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「メディア+○○」のビジネスモデルの3つの仮説

とある支援先と戦略MTGをしていたときに、「広告関連のビジネスをやる際のマーケットサイズ」みたいな話がでたので、僕の考えをまとめてみた。

※全然見当違いの部分もあるかもしれないのでその際はコメントかTwitterなどで指摘してほしい。

※アイキャッチがGunosyなのはなんとなくです。

仮説1、広告モデルでIPOまでいったスタートアップは、強い自社メディアかパートナーメディアを持っている

メディア事業+アドネットワーク事業でIPOした会社でいうと、

・Gunosy:自社のGunosy+GunosyAdsのネットワーク

・Freakout:自社のアドネットワーク+MTburnによるLINEの面

などが浮かぶ。

Gunosyは当初はメディアから入り、あとからパートナーメディアを増やしてアドネットワーク事業を伸ばしていった。上場後も、KDDIと組んでニュースパスを提供するなど、強い面を押さえているのが特徴。

一方でフリークアウトのアプローチは逆で、当初のメイン事業はDSPだが、子会社のMTburnがLINEの面のパフォーマンスアドを押さえ、強いメディアを持つことになった。同じく、規模は大きくはないが日本交通とのタクシーアドも共同事業としての自社メディアと言える。

古くはPC時代からYahoo!+overture+YDNが圧倒的強さを誇っていたし、海外なら

・google:google(本体、YouTube、などなどメディア)+Adsence(アドネットワーク)

・facebook:facebook+facebook audience network

もすべて「メディア+アドネットワーク」モデルである。(Twitterはアプリ解析ツールのfabricを持ち続けていたら、そのSDKに広告を出せる機能も積んだのだろうか。※今はgoogleに譲渡済み)

同様に規模の大きいSmartNewsも同様のモデルであり、今後IPOを予定しているだろう。

モデル的には上記だが、おそらく規模の関係でM&Aされたケースでは、iQONなどがある。

一方で、メディアの人材とアドテクの人材を共存させるのはなかなか難易度が高そうだ、とも思う。チームでメディアを守りたい人と、広告を入れたい人の利害が真逆になってケンカするし。


仮説2、メディア単体あるいは、アドネットワーク単体の場合は、ほぼほぼM&AがEXITとなる

では、メディア単体やアドネットワーク単体の場合はどうだろうか。

メディア単体の場合 (買収先)
キュレーションメディア系のMERY(DeNA)、iemo(DeNA)、CuRAZY(ベクトル)、grape(ニッポン放送)、KAUMO(ベクトル)、ViRATES(グッディア ※その節はお世話になりました)あたりはすべて2-35億円程度のM&A。

※メディア一本足打法でIPOまで行ってなお好調と言えるのはgamewithとUUUM。ゲーム特化だったり、Youtuberだったりとマーケットサイズと伸びしろが圧倒的にあるので、これまでは広告を外部に依存しても問題なく、さらにタイアップなどのアップセルで伸ばせるの可能性があるとも言える。

アドネットワーク単体の場合 (買収先)

アドネットワークだとATLANTIS(GREE)やノボット(KDDI)、DSPのScaleout(KDDI)、SSPのkauli(VOYAGE)、動画アドネットワークのAppVador(KDDI)、FIVE(LINE)、Popin(Baidu)などなど、思いつくところはほぼ10-40億円程度のM&A。

※SSPで上場したVOYAGE(ほか事業もあるけど)、Genieeすごい。


メディア+アドネットワークモデルが強い3つの理由

なぜに?という本題だが、この3つのメリットがうまく回るからだと思う。これまでHALO時代にメディア事業単体にこだわってスケールするチャンスを逃したり、アドネットワーク事業がニワトリタマゴで立ち上がらなかったり、といった反省もある。

1.他メディアの獲得が容易になる
もし自社で強いメディア(例えばGunosyなど)を持った状態でアドネットワーク事業を開始した場合、既にあるクライアントの広告案件を自社以外のメディアにも供給できるので、車輪の両輪であるメディア獲得スピードが圧倒的に早まる。

2.クライアント獲得がドライブする
同時に、自社以外のメディアが増えれば自社を含むネットワーク全体としてボリュームが増し、クライアントへの影響力を増すことができる。

3.利益率が向上する
広告事業の利益率の構造をざっくり解説すると、クライアントが出す金額を100%としたの場合、代理店が20%、レップが10%、アドネットワークが20-40%、メディアが30-70%をとる。(代理店、レップは入る場合と直接営業の場合がある)
大手の広告を得るのに代理店が20%の利益をとるとすると、残りの80%をすべて取れるのが「メディア+アドネットワーク」を自社で持った場合になる。一方で、アドネットワーク単体だと20-40%の粗利になり、利益率は広告代理店の範疇にとどまる。

上記の3つが揃わないと、ワンオブゼムのメディアか、ワンオブゼムのアドネットワークとなってしまって、マーケットに影響力を持つことが難しいのかな。

※そう考えると、当時はほぼインターネット広告事業のみで上場まで持っていったサイバーエージェント、セプテーニ、オプト(僕もお世話になりました)はすごかった。その後は各社それぞれ・・・

※海外では、CriteoやMillennial Media、AppLovinなどアドネットワーク事業のみでスケール出来ている企業もある。

仮説3、メディア+ユーザー課金はピュアにコンテンツを届けたい人やプラットフォームによい

もし僕がやるならメディア事業だけをやりたいし、その逆でアドテク事業だけをやりたい人もいるだろう。でも、スケールするにはメディアからアドテクまで全部やらねば、というのが現状だと思う。

そうでない道を探す際、もしメディア事業でスケールを目指すならユーザー課金という手もある。僕はクックパッドや食べログなどに毎月300円支払っていますが、ユーザー一人あたりのARPUを考えると広告事業よりも単価が高い。(facebookは1人あたりの広告売上/月が先進国では200円を超えているので、課金並の収益率を担保できているとも言える)ただ、それには、ユーザーが課金したくなるほどの強いコンテンツや機能、エモーションが必要になってくる。
※追記 noteやmediumは広告を廃し、課金収益をユーザーとプラッフォームで分け合うモデル。企業タイアップのみコンテンツとして提供。
僕自身の好みとしては、「課金した人だけこの機能が使えるよ、とかランキングが見れるよ」というのは意図してストレスを生み出すことになるので、「ファンだからお金で応援します」みたいな課金が気持ちいいなあ、と思っています。

そして、メディア+○○?

ユーザからお金をもらうことはビジネスの発想としては当然だし、払いたい人が払えば良いと思う。

ただ、僕は全員が平等に無料で使えるサービスが好きなので、やっぱり広告モデルも捨てがたい。たとえばテレビって、そこがすごいところ。日本全国、だれでも無料で見れる。そっちを目指してもよいと思うんです。

もし、そのモデルをインターネットでやるとしたら、BuzzFeedみたいなブランド広告スタジオをもつモデルならスケールできる可能性があるかなあと。日本ならTABILABOやOneMediaがアドテクではない、メディア+広告モデルの新しいカタチとして出てくると思います。あと、北欧暮らしの道具店はメディア+EC+ブランド広告ですね。これも素敵。広告なのにストレスがない。

ちょっと長くなったので、要望あったら続きはまた書こうと思います。

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