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防大の実態 現職教授が実名告発絶対服従の上下関係で 学生200人以上が犯罪に関与も〜すべてがNになる〜

2023年7月7日【2面】 

いじめやパワハラ、保険金・補助金詐取といった犯罪行為さえ横行―。自衛隊幹部の養成機関である防衛大学校(学生数1997人、神奈川県横須賀市)の実態を実名で内部告発した同校現職教授の論考「危機に瀕(ひん)する防衛大学校の教育」が6月末、インターネット上で公開され、波紋を広げています。


 論考を公開したのは文官(非自衛官)教官の等松(とうまつ)春夫氏(国際関係学科)。等松氏は、同校の教育には、軍事組織の命令系統の意識を育てるため上級生による下級生への「指導」が制度として取り入れられており、1~4年生は「学生舎」で8人一組の集団生活を送っていると説明。その結果、「個人倫理よりも集団の論理が優先される環境で、悪質な上級生が『指導』すると、下級生は悪に染まり、学生舎は、いじめ、賭博、保険金詐取などの諸悪の温床」になっていると告発しました。

 等松氏は、こうした構造の産物として、防大生らが部活動や訓練で負傷したと偽り保険金を不当に取得した事件(2013年に発覚)が発生したとしています。

 さらに19年、防衛学教育学群の准教授だった海自の3佐が、妻が経営するペンションに学生が部活動で宿泊したと見せかけて防衛省の共済組合から支払われる補助金を詐取した事件が明るみに出ましたが、詐取には200人以上もの学生が関与したとしています。

 同3佐は、学生1人あたり8千円の補助金が支払われると2千円を自分の懐に入れ、6千円を学生に渡す方法で、計30万円以上を着服していたといいます。

 等松氏は、こうした事件が長らく発覚しなかったのは、「准教授や上級生という上位者の主導で行われていたため」「下級者は報復が怖くて不正を告発できず」にいたからだとしています。

 さらに等松氏は、過去に不祥事を起こした人物が教授の座に就くなど劣悪な指導体制なども告発し、こうした実態が防大生の任官拒否や中途退校激増の背景にあると指摘しています。

 等松氏は6日現在も同校に在職。総務課は本紙の取材に対し、論考が公開されたことは「承知している」と回答しましたが、事実関係については期限までに回答はありませんでした

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