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BEYOND オタク徒然草3

※この文章はアイドルオタクが書いています
※フィギュアスケートは雰囲気で楽しんでいます
※バレエのことはもっと何もわかりません


こちらの続きで、相変わらずショーの話はしないし、今回が最後のBEYONDエッセイで、次回予告からは少し変わって「オタク、10万円ずつ立て替え合う」「オタク、BEYONDを大画面で観る」「オタク、バレエ鑑賞に行く」の3本立てだ。

最後にショーの話をしようと思って、少しずつ書き溜めてるのでショーの話が読みたい方は、もうしばらくお待ちいただけるとそのうちアップされるはずだ。私は明日から本業(アイドルオタク)で山梨野外ライブ2daysという酷暑に正気とは思えない現場に赴くため、移動などの合間に書き進めようと思っている。できれば今月中に間に合わせたい気持ちがあるので、万が一読みたい方がいらしたら応援してください。



お互いに10万円立て替え合うオタクたち

note頻出の友人(山本恭廉さんのファン)とは、チケットや地方のホテル、あるいはチケットを譲ってくださった方へお渡しするちょっとした贈り物など、お互いに払ったり払ってもらったりしすぎていたせいで、途中から都度精算を諦めてしまった。どちらかが大きく負担していたらよくないため、立川大千秋楽公演が始まる前に1度精算しようと思い、重い腰を上げて計算したら、片方が10万円ちょっと、もう片方が10万円弱くらいの立て替えであったため、「なんだ大差ないじゃん」ということになり、またしばらく放置した。
最終的にはお互い10数万円ずつ立て替えが発生し、相殺して差分が2万円はないくらいだったと思う。2人ともが狂いのオタクなので違和感がなかったが、10万円の立て替えは一般的には大金だろう。そもそも我々は学生時代からの知り合いなのでこういう事ができるが、金銭の貸し借りはトラブルのもとであるため、絶対に真似しないでください。



BEYOND 大千秋楽の配信(アーカイブ)鑑賞

BEYOND 立川千秋楽公演の最終公演は配信があり、ごく短い期間はアーカイブの視聴もできた。
私といつもの友人は、大千秋楽の翌日、カラオケのプロジェクタールームを借りて大画面で鑑賞することにした。配信の共有は問題ではないのか、という懸念があるかもしれないが、我々はもちろん2人とも配信を購入しているので安心していただいて良い。
普段、会場でBEYONDを観ているときは喋れないが(どうしても言いたいことがあるときは暗転中に伝えることもあった)、配信は好きなだけ喋りながら観られる。楽しい。カラオケだとタンバリンが置いてあるので、今井遥さんと一緒にタンバリンを鳴らすこともできる。
これまで話して伝わりやすいところについてばかり話していたが、映像があると説明が難しかったところも「ここ!」と言えるのが嬉しい。私が松田悠良さんの真剣オタクだったら最前で入りたくて入りたくて泣いていただろうマニアックポイントも説明できたし。私も友人も、BEYONDで観る所がかなり固定されていたのもあり、配信を観ながら「知らない景色だ……」と新鮮に感動したり、オタクなので、配信に映っていないところについて、「映ってないけどここで○○さんが××してるの良いよね」などと熱心に語り合ったりした。映像はこちらに視界の選択権がないことだけは欠点である。
Blu-rayを手に入れたら、またプロジェクタールームを借りて大画面でBEYONDを観ながらたくさん話したい。BEYONDの話は無限にできる。カラオケのプロジェクタールームは手軽でとても良かったので、みなさんもどうぞ。



BEYONDと好奇心のためのバレエ鑑賞

最初からヴァイオリンと管弦楽のためのファンタジアみたいな言い方をしてしまった。
BEYONDのプログラムについてバレエ好きの方がバレエにも絡めながら色々とご感想を述べていらっしゃるのを目にし、「そうだ、バレエ観よう」になった。というわけでここから先はバレエ鑑賞の思い出が主になるが、最後の最後に急角度でBEYONDの話をするつもりだ。

もともとバレエを観てみたいなといううっすらとした興味は長年あったのだが、心理的にハードルが高く、数年前に旅行でウィーンに行ったときに音楽鑑賞を主眼にオペラ座でいくつかの演目を見た中にバレエもあったのが唯一のバレエ鑑賞経験である。その時はバレエかオペラならバレエの方が個人的には楽しいなと思った記憶がある。
また、私はよしもとのバレエ芸人こと松浦景子さんのYouTubeチャンネル「けっけちゃんねる」のヘビー視聴者であるため、一介のアイドルオタクの割にはバレエ知識があったが、一人でバレエを観るにはあまりに心許ないため、バレエ経験のある友人(いつもの山本恭廉さんファンの友人ではない)を誘ったところ、快く了承してくれたので、チケットを取ることにした。そして観に行くことにしたのはKバレエカンパニーの「蝶々夫人」である。
バレエ素人がバレエを観てみようかなと思った時、真っ先に候補にあがるのはやはりKバレエではないだろうか。アイドルオタクにはバレエはわからぬ。けれども、熊川哲也さんが凄い人であるらしいということは知っていた。先述の「けっけちゃんねる」でのKバレエのプリンシパル堀内將平さんとのコラボ動画で、堀内さんも「Kの作品はバレエをあまりよく知らない人でも楽しめるようになっている」と仰っていたし、けっけちゃんも「初めてバレエを観るよという方におすすめ」というようなことを言っていた。堀内さんとのバレエあるあるコラボ、面白いのとすごいのとで元気になれるのでよく見てしまう。

また、できればストーリーをおよそ知っている演目がいいなと思って「蝶々夫人」にすることにした。オペラそのものは観たことがないがあらすじは知っているし、「蝶々夫人」から着想を得ているミュージカル「ミス・サイゴン」は何度か鑑賞しているため話にはついていけそうだと思ったからだ。なお、「ミス・サイゴン」は見ると「全部クリスが悪いだろ」と怒り心頭になったり時代背景の重さに落ち込んだりしてしまうため、あまり得意な作品ではなく、今回もきっと「全部ピンカートンが悪い」という気持ちになるだろうと想像が付く点は不安であった。なお、バレエの「蝶々夫人」はKバレエでバレエ化してる作品なので、バレエとしての歴史が浅いためお約束がよくわからない素人でも楽しめるのではないかなという期待もあった。素人、ヴァリエーションとか言われてもよくわからないので。「けっけちゃんねる」に上がっているやつならわかる。

そんなわけで今年の5月にKバレエカンパニーの「蝶々夫人」を鑑賞した。蝶々夫人が飯島望未さん、ピンカートンがジュリアン・マッケイさんの回である。飯島望未さんのお名前は存じ上げていたし、ジュリアン・マッケイさんはビジュアルが笑えるくらい良いのでインスタをフォローしている。ボンゾウが宮尾俊太郎さんだったのだが、宮尾俊太郎さんのことはミュージカル「ロミオ&ジュリエット」や「ハリーポッターと呪いの子」で拝見したことがあるものの、本職であるバレエダンサーとしての姿を目にするのは初めてだった。

慣れないバレエ鑑賞、まず出てくる感想としてはとんでもなく頭が疲れるということである。当然だがセリフも歌もなく、場面や登場人物について得られる情報がビジュアルと踊りと音楽のみのため(バレエ玄人であれば「お約束」などからもわかるのかもしれない)、今は何の場面で誰が何を表現しているのかということを、常に頭をフル回転させて理解しようとしないとすぐに展開からおいていかれてしまうため、2幕の間必死で観ることになり、鑑賞後はもうしばらく頭を使いたくないですという気持ちになった。もともと考えることは好きなので、「蝶々さんが自死を選んだ理由とは」「ミス・サイゴンと違ってそこまで暗い気持ちにならないのは何故か」ということなどもあれこれ考えていたせいでもあると思う。
そう、今回の「蝶々夫人」は鑑賞後に暗い気持ちになって、もう当分観たくないなと思ったりしなかった。「ミス・サイゴン」はそういう気持ちになる(良い作品ですが、たいへん重い)。前述の通り、鑑賞後は「ピンカートンがすべて悪い」と怒ることになると思っていたが、この「蝶々夫人」という作品においては、蝶々夫人の強さがとても伝わってきたので「蝶々さん、アンタ大した女だよ……」になってしまい、ピンカートンへの怒りはあまり湧かなかった。ピンカートンが悪くないとは言わない、ピンカートンは悪い。
これはピンカートンを演じるジュリアン・マッケイさんの演技から溢れるどこか憎めなさと、飯島望未さんの演技から感じる「蝶々夫人の自我」の強さによるものだと思う。今回の蝶々夫人、フィクションのキャラクターとしてとても個人的には好みだった。私は好きな文学作品のひとつに夏目漱石の「こころ」を真っ先に挙げる人間なので、お察しください。
「蝶々夫人」と「ミス・サイゴン」という似た作品について自分の感じ方の「差」について考えられるのは面白かった。エンターテイメントが好きで、作品についてあれこれ考えるのが好きな人はバレエを観てみても面白いのではないかと思う。私も次は「白鳥の湖」「くるみ割り人形」といったいわゆる王道の作品を観てみようと思っている。

バレエの技術的なことはまったく分からないが、鑑賞中は「スケートで見覚えがあるやつ」「けっけちゃんねるで見たことあるやつ」となることができたのも楽しかった。飯島望未さんは骨格からして常人とは異なっていたし、重力を感じさせない軽やかさがすごかった。バレエダンサーはみなさん滞空時間が長すぎて、どうなっているか良くわからない。良くわからないがすごいことはわかる。私は良くわからないがすごいと思える経験が好きだ。スケートはスピード感があるが、バレエはゆったりしているので自分で身体を細部までコントロールしている感じがより伝わってきた。
どうでもいい余談だが、カーテンコールで一生懸命「ブラボー!」と叫ばれている方がおり、「ブラボー!」って本当に言うんだと思った。

ちなみに「蝶々夫人」を観て、なんだか想像していたバレエと違ったな、という部分が少しあって、まぁイメージと実際が違うことなんてよくあるし、そもそもすべて私の勝手な想像だしなと思っていたのだが、後日YouTubeで熊川哲也さんの演技を拝見したところ、想像上のバレエがそこにあった。熊川哲也さんって本当にすごいんだな。「熊川哲也 is God」になり経歴を調べた所、本当に神みたいな方だった。浅田真央さんも日本スケート界の熊川哲也さんになってほしい。浅田真央さんのアイスショー、たくさん見たい。

ほぼ初めてのバレエ鑑賞の帰り、バレエ経験のある友人に「よく『良い姿勢』を説明するときに、頭のてっぺんから吊るされてるイメージみたいなこというけど、バレエダンサーみんなそれ」という感想を伝えた時、それを「引き上がっている」というのだと教えてもらった。
ということは、私がBEYONDを見て小山渚紗さんや山本恭廉さんを見て感じていることも「引き上がっている」と言うということだ。天啓。なんとなくこうだなと思っていることにすでに名前がついているというのは、嬉しいような淋しいような気持ちだ。




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