石徹白洋品店から考える新旧融合の価値 #1

岐阜県郡上市に「石徹白」という集落がある。

ここは、100世帯270名の過疎地域でいわゆる限界集落。縄文時代から年間1000人の人が出入りし、霊峰白山への登山口・神社が鎮座する歴史ある場所。この地に「石徹白洋品店」というお店があります。

私が年1で訪れる場所にもなっているのですが、今回のnoteでは石徹白洋品店を題材にして「新旧融合の価値」について2回に分けて書いてみようと思う。

第1回目(#1)は「店舗建築」について、第2回(#2)はそこで販売する「プロダクト(洋服)」について書きます。第2回目では二つを通して現在私が考えている新旧融合の価値についてもサマリーとして書こうかと思っています。

それでは早速。

石徹白洋品店はそれを営む平野さんご家族が住む母屋の隣にあります。

位置関係はこんな感じ。右が母屋で左が石徹白洋品店(工房)。見ての通りド田舎です。

私の目を引いたのは2016年4月に竣工したという木造りの店舗建築。 農山村の原風景が広がる石徹白集落の中で新材の明るい色が一際目立っています。

2階建の作りとなっていて、1Fは工房およびワークショップスペース。 2Fが洋服の販売スペースとなっています。

この店舗建築のこだわりは「トレーサビリティ100%」と「新旧の融合」。

トレーサビリティ(英: traceability)は、物品の流通経路を生産段階から最終消費段階あるいは廃棄段階まで追跡が可能な状態をいう。 日本語では追跡可能性(ついせきかのうせい)とも言われる。

建築に使っている木材は、知り合いの杣(そま)大工が山から伐ってきた材(=天然素材の新材)と、近隣の古民家を解体した際に出た材(=古材)のみで作られており、釘を一切使わずに組み上げた建築物で、玄関ドア、梁、柱そして床といったように要所要所に古材が使われています。使われている材の出どころが全てわかるという点でトレーサビリティ100%ということになります。

古材の梁はしっかりと黒光りしており、長いこと使われ磨かれてきたことを物語っています。 新材とのメリハリにうっとりします。階段も石徹白のおうちから譲り受けたものだそう。 床も古材をふんだんに利用。 使われている建具も多くが古材です。

新材は清々しく新しい光を工房に取りこみ、天然の木の香りを充満させる。 古材の床は本当に美しく、人の暮らしの跡がそこここに見える。
新材にはない長い時代の積み重ねによってできた傷、生活の匂い。

新材と古材の融合によって生まれた建築物にセンスオブワンダーを感じずにはいられません。さらには、建築物におけるもっとも伝統構法らしい構造要素である「石場建て」が使われています。

最初、平野さんは「なんだか素敵な建物で、使うのがもったいない! このまま置いておきたい!」と思っていたようですが、 毎日入って風を通して、過ごしているうちに、 もっともっと使いこんで、よりよい店舗にしていこうと思うようになったそうです。

この店舗建築が成立したのは、古民家解体のはなしが近くであったこともそうだけど「杣(そま)大工」の存在が大きかった、ともお話をされていました。

この続きをみるには

この続き:987文字/画像1枚

石徹白洋品店から考える新旧融合の価値 #1

田中 新吾

100円

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

頂いたサポートは「新しい視点」を増やすための費用(書籍の購入や会食など)として、活用させていただきます!

うれしい!たのしい!だいすき!です!
15

田中 新吾

地域とデザイン

地域とデザイン記事まとめ

コメント2件

興味深く拝見しました。
読んでいただき有難うございます!!後編も近々投稿しますので読んで頂ければ幸いです。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。