った人たち、僕はまだ「買う」しかしていないんですけど、売った体験をした人たちが、むちゃくちゃ楽しそうなんですよ。あのーそれってなんか「100円儲かった」って話ではないじゃないですか。
いし:全然違いますね。
加藤:いやー実は買ってるのもすごく楽しいんですけど、あのー「買うのってこんなに楽しんだ」って思って。やっぱりサクっと買えるからだと思うんですけど。で、買ってる方も楽しかった。ま、買い物って本質的に楽しいことですよね。
いし:やっぱり最初の、最初の1本目って壁があるじゃないですか。
加藤:そうですね。
いし:ここまで簡単になってても、あのーじゃーなにアマゾンで本を買おうっていうのと比べると、最初の壁ってやっぱりあると思うんですよね。でもそれって単純に「過去にアマゾンで買ったことがある」っていう程度のことでしか実はないですよね。
加藤:そうですね。いやだから、それはあるんですけど、売った方の人たちがあのーすごいなんか楽しそうにしていて、僕もまだやらなくちゃいけない。ナタリーの唐木(元)さんがすごい上手く書いていたんですけど、「なんかめちゃ楽しい」って書いていて、上手い説明をしていているんですよね。要するに「売ることで出現するトラスト感、承認された感、尽くしたくなっちゃう感、遠慮したくなくなっちゃう感がヤバい」みたいなことが書いてあって。(編注:引用元確認中)
いし:だからこれ実は「贈与」なんですよね。
加藤:あー、そうですね。
3)ネット時代の新しい「贈与」のカタチ
いし:たぶん贈与論で考えた方がよくって、あの、お金っていうものに縛られ過ぎちゃってて、あのー、いうのは良くなくって、あの、なんだろ、面と向かってれば、えーとなんだろ、「今日買ってきたお土産をあげるよ」、「お土産貰ったからお土産貰います」、みたいなことが出来るのが、オンラインではなかなかそれは実現出来なくて。
で、なんだろ、最初は「いいね!」とか「フォロアーの数」とかである程度満たされてのが、それももはや一般化してしまって、そうすると、なんか、「何か」をやり取りしたいんですよね、みんなね。
加藤:分かります。あのー、僕ね、実はね、海外に行くとチップってあるじゃないですか、あれ、むちゃ好きなんですよ。なんで好きかっていうと、「感謝の気持ち」を明確に伝えることが出来るからなんですよね。
いし:なるほど。
加藤:すごい良いサービスをしてくれた人に、普通は10パーセントとか15パーセントとか、スゴいサービスしてくれた人には20パーセントとかあげたりするっていうのが、なんか、気持ちいい。面倒なこともあるんですよ。面倒なんだけど、あのーそうするとまた向こうも「あっ、私、感謝されたんだな」と思ってくれるわけですよ。
いし:あれってチップが制度化していると気持ち悪いんですよね。「なんでチップよこさねーんだよ」って言われると。
加藤:確かに気持ち悪いんですけど、なんかその、良いサービスをしてくれた人にたくさんあげて、向こうも喜んで、っていうその呼吸ってすごくなんかお互い幸せになるんですよね。だから、たぶん人が一番幸せなのって、人に喜んでもらえること。あとは、人の役に立つこと。これがだからそのお金が流通することによってたぶん明確化するってことなんですよね。
いし:やっぱりあのーボク、大学の時に実は文化人類学とかをやっていて、贈与論とかを結構実はやっていたんですよ。で、それやっていてすげー良かったと思ったのは、インターネットの力学って、ほぼ贈与論で語れるんですよね。
加藤:なるほど。
いし:だからインターネットでなんか今までの物販であったりとか、普通のいわゆるお店でのやりとりとは何か違うものが、その、ようするにつまり、デジタルだけであるが故になんかこうものすごくピュアなものになっている部分っていうのは、実は贈与でだいたい読み解けるんですよね。
でも、なんかそれが今度一般化してくるとその贈与の部分がまた消えていく、なんか見えなくなっていったんじゃないかなぁ。なんかこのくらい note がシンプルにしてくれたおかげでなんか贈与が見えやすくなったなぁ、と。だからたぶん最初に売った人、最初に買った人ってのはその後の売り買いのハードルがすっごい下がっているはずなんですよね。
加藤:そうですね。1回買うとバシバシ買うじゃないですか。
いし:そうそう(笑)。で、買ったって、スタバで700円でコーヒーを飲んでんだから、7回買えるわけですよ、そのコーヒーで。
加藤:そうなんですよね。
4)「売る」勇気、「買ってよ」と言える勇気
加藤:ちなみに売るのって勇気がいりません? 「こんなオレのつまらないものを売っていいんだろうか?」とかみたいな。結構それで躊躇する人が結構いると思うんですけど。どうですか?
いし:あー。でも、それはボクは、なんだろ、ま、本も書いちゃっているし、カバンも売っちゃっているし。
(編注:「ひらくPCバック」/スーパクラッシック製
http://superclassic.jp/?pid=41001 )
加藤:まーそこは普通の人ではないですから(笑)。
いし:ただ、だから良く言っているのが、それはボク、カバンを売った経験含めてよく言っているのは、「友だちに売れないモノ、作るなよ」と。
加藤:おー、なるほどね。
いし:なんか「身内に買ってもらって恥ずかしい」っていうけど、でも、去年くらいにすごくTEDで有名になった、あのーなんでしたっけ、今、名前がちょっと出てこないんだけど、「世界を変えていく」っていうやつで、二番目に人を巻き込む、ってデレク・シヴァーズのやつですね。
(編注:TED:「社会運動はどうやって起こすか」デレク・シヴァーズ
http://www.ted.com/talks/derek_sivers_how_to_start_a_movement/ )
あんときに、「一番えらいのは、バカを見つけた2番目の人で、最初に支援したやつが一番エラいんだ」っていう話をしてるじゃないですか。あれとほぼ同じで、友だちの中で最初に買ってくれた人、っていう人をスゴい大事にすべきだし、友だちが一人も買ってくれなかったら、たぶん売れないんですよ。誰も買ってくれない。やっぱり友だちに遠慮なく「買ってくれ」って言えるものをやっぱり作んないと、それは絶対他の人も幸せにしないと思うんですよね。
加藤:確かにそうですね。
いし:それは別に友だちから巻き上げろとか言っているわけじゃなくて、友だちであっても「あーこれだったら、オレ全然払うよ」って言えるモノをちゃんと出す、っていうすごく単純なことなんじゃないかな、と思うんですよね。ま、それはたぶん、ボクもカバンを売ったせいで、さすがにカバンをタダでホイホイ配るわけにはいかないっていう……。
加藤:値段がそこそこしますよね。まだ本ならギリあげられますけど。
いし:本なんかまだあげられるけど、っていう。ってのを経験をしているっていうのがあるかな、という気はしますけどね。
加藤:「買ってよ」って言うのに、特にサラリーマンは勇気がいるんですよ。人にモノを買わせる経験ってないじゃないですか。ま、でも、結構、みんな気軽に売る人は、それで「売る体験」をしちゃってますよね。「こんなの売る人いるんだ」っていうのを意外と売るじゃないですか。例えば「旅行に行って撮ってきた空の写真で〜す」とか。でもそれでちゃんと動きますもんね。
いし:そうなんですよ。だから、なんかその、ボクも自分の、カバンに限らないですね。本とかもやっていて思うのは、結局、お客さんが評価を、その商品の価値を決めてしまうので、お客さんが決められる状態に今度は実は持ってってあげないと、お客さんも困るんですよね。だから「払いたくても払えない」っていう状況は正直あったっていうのは、否めなくて。
5)オレにもっと払わせろ!
加藤:それは本当にそうなんですよね。あのーなんか、作家さんとかミュージシャンとか、みんなすごいファンがいるじゃないですか。意外と買うものがなかったりするわけですよ。
いし:そうなんですよ。
加藤:年に2回、本が出る。年に1枚CDが出て、コンサートが1回あって。これ、行ったら、もう、もっと払いたいわけですよ。
いし:(笑)。「もっと払わせろ」ってのありますよね。
加藤:だからそれはね、ネットでなぜ解消出来ないのか? っていうのがずっとあってですね、それはここ(note)でやりたいんですよね。
いし:実際ありますよ。「あっ、本当に良い本を紹介してくれたなぁ」と思ったら、とりあえずその人のアマゾンのアフィリエイトを踏むようにしているんですけど、アフィリエイトのリンクを貼ってくれない人もいるわけですよ。「面倒くせー」って言って。
加藤:あと「恥ずかしい」とか。
いし:でも、なんか本当に良いモノを教えてもらったらちゃんとその人になんかこう、ねー、口ではまー言えるじゃないですか、どうとでも。でもそうじゃなくて、本当に「ありがとう」っていうのを伝える方法ってのは、ひとつお金っていうのはあるんですよね。
加藤:いや、そうだと思いますね。なんか、まーこれはちょっとまだわからないんですけど、なんか結構要望のあるのが、さらに少額の決済ってやつですね。検討しています。あのー、なんかその方が面白くなりそうなような気がするんで。ちょっとまだわからないですけど。
いし:まーでもそれによって最初の売るとか最初の買うのハードルが下がるのはすごいいいことですよね。
加藤:そうなんですよ。いや僕もちょっとあんまり他にないサービスなんで。
いし:これ、やる側はすげー大変だろうと思いますよ(笑)。前例が本当ないな、という。
加藤:前例がないのは理由があるんですよ。大変なんっすよ(笑)。あとやっぱり、なんていうんですかね、こういうのって、すごく「キレイ」にやらなくちゃいけないんですよね。そのー、お金を払うとなると結構人はセンシティブになるから、すごくスムーズに動線が貼られている必要はあるし。もちろんあと、いろんな騙しがありうるわけですし、そこはでもちゃんと対応していくように色々やってます。
6)ウェブで「価値ある体験」を売る
いし:あと、ちょっと話をぐっと戻して。ボクとコグレマサトさんと堀正岳さんのやつ、「交換ノート」ってのは読んでいただけてますか?
加藤:あっ、読んでます。
いし:あれ、なんか、どんな感じですか? 「この人たち何しているんだろう?」っていう。
加藤:いや、すごい面白くてちょっとあれに対して何か返しのやつを書こうかな、と思っていて読んでいたんですけど。僕、毎日書くことにしたんで、そこでこれを考えさせていただこうかな、と思って。何書こうかな? かなり多岐に渡る話しが。
いし:あれはボクは半分ワザとやってますね。あのーなんか今、話をちょっとまとめない方がいいなぁと思っていて。「note ってこういうもんだよ」って定義しちゃうのってちょっとまだ早いんじゃないかな、と。
で、ウェブサービスの醍醐味ってボクは「最適化」だと思うんですよね。そのー、過去に上手くいっているウェブサービスってわりと全部その傾向があるんですけど。まず、最初に設計した人たちがもちろんそこそこある程度面白いものをちゃんと出す。で、そこでユーザーが遊び出して、なんか当初思ってたのとちょっと違う方向にこーずれて進化していく。そうするとだいたいみんな上手くいっているっていう。
だからその想定外がやっぱり起きないといわゆるそのユーザーとの化学反応みたいなのってやっぱ起きない。それがないとなんかね、爆発しないんですよね。だからなんかそこはわざとなんかこうもっと可能性の引出をちょっと広げたいなぁ、と思っていて。
だから別にいまのいままでずっとそのお金の話をしてますけど、じゃー無料がつまらないのか? というと全然そんなことはなくて。
加藤:そんなことはないですよ。なんかそのー、ただそのなんていうんですかね、コンテンツの電子化って話になると、たいていそのー要するに「データを売る」って話になっちゃうんですよね。そこに電子書籍なんかもまさにそうなんですけど。この交換ノートを見ていて思ったのは。で、んー、僕らがやろうとしているのは、「売る」ってことじゃたぶんないんだろうなと思っているわけですよ。「売る」はやっているんですけどね。
いし:そう思います。売ることによって「何かの権利を得る」んですよね。
加藤:そうそう。たぶんその、「データを得る」のが目的ではなくて、そのーやっぱり「価値ある体験」なんですよね。だからコミュニティにかなり振って、コミュニケーションに振っているんですよね、設計として。
で、そうじゃないと作り手側も辛いし。コミュニケーションが苦手な人には、もしかしたら逆に辛いかもしれないんだけど、でも、そういう方向性の方が、未来のクリエイターの生き方はこっちに行くんではないかと。っていうかま、僕はなんか最近これはやってる最中にだんだん思いつつあるのは、「ウェブはこうなるんじゃないの?」って思いつつあるんですけど。つまり、ウェブで昔からおかしいなぁと思っていたことがあって、あのー、プロが本気で作ったコンテンツ”だけ”ないんですよね。
いし:うーん、なるほど。
加藤:ちょっとおかしい状況ですね、よく考えたら。この空間に。
いし:インターネットって最初のうちってやっぱりネット好きがやってて、それ実は僕が前に書いた『ネットで成功しているのは〈やめない人たち〉である』って本を書いたんですけど、アンカテさんって人が書評を書いてて素晴らしい書評だったんですけど、そこにアンカテさんが書いていたこと、「あっそういえばそうだった」ってのが、インターネットって始まった頃はネットユーザーがハードユーザーが揃っていて、ネットって変なものだよねって。で、それがアマゾンなり楽天なりあーゆーのが普通の人が参加するようになったのに、なんか「ネットの変さ」だけはなんか維持されている。なにかネットって変な感じがあるんですよ。
加藤:ネットって「変な空間」なんですよ。特にそのーコンテンツを貯めてある場所っていう意味でみると、あのー出版社だったり、作家であったり、著者であったり、ミュージシャンは最近近くなりつつあるんですが、やっぱり10年早くネットを提供したんで。なんですけどー、やっぱ、あともちろん映像なんかもまさにそうですけど、市場が他にあるんで。映像はテレビにあるし、出版は出版にあるから。だからネットにその本丸が来ていないんですね。で、それはやっぱり不自然な状況で。だって今電車に乗ったらみんなずーっとスマホをいじってますからね。ここにないなんておかしいわけですよね。だからそれは絶対に乗るようになるだろうと。
ただそれをどう乗せるのか、っていうところで。だから雑誌的なものは cakes 的な形になるだろうし、個人の方のクリエイターはこういう風になるんじゃないかな?っていうのがですね、なんかやっていくうちに思ったんですね。
だから、これは話しが大きくなりすぎるんだけどなー、「(note は)ウェブの再発明」くらいのものになってきてるんじゃないかな、っていうことを実はちょっと思っています。
いし:なるほど。
加藤:ここにだけお金が流れているってのは変だと思ったんですよ。
いし:まーそれはそうですよね。
加藤:世の中って市場込みなんで。
7)ユーザーは「参加する」ためにモノを買う
いし:あのー、ボクがカバンを作って売って、実は一番絶対にやらないようにしていることってのが、えっとー、「このカバンの評価をボクがしない」ってことなんですよ。ボクがこのカバンをこう使うんですよって言った瞬間に、このカバンの可能性がシュリンクするんですよね。
加藤:あー、そういうことをしていないんですか?
いし:しないです。
加藤:「こう使うんですよ」って言わないんですか?
いし:言わないです。
加藤:へー! 「こんな風なのが欲しい、だから作りました」っていうのは言っている?
いし:もちろん。こういうパソコンが入るとか、そういうことは言っています。でも、ここがスゴいとか、こうやってくれとかって話しは実はほぼ”しない”んですね。
で、それを反映しているのが、仕切りが自由に動かせるという機能で、これは実はお客さんに投げているんですね。「これで遊んで」っていう。で、これがどうも上手くいったな、と思うのは、えっとー、なぜかカバンのレビュー記事がやたら上がるんですけど、みんなカバンの中身を写真撮って見せてくれるんです。だから、「ボクはこう使っているんだ」っていう話をしてくれるんですよね。そうなった瞬間に、どうもこれはカバンじゃないモノになってしまったんだな、と。っていう感触をちょっと受けていて。なんかそういうやっぱりなんかこう、結局このカバンを買うことで、なんか「こういう遊びに参加するチケット」を手に入れるみたいな感じになっているのかな。
加藤:確かに。
いし:で、note もその方向にちょっと行きつつあるかなぁ、という感じがしてて、で、そのー、ね? さっきの「もっと払わせてくれ」っていうのはいわゆるライブで集客するって話にたぶん近いと思うですけど、あれも結局、そのライブって商品を買っているわけじゃなくて、本当に参加券ですよね、あれね。
加藤:そうなんですよ。あのコミュニティっていうかグループに参加するってことじゃないですか。だから、例えばミュージシャンの人がスタジオなりで練習している映像であったり音声を、あのー、1分撮って、3分とか撮って100円とか売ったら、それ欲しいじゃないですか?
いし:絶対欲しいと思いますよ。
加藤:ねぇ?
いし:いやだからリハの垂れ流しでいいと思うんですよ。
加藤:そうなんですよ。好きな人だったらそうですよね。だからそれが売っていなかったんで、売って欲しいなぁってのはすごくありますね。
いし:ということで、だいぶ長くなりましたが、そろそろ締めようと思います。でも、なんかこう、あれですね、あのー定期的にやると面白いかもしれないですね。1ヵ月経って「じゃー note どうなりました?」みたいな。っていうのをまた出来ると面白いかもしれないですね。
加藤:これもしかして音声を上げるおつもりなんですか?
いし:そうです。
加藤:ワォ!(笑) 僕、起こしてもらえるのかと思ってました。あっ、そうなの。
いし:これは音声そのままいきます。ということでどうも加藤さんありがとうございました。
加藤:ありがとうございました。
【対談終了】
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