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サイバーエージェントの広告事業とAbemaTVに圧倒的シナジーがある件

先日、アドバイザー先に質問された内容、「メディア+○○」のビジネスモデルの3つの仮説を記事にしたら予想以上の反響をいただいたので、今回はとある海外在住の友人(インターネットに詳しくなく、投資関係の仕事をしているヤツ)から相談を受けた内容をもとに書いてみます。

メインの問いはコレ。

サイバーエージェントはabemaTVでどこまで会社を伸ばせるの?

直近の2018年1Q決算発表の資料(PDF)によると、2018年度は

売上4200億円
利益300億円

を目指すとのこと。年間200億円のAbemaTVへの投資を含めてこの数字なので、あと5年でどんなことになるんだろうか。

「自社メディア+販売力」をベースに、ゲームや金融を含めた「インターネットに軸足を置く」あらゆる事業を手がけるサイバーエージェントですが、前回の決算発表資料の広告事業部門、Cygamesのあるゲーム事業と比較して同様の営業利益はすごくないですか?

そこから話は始まりました。全部で15個の質問に答える形式で話を進めます。最後の一つだけデリケートな話題ですので課金部分になります。

Q1:サイバーエージェントが広告代理店としても強いのはなんで?

A1-1.新しいものに強い

2010年頃から全社にスマートフォンシフトを敷いて一気にシェアを取りに行ったのが効いてる。サイバーZというスマホ特化部隊と、サイバーエージェント本体、そしてグループ各社を競わせるほどの徹底ぶり。

A1-2.自社メディアと代理店部門の両方を持ってる

遡るとサイバークリック、そしてamebaブログや自社のアプリなど、自社で運営するメディアを自社で販売できる強さがある。その点で、広告代理店としてのプランニングの幅が広い。(自社メディアに偏ってしまうデメリットもらう)

 2011年からは僕らが運営していた「アドラッテ」というリワードメディアの広告を販売していただいたが、その販売力はオプト、セプテーニ、アドウェイズ他と比べても圧倒的だった。(その後、「メディア+販売力」の法則に乗っ取り、類似商品を自社で開発し、リプレイスに成功)

A1-3.技術力、プロダクト開発力が他代理店より高い

効果測定ツールやアドネットワーク、リワード事業など、広告周辺プロダクトを内製し、スピーディーに改善していた。
 特に、スマホの効果測定ツール、F.O.Xは広告とのセット導入でシェアを取っていった。一昨年くらいからは、イスラエルのAppsFlyerやドイツのadjustにシェアを奪われているっぽい。広告主として、なるべくフラットで高性能なツールを求める傾向が強まったため。僕もこの2年くらいからはアプリのプロモーションにはAppsFlyerかadjustを使うことが多いです。


Q2:新規事業のabemaTVと代理店部門とのシナジーはあるの?

A2:ある。

abemaTVにおいてもメディアの制作から運営、広告営業まで一貫してできることはプラスになると考えられる。立ち上げ当初のパワーが足りない中で、メディアのコンテンツづくり、ブランディング集中するための資金の供給、広告を入れ始める際のクライアントソースなど、一気通貫でできるのはこの会社だけだと思います。


Q7:abemaTVの広告が売れるようになるにはどのくらいのユーザー数が必要?

A7:WAU1,000万人

マスメディアとして広告ビジネスをするためには「WAU1,000万人を目指す」と藤田さんが決算発表で明言している。参考までにMAUで考えると、倍の2,000MAUくらい必要ではないか。


Q3:そもそも、日本のクライアントはなぜ広告代理店を使うの?(インハウスではなくて)

A3-1:運用が細かいし、メディアがバラけているから

googleとYahoo!はよいとして、SNSの利用がバラけている。とくにLINEや、Twitter、facebook、インスタ、その他アドネットワークなどすべてを内製で回せる会社は少ない。(最近のスタートアップだとイケてるマーケター一人いれば大体回せたりはするけど)理想はインハウスでチームをつくりつつ、めんどくさいところは代理店に任せたいところ(マージン15-20%が人件費に対してペイするくらいで)

A3-2:社内の異動が多いから

特にナショナルクライアントだと、所謂「マーケティングのプロフェッショナル」が少ない。宣伝部やマーケ部は移動先の一箇所として、ローテーションさせるためノウハウが社内に蓄積しづらい。一方で、発注先との癒着を防ぐ、などのメリットもあると考えられる。

このQに関しては、いろんな理由がありそう。コメントかTwitter(@ossam)で教えてえらい人!


Q4:これからの広告トレンドは?

A4:ユーザーの滞在時間がだんだん移っていくよね。

サーチ(google、Yahoo!)

 →SNS(facebook、Twitter、Instagram)

  →メッセンジャー(LINE、messenger)

  +動画(Youtube、ここにAbemaTVも?)

あと、僕らが運営する写真で一言ボケて(bokete)とか、バーチカルで一人あたりの滞在時間が長いコミュニティも、ブランディングには面白い時代になってくると思います。コラボしたい方は下記よりお問い合わせください(宣伝w)


Q5:広告配信においての技術的な差ってあるの?

A5:技術的というよりは、取れているユーザーデータに差がある。

facebookが一番リアルに近い個人情報を持っているため、ターゲティングが強い。(年齢、性別、趣味どころか、類似ユーザーを出したりするテクノロジーもかなり精度が高い)最近問題になってる部分だけども。
一方、実名制ではないLINE、Twitterは現状はターゲティングに限界がある。AbemaTVは「マスメディア」って言ってるから、ターゲティングに強い広告商品をメイン商材とはしないでしょう。


Q6:競合でもあるLINEの広告事業はLINE PAYの導入によって伸びるの?

A6:決済の情報とつなぎこむとターゲティング精度が上がってプラスになる。

LINEは、LINE PAYをアプリのタブに加えたけども、これがwechatみたいに普及して、広告のターゲティングにも使える?(規約読んでないけど)としたら面白いのかな。しかし、そもそもLINE PAYが普及するかは分からない。



Q8:ユーザー数はYoutubeが圧倒的に強い中、abemaTVにクライアントが広告を出す理由ってある?

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