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オタクのオタクによるオタクのための、最高アイスショーBEYONDの感想文

※この文章はアイドルオタクが書いています
※フィギュアスケートは雰囲気で楽しんでいます
※Twitterのことは頑なにTwitterと言います

※この文章を読んでも、BEYONDのショーの内容はたぶん分かりません



まえがき

インターネットに文章を上げるということは、誰にでも見られ得るということであり、最終的に関係者にまで届いたり、それどころかうっかりご本人の目に入ったりする。

詳細は明かさずに2つのグループの現場をハシゴした後日「○○ちゃんとのチェキ楽しかった?」とアイドルの子に聞かれて「さてはツイートを見ましたね?」になったり、Twitterをやってることすら言ってなかったのに握手会で突然「昨日リプで教えてくれた○○見たよ」と言われて「なぜアカウントを知っているのですか?」になったり、現場には足を運んで感想などはインターネットの海に放流していていざ初めてのバーバルコミュニケーションという時に「初めまして」と伝えたのに何かを読んだことを匂わせる返答が来たりする。すべてこれまでの私のオタク人生で経験した実話だ。どのエピソードが誰を推しているときの出来事かは黙秘します。もし私に推されている自覚がある方で、インターネットに残した文章になにか困る表現などがあったら、本当にどうにかして教えてほしい。3秒で消す。

そんなことを経験しているので、インターネットに書いたことは誰にでも届くものだということを実感しているが、そのリスクを背負ってもなおどうしてもアウトプットしたい欲求が抑えきれないので、BEYONDの各プログラムについて感想を残しておく。本当は3月の立川公演のように回ごとの日記にする気でいたのだが、立川千秋楽公演のことを思い出すと、モーニング娘。の「ザ☆ピ〜ス!」を写経すれば事足りるため何も書けなくなってしまう。「ザ☆ピ〜ス!」は人生で大切なことの本質情報が全て詰め込まれており、私が国家元首になった暁には国歌に制定すると心に誓っている曲だ。

話は逸れたが、好きという気持ちひとつで、自分が2万字も書けるなんて思わなかった、とまでは言えないのだが(特技・巻物のようなファンレターを書くこと)、愛と文字数だけはぎっしりの感想文に仕上がった。好きは態度で示すがモットーのオタクなので、愛は文字数と鑑賞回数で示す。

主な登場人物

・筆者
指原莉乃さんプロデュースのアイドルグループ「=LOVE(イコールラブ、通称イコラブ)」のメンバーである髙松瞳ちゃんのオタク。好みの演者に抗う力は、ハムスターの握力より弱い。
BEYONDは2回目までは普通に楽しんでいたはずが、後述の友人に誘われた3回目から突然狂ってしまった。

・友人
現役時代からの山本恭廉さんのファン。BEYONDのことは、人生のボーナスタイムだと思っている。まだ見ぬ同志のため常に恭廉バナーを余分に持参しているし、引退セレモニーの円盤も複数購入している、良いオタク。
BEYONDに真剣になりすぎて、他の趣味に支障をきたし始めているらしい。

・浅田真央さん
最高エンターテイメントこと、アイスショー「BEYOND」の創造神。天であり地であり人。
スケートも美しければ心も美しい。それでいてとってもキュートなのですごい。

・山本恭廉さん
ショースケーター。BEYONDのキャスト。キラキラ笑顔のエンターテイナー。
やばめのオタク×2(友人と筆者のこと)に各地でバナーを持たれているが、もし迷惑だったら誰かこっそり教えてほしい。

BEYOND オタク遠征紀行



開演前

BEYONDは開演前から楽しい。
BEYONDのオフィシャルスポンサー各社のCMが流れるのだが、大半のCMは浅田真央さんがご出演しているため、何度見てもつい見てしまう。個人的には、宝酒造の澪(途中で新しくなったが、どちらも好き)、東邦ガス(モリコロで見られた、とてもかわいい)、佐藤製薬のストナリニS(ストナ→ストナリニS→ストナと変わったので見られた期間は短い)が好きだったが、どれも可愛いので浅田真央さんをCMに起用する良さを感じた。弊社も起用してほしい。BEYONDに通っているとCMも相当の回数見るため、最終的にCMを見ながら浅田真央さんのセリフを完コピできるようになっていた。
ほとんどの公演で最後のCMがJALだったが、開演までもうすぐというわくわく感と、旅行のわくわく感が繋がっている感じがするのも好きだった。



オープニング

キャスト紹介映像、目が足りないのだがBlu-rayには全部入りますか?
縦長スクリーンと横長スクリーンに別の映像が映るし、リンクサイドにもキャストの名前が出るし、嬉しくてどこを見たら良いか分からない。私はオープニング映像の今井遥さんセーラームーン説を提唱しているのだが、今井遥さんは月に代わっておしおき出来そうすぎる。それからオープニング映像の中村優さんの髪型が1番好きで、その話を友人とよくしていたのだが、Twitterなどを見るとどうも少数派のようだった。最後の浅田真央さんの縦長スクリーンに映る踊りがカッコよすぎて、浅田真央さん世界一だろと思ったりしていた。



Sing Sing Sing

BEYONDキャスト、シルエットからゴージャス。キャストのみなさん頭身バランスが良いので、シルエットだけで非日常であり、浅田真央さんの美的センスに感謝した。また、曲・衣装・振付すべてが「ショーに来た!!!」という感じでテンションが爆上がりし、開始即最高になり、舞浜駅で「Zip-a-Dee-Doo-Dah」の発車メロディを聞くくらいテンションが上がる。(今は周年仕様で違う発車メロディらしい)

ゴールドの衣装に負けないキャストの輝きで眩しさに目を瞑りそうになるのだが、ショーは一期一会のため気合で目を見開いていた。なお、シングの衣装は早着替えのため下に次の衣装を仕込んでいるのが察せられるのだが、今井遥さんは次のアイガットで出番がないので、ただでさえ細いのに信じられないくらいすっきりしていた。

ショートに浅田真央さん柴田嶺さん今井遥さん、ロングの上手に男子メンバー、下手に女子メンバーのアピールポジションがあるのだが、あるとき友人と連番していたら山本恭廉さんがオタク気付き顔(そこにオタクがいることに気付いた顔)になったのが分かり、客の見分けがつくんだと知ったことがある。私も友人も演者以外の人間の顔を見分けるのがとても苦手なタイプなので、すごいなと思った。気の所為だったら自意識過剰と笑ってほしい。



I Got Rhythm

アイガットの浅田真央さんはウルトラスーパーキュートで、この世のかわいいを一身に集めている。輝きすぎだろと客席で戦いていたが、最前に座った時にボディラメが物理で輝いていることに気が付いた。ボディラメ、たしか落とすのが大変だったはずなので、なくても輝いているはずの浅田真央さんがわざわざボディラメを使ってくださるのはありがたみがある。

アイガットは衣装が全員カラフルでかわいい(BEYONDにかわいくない衣装はないのだが)。
小林レオニー百音さんはチョコミントみたいな色合いが清涼感のあるほほえみと合っていたし、今原実丘さんは存在がビタミンなのでビビッドなオレンジがぴったりで、小山渚紗さんはリアルバービー人形だった。アイガットの小山渚紗さんに(G)I-DLEの퀸카 (Queencard) 踊ってほしすぎる。ところでアイガットの松田悠良さん、クイーンビーじゃないですか?80年代アメリカ的なテイストとチアリーダー感があり、「アメフト部と付き合わないでほしい」と思いながら見ていた。クイーンビーはアメフト部と付き合う、海外ドラマで学んだ。

BEYONDは揃えるところはもちろん揃っているのだが、すべてを揃えずにスケーターの個性を大事にしているところが本当に本当に大好きで、男子メンバーがデッキブラシを持ってきて踊るところ、ここは横一列で同じ振付なのでそれがとてもよく分かり大好きなシーンだった。立川千秋楽公演で中村優さんがこのシーンに復帰した時、すごく楽しそうで泣きそうになったのも記憶に新しい。私は楽しそうにパフォーマンスする人が大好きだから。
アイガットはアドリブパートが多いのも、楽しみの1つだった。キャスト同士がアイコンタクトを取って、キャスト自身も楽しんでいる様子が伝わってきて好きだった。最後の浅田真央さんのポーズもあまりにかわいかったし、これをステフォ(ステージフォト)にして売り出してほしかった。絶対、写真集に入りますように。

アイガットの最後にひとつ、思い出話しをしたい。一部キャストでトレンチやデッキブラシ(これもカラフルでかわいい)をバックステージに置きに戻った後、ロングのそれぞれ上手と下手の限りなくスクリーン寄りの客席にアイガットメンバーが集合して手を降る時間があった(スクリーン横お構いタイムと呼んでいた、センスがなさすぎる)。最前の人がどこを見ているか、対岸からだとよく分かるため、羨ましいやら悔しいやらで眺めていた。我々も最前でアイガットの山本恭廉さんのこと、見たい。我々が最前だったら爆沸きするし、と思っていた。とはいえ、都合よくピンポイントいい感じのポジションにしかも最前で入れることが起こるわけがないだろうと思っていた。
ところがどっこい、いい位置かつ最前という奇跡は起きた。
それだけでもお釣りが来るほどのラッキーだったのに、なんと山本恭廉さんからの投げちゅーまで来た。そんなことって、あるんだ。
私と友人はアイガットお構いタイムでの山本恭廉さんの視線について、昨年末くらいから投げちゅーの投げ先と視線について喧々諤々の大議論をしてきた。激論を交わしていたはさすがに盛りすぎたが、定期的に話していたのは事実である。ただ、ちょうどいい位置に最前で入れたとしても、目線が来るとはどちらも思っていなかった。アイドルオタクをしていると分かるのだが、演者によっては最前だと逆に見にくくて目線が来ないということもよくあるからだ。それでも最前で見たかったのは、最前はシンプルに視界が開けているからである。
これはいい位置だという時、迫りくる後ろ姿の時点で、我々オタクたちは肩を寄せて小さくなっていたのだが、実際にすぐ近くに現れたら人間予期せぬ幸運が突然降りかかると対処できないもので、友人はあまりの眩しさに目をつぶっていたらしいし、私は悲鳴をあげたような気がする。リアクションが面白くなさすぎるため、やり直したい。
本当にびっくりしたし嬉しかったので、多分死ぬ前の走馬灯とかで見る光景のひとつだ。これまで色々オタクをしてきたが、走馬灯案件だなと思ったことは片手で足りるか足りないかくらいの回数である。このときのアイガットの話は、友人と少なく見積もっても3日に1回はしているし、死ぬまでするし、死んでからもすると思う。そういう誓いを立てました。



ラヴェンダーの咲く庭で

今井遥さん、儚いのに豪快だし豪快なのに儚い、相反する感想を抱かせてくる。ラヴェンダーの今井遥さんは本当に発光している。シングのときは、衣装も全面的にきらきらしているのでギリ錯覚の可能性が残されているが、ラヴェンダーでやっぱり発光しているんだなと分かる。ちなみにある公演後に公共交通機関でキャスト御一行と鉢合わせてしまった友人によると、ステージ外でも発光しているとのことだ。

ラヴェンダーは映像とスケーターの動きの連動が綺麗で、今井遥さんが通った後に花びらが舞うような演出になっているのだが、今井遥さんの足跡は花が咲きそうなので説得力がある演出だ。時々、入りのタイミングの問題で映像のほうが若干早いかなというような時も、今井遥さんは爆速お嬢様なので追いつき追い越していた。
柴田嶺さんは常に高値安定の演技だったが、特に本プログラムでの安定感が抜群で、すべての構成要素をあぶなげばなく、また丁寧に決めていた。さすがのオールラウンダー。オールラウンダーというのはともすれば特徴がないとも取れるのだが、柴田嶺さんは平均点がおそろしく高いタイプなので、実質プリンスということだ。



Say Hey Kid

私は猫目でポニーテールの女の子のことが好きなので、Say Hey Kidの松田悠良さんはド直球のタイプだったし、あまりにも趣味だったので直視しすぎないようにしていた。これまで真剣に推してきたアイドルも、初期はポニーテール担当だった。猫目にポニーテールさせると、私が釣れる恐れがあるのでやめてほしい。最高。Say Hey Kidはアピールポジションも多いし、指差しポジションも多いので、松田悠良さんファンのみなさんは大変だったと思う。私が松田悠良さんのオタクだったら異常執着していたなという席番、Say Hey Kidだけでも3つはある。

キラキラというよりギラギラと言ったほうがいいくらいのスパンコールと羽と明るい色の派手なビジュアルに対して、松田悠良さんの確かな実力と技術が光る構成、オタクが好きなやつであった。BEYONDにはオタクが好きじゃないプログラムが存在しないので、全米が泣くくらいの意味しか持たない形容ではある。
途中から合流するエルニさんは、一瞬のフィーリングを大事にされている生粋のエンターテイナーという感じで眩しかった。私はBEYONDでエルニさんを拝見するたび、この世にこんなに松浦亜弥さんの「ね〜え?」が似合う男性がいるんだなと感動していた。セクシーだしキュートだし、どっちも好きだしどっちが好きかなんて選べない。立川千秋楽公演では最後の決めポーズでエルニさんがベストを脱いで放り投げていたが、羽ってベスト側についていたんだと思った。



Pick Yourself Up

見れば見るほど加速度的に「好き」が増していった1番のプログラムだった。
そして私は未だに怒っている。誰もPick Yourself Upの山本恭廉さんの表情がとてもとてもとてもとても良いことを教えてくれなかったことにである。本当にどうして誰も教えてくれなかったんですか?3月の立川公演で最前に入るまで気付かずに過ごしてしまった。なんということだ。私は衝撃すぎて、その日は2時すぎまで寝られなかったというのに。

Pick Yourself Upはどこを取ってもシンメを感じて最高なのだが、まず衣装、田村岳斗さんだけ黒、田村岳斗さんだけロングのジャケット、ここが良い。田村岳斗さんは顔も良く身長もありスタイルも良いため、ロングのジャケットなのが本当に良すぎる。そして中村優さん、山本恭廉さんが白で普通の丈のジャケット、ハットはジャケットと反対の色、天才の仕業としか言いようがない。森羅万象に感謝。
特に中村優さん山本恭廉さんはビジュアルから雰囲気からなにもかもシンメだし、中村優さんのシャープですっきりした涼やかなスケート、山本恭廉さんの一瞬一瞬に情念を感じるスケート、どちらも良くてどちらも美しく、シンメ。ここをシンメに配置する浅田真央さん、常に大正解しか叩き出さなくて恐ろしいまである。田村岳斗さんにハットを被せてもらったあとの、ジャケットと田村岳斗さんのハット手にしていることもあってすぐに自分のハットをなおす中村優さん、ポジションについてからなおす山本恭廉さん、山本恭廉さんのキャッチ力に全幅の信頼を寄せた中村優さんのジャケット投げ、中村優さんが受け取りやすいように控えめにジャケットを投げる山本恭廉さん、何もかもが美しかった。田村岳斗さんはご自身がBEYONDしすぎていて、最終的に3Tが美しく決まるあまり着氷がほぼ無音になっていた。
私は宮城公演でヤマトヤマモトシンメ大狂い人間になってしまったので説得力には欠けるのだが、やはり田村岳斗さんセンター、中村優さん山本恭廉さんシンメの姿こそが至高である。ヤマトヤマモトシンメに関してはイレギュラーだからこそ良いのであって、この正史こそが映像に残ってほしいのだが、少々心配だ。

立川千秋楽公演でロング上手のアピールポジションでいい感じの席に入っていしまい、うっかり目線をいただいてしまったことがあるのだが、「一生分の目線来たかも」と友人とひとしきり騒いだりしたのだが、このときの我々には「君たちアイガットで投げちゅーを貰う未来がありますよ」と教えてあげたい。なお、この日私は「Pick Yourself Up 山本恭廉 目線 死因」でGoogle検索したが、医療系の論文しか出てこなかった。



シェヘラザード

最初に言っておきたいのだが、浅田真央さんはすごいことをさらっとやりすぎなので、すごいことをやる時はもう少しすごいことやる感を出してほしい。シェヘラザード、次から次へと大技が出されていくため、大盤振る舞いすぎて「へえー!」と思っているうちに終わってしまい、何かよくわからないがすごいことだけは分かった、となるのだが、後から振り返ってよくよく考えると「あの時の浅田真央さん体幹どうなっているんだ」とか「柴田嶺さんの体勢がすさまじかった」となるし、私が誘ってBEYONDを観に来てれた友人は「びっくり人間?」と言っていた。

柴田嶺さんの「このプログラムは僕の人生で1番の作品です」という挨拶を聞いてから見るシェヘラザードは一際輝いて見えた。2回しかチャンスはなかったが。相当露出が多い衣装だが、お二人共健康的な肉体美なおかげで、観ている側に罪悪感がないのが良かった。スケートに限った話ではないが、たまにこちらがいたたまれなくなることがある。当時17歳の推しメン(髙松瞳ちゃんではない)の写真集の水着カットが心底嫌で、写真集を開かずに3年近く見られずに封印したタイプの人間でも、複雑な気持ちにならずに観られて嬉しい。
クライマックスは怒涛過ぎて逆にどこで拍手したらいいか分からなくなっていた。最後のポーズは、浅田真央さんが掲げるのが以前は片手だったのがいつからか両手になったことで、柴田嶺さんの体勢ハードすぎることにやっと思い当たることができた。
アイガットで宇宙一キュートなスマイルを振りまいていた方と同一人物って本当でしょうか。浅田真央さん、実は4人いますと言われる方が納得できる。



カルメン

まず、小林レオニー百音さんのシェヘラザードの空気を一気にカルメンに変える目力、周回で聖母のような微笑みとのギャップで風邪引くかと思った。小林レオニー百音さんのオタクだったら、カルメンで睨んでもらえるポジションに入りたくて頭を悩ませていたに違いない。

今原実丘さんは、笑顔のレパートリーが多すぎる。衣装もとてもかわいくて大好きで、初めてBEYONDを観る友人たちには「美女と野獣のベルみたいな衣装で笑顔がでっかい子がいたら、今原実丘さん」と宣伝して回っていた。今原実丘さんのオタクだったらカルメンだけで入りたいポジションがありすぎて逆ギレしていたかもしれない。転調と表情の変遷がリンクしているのも好きだし、なにより今原実丘さんの踊りの繊細さが分かるので良い。

闘牛士の歌、浅田真央さん、シンメ構成の神。
中村優さん(黒)、山本恭廉さん(赤)をシンメにして、エルニさん(白)をトリックスター的に途中投入する采配の妙、WBC優勝の栗山英樹監督もびっくりだ。カルメン男子衣装、生地が重厚でしっかりした作りのあまりむしろ動きにくかったりしないんだろうか。スケートの話というわけではないのが、ショーやコンサートやライブなどを観ていて、衣装の布がチープに見えて心配になることがあるが、BEYONDは生地からなにからラクジュアリーだった。
私は闘牛士の歌のステップが大好き人間で、なぜ好きなのかと言うと人生を感じるからだ。様々な経験を経て溢れるスケートへの愛を勝手に感じて人生をステップに見い出している。山本恭廉さんの話だ。また、闘牛士の歌では山本恭廉さんの「そこから加速するんだ!?」という異常に上手いスピンも楽しむことができる。

ハバネラは、小山渚紗さんの上半身の動きが優雅で好きなので、それを堪能できる振付で眼福だった。最後のポーズのときの誇らしげな顔つきも好き。
それから、山本恭廉さんが小山渚紗さんの巻きスカートを持ってハケる後ろ姿を最後まで見たことがある方はどれくらいいるだろうか。スカートという思い出の縁にすら焦がれている様が最後の最後まで伝わってくる。江戸川公演で間近に見てしまい、世界観がすごすぎると思ったのだが、当時はBEYOND初心者だったのでうまく説明できず、帰り道に友人に「どこか分からないが、世界観すごいなと思ったところがある」という話をしたら、2秒で「カルメンの巻きスカートでしょ」と返ってきて面白かった。カルメンとすら言っていないのに世界観のキーワードだけでピンポイント正解を叩き出すオタク、間違いなく私と同類のオタクなので、信頼できるオタクだなと思った。私は演じる世界に没入する演者が大好きなので、多分この巻きスカートを持ち去る後ろ姿でオタクスイッチの3割が入ったんだと思う。

ジプシーの踊りは、今井遥さんから秒速5センチメートルの初恋の風が吹く問題のプログラムである。以前にnoteで今井遥さんリア恋話をしたら、少なくない共感の声をいただいたほか、立川千秋楽公演で初めてBEYONDを見た方から「老若男女問わず恋に落とすタイプ」という感想が届いており、私がおかしいのではなく今井遥さんに初恋感じさせ力があるのだということが証明された。
今井遥さんの衣装、派手すぎになりそうな組み合わせの色にも関わらず、絶妙な配色と丈感と今井遥さんの微笑みにより、上品に纏まっている。今井遥さんは儚げな美人なのに、黒×ショッキングピンクも着こなせるので強い。それでいてリンクを爆速で縦横無尽に駆け抜けていくし、しかもポニーテールで、Say Hey Kidのくだりに書いたように私はポニーテールの女が好きなので、よろしくなかった。巻きポニテのふわふわの毛先と爆速のスケーティング、あまいとしょっぱいの塩梅がまるでハッピーターンであった。たしか今井遥さんはくるくるとターンを繰り返すし、優美な微笑みの今井遥さんは観ているだけでハッピーである。
たまにお顔に髪が張り付いてしまう日などもあったが、それも美しさをしみじみと感じていた。今井遥さんがスケートのインストラクターだなんて、初恋泥棒間違いなしだろう。

そして最後の前奏曲、ジプシーの踊りまででも最高だったのに最後に全員登場してしまった。カルメン、ブルボンのアソートパックくらい満足度が高い。ルマンドとエリーゼだけでも戦えるのに、ホワイトロリータもあるし場合によってはアルフォートまである。大学時代、仲良い同期がみんなアルフォート好きで、誰かしらアルフォートが鞄に入っていたせいで「アル中(アルフォート中毒のこと)」を自称していたことを思い出す。
エルニさんと山本恭廉さんの待機姿勢がたいそう美しく、私が彫刻家だったら彫刻にするのにと思ったが、学生時代に苦手科目は美術と答え続けた破滅的芸術センスの持ち主であるため、私は彫刻家ではないので彫刻にできなくて残念である。
友人が「シンバルになって山本恭廉さんに拾われる音になりたい」という奇特な願望を持っていたので、カルメンを観るたびに「この音になりたんだな」と思いながら観ていたのも思い出深い。シンバルの音の時、山本恭廉さんのポーズの余韻の残し方が素敵で、ポーズより少し長く目線が残るのでオタクたちは心を奪われていた。このアピールポジションとチャルダッシュでのアピールポジションの1つがニアピンだったため、激熱ホットスポット(重複)と化しており、友人は「そこに座っている人はみんななぜ無事なのか」と憤慨していたが、「そこに座っている人は基本的にオタクではないので無事なのだ」と教えてあげたことがある。髙松瞳ちゃんのオタクをしていて学んだのだが、強火単推しオタク、推しを見る時の解像度が他者とは違うのだ。経験上、オタクは特定の人物・箇所にピントを合わせており(あわせるというか、勝手に合うのでオートフォーカス搭載である)、解像度が4Kになっているが、そうではない人間は全体をなんとなく観ているものなのである。
カルメンの終わりは、鐘の音が聞こえる中で今井遥さんのタンバリンがしゃらしゃら鳴りながら遠ざかっていくのが、えも言われぬ良さがあった。



バラード第一番

浅田真央さんってスケートがうまい。そして、表現者で芸術家で求道者である反面、ガッツあるファイターであることが伝わってゾクゾクするプログラムだった。私が誘ってBEYONDを観てくれた人、全員が1番にバラ1の感想が出てきたし、私も「これから先BEYONDの中で1つのプログラムしか観られません、どのプログラムにしますか?」と言われた時に泣きながら選ぶプログラムの上位候補だ。

3Loや2Aで予定通りに決まらなかったとき、状況を適切に判断して行けそうなら2Aを4本に増やしてくるのを見て、一番かっこいい負けず嫌いだなと思った。誰かと比べてとか、何かと競ってどうこうではなく、自分で課したハードルに対するジャッジが厳しく、自分自身に負けることを許さないタイプだ。私は夏休みの宿題をギリギリまでやらないどころか、9月に入ってから着手するような怠惰な人間であるので、人生を恥じることになった。私ももう少しストイックに生きたい、オタクに関してはストイックだが……。
バラ1での3Loがどうしても近くで観たくて、ロング下手の限りなくスクリーン寄りのアリーナ席を常に探していたのだが、全く見つからず、相当色々な角度から見られたからあとはここだけなのにという状況まで追い詰められたまま立川千秋楽公演を迎えた。たまたま詳しい席を知らないでお譲りいただいた席で、ようやく間近で浅田真央さんの3Loを見られた時は、満たされた気持ちのあまり成仏するかと思った。

衣装はシンプルながら、真央さんの動きに合わせて翻る裾が上品で美しく、シルエットが絶品だった。バラ1でもステップに物語を感じ、私、スケートで好きな要素ってステップだったのかもしれないという気付きを得た。また、ピアノの音と浅田真央さんの振りの繋がりが好きで、その音でアクセントを取るのは非常によく分かるという部分が大半ながら、ここの音でアクセント入れるんだと意外に思う所もあり、優れたバランス感覚に脱帽であった。

さらに2Aを簡単そうに3本(たまに4本)連続で跳ぶため、「もしかして我々でも2Aを跳べるのではないか」と錯覚させられる。絶対に無理なのだが。終わりの深呼吸で浅田真央さんも人間なので酸素を必要とするんだなと思うのだが、次の幻想即興曲で体感90秒後に衣装・髪型をチェンジして出てくるので、やっぱり浅田真央さんは複数人いるのではという疑念に駆られるのであった。



幻想即興曲

何度見ても「すべて」を見ることは不可能だった。
3月の立川公演くらいまではあちらを見たりこちらを見たり、どうにか全員を観ようと頑張っていたのだが、その後に無理だと潔く諦め、何度か見て好みだった浅田真央さん・小山渚紗さん・山本恭廉さんのうち、その日の自分の位置から見やすい所、あるいはとても好きなのでどこからだろうが絶対に見たい所を見るようにしていた。全体をBlu-rayで見られる日を楽しみにしている。
友人が幻想即興曲強火担だったので、私が初めてBEYONDを観る前に「幻想即興曲の山本恭廉さんを見てほしい、白いティッシュみたいな衣装の曲だ」と言われており、白いティッシュみたいな衣装とはなんぞやと楽しみにしていた。実際に見て、私だったら水族館のクラゲ水槽みたいな曲だと説明していたなと思ったため、揃いも揃って芸術的センスが欠けたオタクたちである。

まずスタートの今井遥さんの精悍な表情がたまらないのだが、美人の笑っていない顔は迫力があって良い。先ほどまでタンバリンの音色と可憐な微笑みを振りまいていた方と同一人物なのを思うと、一粒で2度美味しい。浅田真央さんが登場する直前の、中央に集まってセンターが小山渚紗さんの時の小山渚紗さんのラインの美しさは毎回凝視していた。
浅田真央さんが登場する時の演出を「モーセ演出」「現人神演出」と呼んでいたのだが、浅田真央さんは神々しいので海が割れて出エジプトできそうだし、浅田真央さんの通る道には荒れた大地であろうが花は咲き豊穣をもたらすにちがいないので、納得の演出である。
山本恭廉さんは表情の変遷が白眉で、私は特に序盤の鋭い表情が好きだったが、中盤の柔らかい表情、終盤の再びの鋭い表情と1プログラムで三度おいしい展開であった。最初に観た時は、なぜここでその表情なのだろうと心に引っかかるところがあって、それから気になって見るようににあったのだが、ある日突然「私って幻想即興曲のこと何も分かってなかったかも!?」と雷が走った。幼少期にピアノを習っていた時期があるが、今となっては弾きも弾けもしないものの、聞くならショパンが好きで、幻想即興曲ももちろん聞いたことがあったが、いままでなんと漫然と幻想即興曲を聞いていたんだろうと反省することになった。私にとって最高なものは、観た瞬間に最高になるものと、何度か観ているうちにある日突然最高を理解してしまうものの2パターンがあるが、今回は後者であった。みなさんもBlu-rayで最高を理解していただきたいが、映っているかは五分の賭けな気がする。



シュニトケ:タンゴ

エルニさんは、Say Hey Kidで「Hey Hey Hey!!」とショートを陽気に煽っていた人と同一人物とは思えない豹変っぶりであった。浅田真央さんはじめキャスト全員が「先ほどのプログラムと同じ人だとは思えないのですが……」という感じなのだが、キャストオーディションで即興演技を取り入れたという話なのでなるほどである。
そしてやはりエルニさんのイメソンは私の中では松浦亜弥さんの「ね〜え?」一択だ。セクシーなの(シュニトケ)キュートなの(Say Hey Kid)どっちが好きなの?というわけだが、私はどちらも好きなので選べない。私がエルニさんのオタクだったらシュニトケのスタートポジションが1番入りたい位置かもしれない。オタクはすぐ、自分がこの人のオタクだったらどうするかを想像する。

シュニトケって中村優さんのベストバウトじゃないですか?勝負ではないけど。
ダウナーでメロウなアンニュイさ、髪が伸びたのもシュニトケでの魅力は増し増しだったと思う。本当にすごく好みだったので、愛知(モリコロ)公演が最後になってしまってショックだった。エンターテイメントの世界、後から振り返って「あの時が最後だった」ということがままあるのが辛い。
中村優さんが休演になって、エルニさんと山本恭廉さんで繋ぐようになっていたが、改めてこの短い時間にジャンプを4本も跳んでいたのだなということに思い当たり、さすが #beyondのジャンパー だなとなった。シュニトケでジャンプを跳びまくるため、BEYONDを観に来てくれる友人たちには「よく跳んでいたら中村優さん」「家業は寿司屋」と説明していたのだが、「じゃあ中村さんを推したら、将来推しの握った寿司が食べられるの?」というコメントがあった。オタクの才能がある着眼点だし、推しの握った寿司、パンチが強い。もしこちらをお読みの方で「推しの握った寿司」を食べた経験がある方がいたら、ぜひDMで感想を教えてほしい。私はアイドルを辞めた元推しが美容系の仕事に就いたことがありますが、絶対に関わりたくないので行ったことはない。

山本恭廉さんの関節の可動域と目力どうなっているのだろうか。死人はギリギリ出ていないが、友人は息も絶え絶えになってた。
それから山本恭廉さんのスピンは本当に美しい。私が清少納言だったら枕草子に「きよらなるもの 山本恭廉さんのスピン」と書いて1000年残せたのに、なぜ私は清少納言ではないのだろうか。noteがサービス終了するまではせめて残したい。山本恭廉さんのスピンはどこからどう見ても異常に上手いので、どうにかして世界に伝えなければと思い、以前の遠征日記にサブリミナル効果のように「山本恭廉さんのスピンは異常に上手い」と3箇所くらいに仕込んだところ、本当に効果があったので嬉しかった。何名かの方から「この記事のおかげで、山本くんのスピンに注目できました」という声を本当にいただいてしまい、うっかり社会の役に立ってしまった。大千秋楽公演の配信のアーカイブをカラオケのプロジェクタールームで観ていたら、キャッチフットの瞬間になぜかブレードが映されてしまいオタクたちは大きな悲鳴を上げた。Blu-ray、期待しているのでよろしくお願いします、オタクの命が懸かっているんです。
スピンの話をこれだけしておいてなんだが、私がシュニトケの山本恭廉さんを好きな1番の理由は他にあって、命を燃やして一瞬に真剣になっていることが伝わるからである。一瞬に真剣になれる演者、大好物です。
山本恭廉さんに限った話ではなく、BEYONDキャスト全員から感じることだが、BEYONDを届ける側からすると各公演は1/103公演でも、一人ひとりの観客にとっては1/1公演で、それをキャストがよく分かってくれているなと思う。残念ながらこれが分かっていない演者が世の中に掃いて捨てるほどいることを、それなりに長いオタク人生で痛感している。私も友人もそれからきっと常連のみなさんも、n回観てはいても、そのうちのたった1回にだってそれなりの対価を払って、金銭やスケジュール等万障お繰り合わせて、人によってはおしゃれしたりとかして、また今週の仕事頑張ろうとか乗り越えたりして、その1回を楽しみにしている。これは観る側が好きでやってることと言われればそれはそうなのだが、そうやって1回を大事にしている観客に対し、演者側もちゃんと1回1回を大事にしてくれているのはすごく嬉しいことだ。

田村岳斗さんが1人で出てくると、「顔、良」になってしまう。シュニトケのイーグルとか。先日、長野五輪の映像を拝見したところ、あまりの美形ぐあいに混乱した。こんなのをリアタイしてしまったら人生狂わされるだろう。結構な頻度でお見かけした年季の入っていそうな田村岳斗さんファンのみなさまはやはり長野で狂わされたのだろうか。
田村岳斗さんについてどうしてもしたい話があるのだが、田村岳斗さんってズルくないですか?顔がよくボケたがりで、他のメンバーのコメント中に「持ち上げて」とジェスチャーで要望したり、新潟でお客さんに自分を褒める言葉を仕込んだりするのに、本当に自分のカッコいい所は本人からは絶対に出てこなくて周りから出てくる。立川千秋楽公演でマチソワ間に浅田真央さんの練習を見守っていたことも、浅田真央さんから暴露されていた。
ところで田村岳斗さんがご自身のYouTubeで、BEYONDへの参加打診については浅田真央さんが「グループナンバーだけ」「大丈夫大丈夫」と仰っていたと語っておられたが、シュニトケだけ見ても「グループナンバーだけ」というのは、たしかに嘘ではないが必ずしも実情を反映していないのではないかと思った。幻想即興曲からチャルダッシュまで出ずっぱりだし、恐ろしくハードである。



白鳥の湖

最初に観た時、スタートからすごい(物理的に)冷たそうだなと思った。ここから私と友人は小山渚紗さん定点観測の者になる。小山渚紗さんの白鳥、肩甲骨から羽が生えているので、小山渚紗さんは前世か現世かさておき、ご自分の身体に羽が生えていたご経験がおありなのだと思う。バレエをやっていたことがあるのだろうなと思っていたら、どうもそうではないらしい。私も友人もずっと小山渚紗さんを観ていたので、立川千秋楽公演期間中に万が一小山渚紗さんに穴が空いたら我々のせいだという話をしていて、小山渚紗さんに穴が空かなくてよかったなと思っている。

柴田嶺さんはとにかく演技がうまい。ただでさえディズニープリンスのようなビジュアルなのに、表情の作り方がディズニーアニメなので、つまり実質ディズニープリンスということだ。柴田嶺さんの演技ですごいなと思うのが、表情も動作もはっきりしているのに過剰ではないところにある。アリーナの前列で見てもやりすぎだなと思わないか、スタンドから見ても感情表現が分かりやすい。

浅田真央さんの白鳥は、腕が長くて毎度新鮮にびっくりしていたのだが、浮世離れしているというか俗世と隔絶させられてる感じがあって白鳥だった。ヒップホップ系もジャズ系も難なくこなすのに、バレエ系までできるので、浅田真央さんにこなせないダンスはないのかもしれない。

今井遥さん小山渚紗さんのデュオでは、毎回毎回どっちを見ればいいか決められず、どうにかして両方観るのは難しい配置だったので、奥歯をすり減らしながら近い方を観ていた。今井遥さんは白鳥が人になったらこういう美しい人になるに違いないという輝きだし、小山渚紗さんは白鳥が人になっているとかではなく白鳥そのものであった。

黒鳥はとにかく衣装が格好良い。白鳥と真逆で、俗世にまみれているというか欲望渦巻くオーラで、白鳥と同一人物かはかなり疑わしかった。王子とロットバルトの2人がかりでリフトされるやつ、これもさらっとこなされているがバランス感覚と体幹がしっかりしていないと絶対にできないのですごい。
黒鳥とロットバルトが去って、王子→ロットバルト→黒鳥グランフェッテ→王子→王子と黒鳥、と怒涛の畳み掛けが来るのだが、メインディッシュしか出てこないコース料理のようだった。目まぐるしくてついていくのがやっとである。黒鳥のグランフェッテはすごすぎて毎度意味がわからなかった。意味は分からないが、すごいことは分かる。
騙されたことに気がついて絶望の淵に立たされる柴田嶺さんが良すぎて、いつも演技がうますぎるなと思っていた。白鳥の湖という作品は、ハッピーエンドとそうじゃないバージョンの両方があるらしいが、イケメンは曇らせたいのでハッピーエンド版ではなくて良かった。

白鳥の湖のプログラム、壮大で優美でとにかくすごいので、最初観たときはこれで本編が終わりなんだろうなと思った。終わりじゃなかったので普通にびっくりした。栃木公演で隣の方が「これで終わりかな?」と話されていたので、やはりみんな同じことを思うんだなと感じた。



チャルダッシュ

今まで秘密にしていたのだが、私がBEYONDに大狂いしてしまった原因の3割はチャルダッシュにある。つまり犯人はチャルダッシュ、人ではないから犯プログラムはチャルダッシュ。我こそはチャルダッシュから生まれたチャル太郎、チャル狂いオタクである。

話は遡るが、私が初めてBEYONDを観たのは神奈川(相模原)公演で、当時は「浅田真央さんが新しいショーをやるなら観に行きたい」という軽い気持ちでチケットを申し込んだし、キャスト全員の区別が完璧につくとは口が裂けても言えないミーハー浅田真央さんファンであった。私にもそんな時代があった。そして自分にとっての初日公演を終えた後、まず思ったのは「バラ1とチャルダッシュ、絶対にもう1回見たい」「チャルダッシュかわいすぎて気が狂う」だった。バラ1はともかく、浅田真央さんを観に行った結果浅田真央さんが出ていないチャルダッシュに狂ってしまうのは、オタクの才能の片鱗を感じざるを得ない。

チャルダッシュはまず、衣装がとんでもなくかわいい。ディアンドル風だが、もともとディアンドルにロマンを感じていて旅行でハルシュタットに赴いた際に買って帰ろうか真剣に検討したこともある。どう考えても飾るしか使い道がないのでやめたが、ディアンドルが好きなのは変わっていない。ディアンドルが好きな人間がチャルダッシュの衣装を好きなことは火を見るより明らかだろう。
女子衣装は、パフスリーブの袖は当たり前にかわいいし、花かんむりのような髪飾りもかわいいし、ふわっと膨らんだスカートもかわいいし、回った時に裾が美しく膨らんで白と緑・橙のバランスが良くてうっとりする。
男子衣装はブラウスの開襟具合も編み上げのようなリボンもかわいいし、ベストの丈もかわいいし、ベルトがあることでブラウスの裾がひらひらしているのもかわいいし、ベストとベルトの間に少しだけブラウスの白が見えるのもかわいい。つまり全部かわいい。すべてかわいすぎてオタクはめろめろだった。
先日、本当にたまたまなのだが、身近にアトリエヨシノにお勤めの方がいらっしゃる方とお話しする機会があったので、「すみません、チャルダッシュの衣装、本当に本当にかわいくて大好きって伝えていただいてよいでしょうか?」と口走ってしまった。アトリエヨシノさん本当にありがとうございます、超可愛くて頭が上がりません、相模湖方面に感謝しながら生きていきます。

チャルダッシュはアピールポジションが多すぎる。今井遥さんは最前一帯の一人ひとりと丁寧に目を合わせてくださるので、最前は全員瀕死だ。友人は最前で今井遥さんが来てしまった時、「怖い怖い怖い」とつぶやいていた。嘘みたいな話だが、本当に声に出ていた。それくらい、ありがたすぎて怖い、おさげだし。好きな女のおさげが嫌いな女、いないから。私もチャルダッシュの今井遥さんを最前で浴びてしまったあと、目がバキバキになってしまったのか2時まで寝付けなかったこともある。チャルダッシュの今井遥さん、かわいすぎて入眠に悪影響があるので、Blu-rayを観る際は気を付けてほしい。
今原実丘さんは特にチャルダッシュでの笑顔が抜群に大きく、小さいお顔から溢れんばかりだった。またキャストのアピールポジションの狭間のときは、どちらを見ていいかわからないので、交互に2秒ずつ見たり、右目と左目で両方を目に入れようとしてどちらも中途半端になったりもした。

ウィールでは今原実丘さんと山本恭廉さんが外側で隣同士だが、2人とも足がぴょんぴょんしていて、かわいすぎて頭がおかしくなるところだった。もうおかしくなっているのかもしれない。山本恭廉さん、チャルダッシュでは常に足元が驚きのかわいさなので、鑑賞後はよく友人と山本恭廉さんの足元について話していた。Blu-rayできっと天井からのショットがあると思うので、絶対に見てください。かわいくてかわいくてかわいい。

小林レオニー百音さんと今原実丘さんがセンターでペアで踊っている様子は世界中のハッピーを集めた空間だったし、小山渚紗さんのスパイラルは美しい。小山渚紗さんといえば、スクリーン前の待機の時のポーズがとても綺麗だった。手先から首の角度から、すべてが美しくかわいかった。
田村岳斗さんは、いつからかペアの今井遥さん(と観客)を笑わせにかかっていたが、その田村岳斗さんを見て思わず笑みがこぼれてしまったというような笑顔の今井遥さんは、かわいすぎて恋だった。人生をやり直せたら、どうにかして初恋の人を今井遥さんにしたい。

先ほどからかわいいしか言っていないが、チャルダッシュは本当にすべてがかわいいので仕方ない。本当になにもかもかわいくて、衣装かわいい振付かわいいフォーメーションもポーズも髪型ももれなくかわいくて、かわいいの階乗、かわいいの致死量に達していた。人類の死因にまだ「かわいいの過剰摂取」がなくて助かった。



カプリース

浅田真央さんここにきて尋常じゃなく動き回るので、体力が無限にもほどがある。私は浅田真央さんよりは年下だが、1日2公演座って観ているだけで疲労困憊だったし、立川千秋楽公演期間中は耐えきれずマッサージに駆け込んだ。

浅田真央さんのソロのプログラム、不思議なことに氷上には1人しかいないのに観る所がありすぎて、目が足りなくなる。スパイラルは世界で1番美しくて、これが歌舞伎だったら絶対に大向うから掛け声が聞こえてくるのになと思っていた。
ショートの最前のあたりにはよくスポンサーや大物関係者とおぼしき方がおられて、カプリースではたまにもっと沸いてほしいなと思うこともあったが、半ば仕事で来ているような方の場合、はしゃぎすぎるのは憚られる気持ちは社会人としては理解できるので、大変だなと思ったりもしていた。浅田真央さんと一緒に扇子で仰いでいる浅田真央さんファンの方がよくいたのも、好きな光景だった。私も浅田真央さん真剣オタクだったら扇子を持っていたどころか、大量に仕入れて会場で無料配布していたかもしれないので、勝手にシンパシーを感じていた。

会場からの拍手を煽る浅田真央さんは本当にキュートで、毎回友人と「浅田真央さんかわいすぎる」と感嘆の声が漏れていた。立川千秋楽公演で、スクリーンの向こう、バックステージのキャストやスタッフを煽っていた時、観客が盛り上がりすぎて聞き取りづらかったが、「真央ちゃーん!」と叫んでいる声がうっすらと聞こえたのもラブアンドピース。
大千秋楽公演では、カプリースにきて初めて「終わっちゃうんだ」と思った。大千秋楽とか抜きにして公演自体が本当に楽しいおかげで、最終公演だということすら忘れかけていた。



愛の夢

クラシック界でも王道中の王道、クラシックに特段の興味がなくとも聞き覚えくらいはある曲だが、スペシャルな人が使うとスペシャルな曲になる。以前、スケート関係者の方が「本当に優れたスケーターはよく使われるような曲を使うべきではないと思う」というようなことを述べておられて、その時もしっくり来なかったが、今でもやっぱり同意できない。本当に特別な人、ありふれた曲を使ってなお特別になる。

小山渚紗さんのスピンがI字の回は、今日はいい日だなと思っていたし、浅田真央さんの柔らかい表情が曲とぴったりで大好きだった。
先日、愛の夢が聴きたくなって、YouTubeで反田恭平さんの演奏を拝聴したのだが、聴きながら山本恭廉さんのスケートを思い浮かべていた。私にとって、愛の夢がスケートになったら山本恭廉さんになる。きっとBEYONDを観られた方は、それぞれ愛の夢がスケートになったら好きなキャストのことを思い浮かべるのだろう。
私は愛の夢の山本恭廉さんで好きなところがひとつあって(ギリ説明できそうなところがひとつというだけで、本当はひとつではないが)、浅田真央さんが登場する直前のイーグルからの首を撫で下ろすところなのだが、密かに楽しみにしていたのに途中から2回だったのが1回になって、1回を観るのに必死になることになってしまった。そこを必須栄養素として生きているオタクが約2名いるのですが……と思っていたら、別のプログラムで再会することになり、寿命が延びた。

ところで、私は愛の夢で初めて大物扱いされる田村岳斗さんのファンである。幻想即興曲からチャルダッシュまで驚くほど続けて出番があるので麻痺していたが、愛の夢に来て初めてそういえば田村岳斗さんって大物だったな、と思い出した。



BEYOND

観客からの拍手を受ける浅田真央さんの微笑みが素敵すぎて愛だった。愛を受けて愛を授ける人だし、会場にいる全員が浅田真央さんのことが大好きなのが伝わって良い。私も浅田真央さんのこと、もともと好きだったがさらに大好きになってしまったので、分かるし嬉しい。好きな人が優しいと嬉しいし、好きな人がたくさん愛されているのはとても嬉しい。

BEYONDのテーマ、本当にいい曲だし、衣装のマーブルの羽がかわいい。かわいいので、立川千秋楽公演期間中は羽をモチーフにネイルにした。キャストが横1列で手を振っている後ろ姿も、手を降る動作に合わせて揺れる羽が綺麗だった。羽を背負うのって宝塚だけじゃないんだな。



千秋楽特別プログラム

キャストが全員、浅田真央さんのもとから飛び立ってしまうような演出に、盛大な卒業式だと思って寂しかった。私、まだBEYONDから卒業したくない。
そういえば立川千秋楽公演では入場の時にグッズ(冊子)がもらえたが、コメント入りのフォトブックで、卒業アルバムだと思って泣いた。1人で昼食を食べているときに見てしまったので、大戸屋号泣異常成人女性になってしまった。

グッズといい、千秋楽特別プログラムといい、丁寧に終わりを分からせにかかってきて、辛いがありがたかった。エンターテイメントは儚いので、「終わります!」ときっぱり言って終わってくれるというのは親切だ。



おまけ・周回

BEYONDでは通常のアイスショーと比べるとゆっくりめの周回があったので、突然BEYONDに通うことになったアイドルオタクには問題があった。プロスケーターvs強火単推しアイドルオタクの戦い、つまり山本恭廉さんと私の戦いである。戦いと書いたが、別になにも戦ってはいない。アイドルオタクだが実はレスを貪欲に求めるタイプでもなく(そもそも論スケーターはスケーターなので、レスを求めるのは畑違いだろう)、戦ってはいないが、演者にあなたのことを見ている人間がいることをお知らせしたい気持ちと、会場に山本恭廉さんの名前を宣伝しなければならないという勝手な使命感はあった。友人、いつでも貸せるように恭廉バナーの予備まで用意しているし。

初めて友人作の恭廉バナーを持った日、知らないオタクを目にした山本恭廉さんは「知らない人が知っているバナーを持っている」という顔をなさっていたので、こんなに素直な演者がいるんだと感動した。中盤は友人と分裂しだしたこともあってか不思議そうな顔をしていたが(私も不思議だと思う)、最終的には分裂と結合を繰り返すオタクがいるのに慣れたような表情になっており、達成感があった。特になにも達成はしていない。異物に見慣れていただいてありがたい限りだ。

山本恭廉さんは立川千秋楽公演の入場特典に「またお会いできる日を楽しみにしております」とコメントされていたので、またアイスショーで拝見できる日を切実にお待ちしています。友人も私も、好きな演者に年単位の空白期間があろうと変わらずフルスロットルでオタクを続けた実績(前科とも言う)があるので、本当に本当に心の底から待っています。



あとがき

最高ショーことBEYONDの大千秋楽公演が終わって、1ヶ月が経った。昨日のことのように思い出せる気もするし、遠い昔のような気もする。私は高松瞳ちゃんに関しては一人で北海道から沖縄まで追いかけるオタクだが、BEYONDで友人とオタクして誰かと感想で殴り合える楽しさがあった。友人とはいまだに2日と空けずにBEYONDの話をしている。別の要件で連絡しても、いつの間にかBEYONDの話をしている。オタクの熱量、今もなおエクストラホット。誰かと話せるというのはオタクにはとてもありがたい。見たものが幻ではないことを確かめ合える。BEYOND最終公演日、友人にとってはきっとオタク人生最良の一日になったと思う。真剣にオタクしてきたことを知っているので私も「ザ☆ピ〜ス!」を感じてしまい、友人より泣いた。
ここで銀河で1番の推しメンこと髙松瞳ちゃんの宣伝だが、誰かを強く応援してる人は、その人のことを思い浮かべながら髙松瞳ちゃんのソロ曲「僕のヒロイン」を聴いてほしい。泣けると思う。

私はオタクするならリスクヘッジ含め柱が2本ほしい人間で、以前は髙松瞳ちゃんともう1人推しているアイドルの子がいて安定していたのだが、その子がアイドルを卒業し、何かにハマりたいなと思っているところにBEYONDと出会い、最終的にこうなった。
そのアイドルを卒業した子と最後のお話会では、「私も幸せになるから、○○○ちゃんも幸せになってね」と伝えた時に、「それ(あなたが幸せになること)大事!!」と言ってもらった。そういう意味で言ってくれたわけではないだろうが、私、BEYONDに出会えて幸せになった。今も頑張っているあの子へ、私はちゃんと幸せです。



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2023/09/09 追記
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