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「ユーザー目線」への4つの誤解

ものづくりにおいてユーザーに正しく価値を届けるためには、「ユーザー目線」に基づいた深い洞察をもって自身のプロダクトを正しく評価することが重要です。

しかしながら「ユーザー目線」という言葉は開発者にとって耳当たりが良いため、独り歩きする事が多々あります。

ここではユーザーに価値を届けるために必要な「ユーザー目線」に対する4つの誤解のお話をしたいと思います。


誤解1 ユーザー目線に「ビジョンやミッションは要らない」

「ユーザー視点」を手に入れようとなった時に、まずやらなければならないのはビジョンやミッションの振り返りと明文化です、これは逆説的に聞こえるかもしれませんがユーザーと接する前にかならず必要になる項目です。

当然ですが、ユーザーの声を聞くためには、まず「誰の声を聞くか?」を決めなければなりません、これを決める指針が"ビジョン"や"ミッション"になります。

あなたの成し遂げたいことはなんですか?それによって幸せになっているであろう人は誰ですか
あなたのビジョンから逆算して、まずはあなたのチームが最も幸せにしたいユーザーを決めましょう。それが最初の指針になります。


誤解2 ユーザー目線は「ユーザーの話を鵜呑みにする」

ユーザーの声を聞いてプロダクトを開発する仕事は医師の診断とよく似ています。
ユーザー(患者)が今起きている症状を詳しく説明し、チーム(医師)が病気を特定しそれを解決する薬(改善案)を提供します。

医師が患者が「風邪なので風邪薬をください」と言われてそのまま風邪薬を処方することはないでしょう。
「痛いのはどこか?」「どのように痛むのか?」「どれくらい続いているのか?」といった具体的な事実から病気を推測するのは専門家である医師の仕事です。

ユーザーヒアリングから聞き出すのは「事実として起きている事象」です、その課題を解決するアウトプットは何か?はチームが自ら考えなければなりません


誤解3 ユーザー目線は「ビジネスと対立する」

ユーザー視点といったとき、それはビジネスやお金と対立する概念と捉えられがちですがそれは違います、
私はビジネスを含むいくつかの要素の大きな判断軸としてユーザー目線があると捉えています。

お金儲けをするなんてユーザーのことを考えていない、というのは大きな誤解です。

ビジネスとは誰かにものやサービスの価値を感じてもらい対価をもらう行為です、ビジネスの向こう側には必ずユーザーがいます、なのでそれはビジネスと同じものを反対側から見つめた考え方にすぎないのです。


誤解4 ユーザー目線は「個人のスキルである」

ユーザーへの深い洞察を通して、ユーザー目線を手に入れるというタスクは、あなた一人だけで行うものではありません。

ともに働く仲間が同じ視点を持たないということは、チームのそれぞれメンバーが別の視点でプロダクトの良し悪しを評価することになるからです。

船を漕ぐ際に船員がそれぞれ違う方向を目指してオールを漕いでいては船が前に進むことはないでしょう。これと同じことがチーム開発の現場ではよく起きています。

チームに所属する様々な職種の皆が、同じ目線で同じようにプロダクトを評価できると、チームの能力を100%引き出すことができます。

まとめ図解

最後に

ユーザー目線とは、より価値のあるプロダクトを生み出すための、ひとつの手法に過ぎません。

ユーザー目線を持つこと自体が目的になっていないでしょうか?
ユーザー目線という手法を用いて、あなたは"誰"に"どんな驚き"を与えたいですか?

"顧客の要求を素直に聞けば、満足させることはできる。でも、驚かすことはできない"  岩田聡

まずは「僕らは何を成し遂げたいのか?」をしっかりと把握しましょう。
それを成し遂げるためにはユーザー目線は非常に重要な手助けになってくれることでしょう。

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