「捨てない経済」は地方から拡がる?

「捨てない経済」という言葉を知っているでしょうか?

「そんな経済があるのか??」

と言う人がいるのかもしれませんが、この経済、着実に「欧州」から根付き始めています。下記、ForbesのURL内に事例が載っているのでご覧ください。

Repair,Reuse,Reinvention

この中に出てくる全ての取り組みが素晴らしいのですが、特に、リサイクル品だけのショッピングモール「Retuna」は自治体(Eskilstuna市)が運営している場所で、多くの自治体関係者に知っていただきたい取り組みです。

それで今回は、この「捨てない経済」は日本国内でも芽息吹いている、という話をしてみたいと思います。私が知っているのは長野県諏訪市にある「リビルディングセンタージャパン」です。

※書き出した時に、ちょうど知り合いが「行ってきました!!」の報告をしていてちょっとびっくりしました。

リビルディングセンタージャパン(=リビセン)は、2016年長野県諏訪市にオープンしました。アメリカ・オレゴン州はポートランドにあるReBuilding Centerから名前やロゴを正式に引き継いだ「建築建材のリサイクルショップ」です。私は2017年7月に初めて行ってから、計3回行ったことがあります。

行くたびに思うのですが、リビセンは一度は世の中から見捨てられてしまったものが新たに息吹く場所として存在しつつ、生活者が消費社会に晒され、忘れてしまった「廃材」や「古道具」の価値を再定義してくれるように思います。

1Fはカフェになっていて、大小・形バラバラの窓をそれは綺麗に連結させた「正面ファサード」が素敵すぎていつも感動してしまいます。

ちなみに、カフェでは「木」「木工」「家」に関係する本が売られています。お土産感覚で2冊ほど本(樹木図鑑、絵本)を購入したのですが、たとえ、東京の本屋で同じものが並んでいても買わないと思うので、この「買い方」は非常に面白いなと思い、物の「売り方」の参考にもなりました。

余談ですが、「廃材」には名を変え支持を得てきたという歴史をご存知でしょうか。「古材」「アンティークウッド」「ヴィンテージウッド」最近では「リクレイムウッド」という言葉も目にします。

これらは、一般的には「廃材」と呼ばれるものですが、その昔「廃材」に価値を見出した商売人(?)がこのような「二つ名」を付け、見方を変え価値を高めようとしたのだと思います。

解体現場などから安価(時にはタダ)で貰ってきて価値を見つけカッコいい名前をつけて商売をするというのは如何にも賢いというかむちゃくちゃやり手のマーケッターで、凄まじい錬金術です。

この歴史が証明しているように昔から「廃材」には社会的価値が十分にあるのですが、近代の価値観がそれを忘れさせてしまったのだと思います。リビセンは、10年後これらが「資源」と言われる文化の形成を目指しています。何らかしらの形で私もこの文化形成に関わっていきたい、そんな気持ちです。

話を元に戻しまして、

このようにリビセンは「長野県諏訪市」という場所で「捨てない経済」への挑戦をしています。

都市部に馴染んでいるのは、まだまだ、大量生産・大量消費・大量廃棄の「捨てる経済」の価値観ですから、都市部で「捨てない経済」に挑戦するのは困難極まりないと思います。確かに、リサイクル品など見る機会が増えてるのは間違いないですが、それでも全体のシステムには少しの影響しか及ぼしません。

ですから「捨てない経済」は都市ではなく、地方から定着をし、その輪が拡がっていくのだろうと思っています。

この他に、例えば「捨てない経済」にはこんなのもあります。

スコットランドの首都エジンバラにETL(エジンバラ・ツール・ライブラリ)という持続可能なビジネスがあって、これは年会費2500円を払えばDIY用の工具借り放題という内容です。工具の図書館ですね。

作業の規模に限らず、大工道具、園芸道具、自動車整備道具など500アイテム以上の豊富な工具を自由に借りることができる。

精神疾患だった女性がETLの力を借りて自身の部屋の色をペンキで塗り替えたことで、自信を回復した。小道具係を仕事にする男性は、ETLの道具を使い仕事の幅を広げることができた。など、この図書館的なモデルが成功し、地元住民は修繕して、いたずらな消費をしないようになったということ。

古材や廃材を売るというのではなく「DIY用工具のサブスクリプション」という、IT的発想での「捨てない経済」への挑戦です。

完全なる循環型経済(サーキュラーエコノミー)に移行するには、バリューチェーンのあらゆるフェーズで抜本的な構造改革が必要で、まだまだ時間がかかると思います。けれど「北欧の事例」や「リビルディングセンタージャパン」のように、小さくも強いいくつかの革命的な事例を学び、実践できることは決して少なくないはず。

「捨てない経済」は「完全な循環型経済」の同一直線上にあると思うので、まずは捨てない経済を作るところからスタートさせ、完全な循環型経済に向けてアップデートをかけていけばいいのかなと。

今後は、ものづくりと消費の良心について、いまいちど考えながら「捨てない経済」を地域社会にデザインしていくことに挑戦していきたい気持ちです。

この記事が誰かの何かのお役に立ったら幸いです。それでは今日はこの辺で。

※同じく長野県、富士見町に関しての記事も良ければお読みください。

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田中 新吾

マーケティング会社でキャリアを積み、現在はコミュニケーションデザインという領域で活動しているコミュニケーション・ディレクターです。無名なブランドを引き上げていく支援に燃えます。好物はチョコバナナとサウナとワイン。埼玉と岩手の二拠点生活中。

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