マイナ問題、デジ庁に立ち入り検査へ 行政指導も視野 情報保護委〜すべてがNになる〜

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マイナンバー(個人番号)に別人の情報が登録された一連の問題で、個人情報保護委員会(個情委)が、デジタル庁に立ち入り検査をする方針であることがわかった。早ければ月内にも実施する。個情委は重要な個人情報であるマイナンバーの利用に際し、「リスク管理と対策ができていなかった」とデジタル庁の責任を重くみており、マイナンバー法にもとづく行政指導も視野に検討を進めている。

 マイナンバーやマイナンバーカードをめぐっては、政府が普及と利用の拡大を急ぐ一方で、他人の健康保険証や年金情報とひもづけられるなど個人情報の漏洩(ろうえい)が相次いでいる。行政指導が実施されれば、制度を直接所管する官庁に対する異例の措置となる。

 個情委は今月5日の会合で事案ごとに対応方針を整理し公表した。このうち、国民が給付金を受け取るための公金受取口座登録制度で他人の預貯金口座が登録された事案でデジタル庁の責任を重視。実際の操作ミスは住民の手続きを支援する自治体の窓口で起きたが、「デジタル庁が正確な操作手順の徹底のほか、リスク管理及び対策ができていなかった」と分析した。

識者「個情委の姿勢が問われている」

 この誤登録は、6月末までに940件確認された。銀行名や口座番号などを他人が見られる状態になっていた。個情委は同30日にデジタル庁からマイナンバー法に基づく報告書を受け取ったが、立ち入り検査でさらに詳細を調べる必要があると判断した模様だ。

 このほか、マイナカードを使った「コンビニ交付」で他人の住民票が交付された事案などで、関係機関への指導を検討している。デジタル庁への検査は、政府が進める「総点検」の完了をまたずに入る方向だ。

 マイナンバーは国民一人ひとりに割りあてられた12桁の番号で、国や自治体が住民の情報をやりとりするのに使う。行政事務の効率化につながる一方、原則として生涯不変で個人を必ず特定できるため、漏洩した場合のリスクが高い。このため、マイナンバー制度を所管するデジタル庁ではなく、独立性の高い第三者機関である個情委が監視監督を担っている。個人情報保護法の特別法にあたるマイナンバー法は、マイナンバーの用途や管理のあり方を規定。行政機関や事業者に対しては、「マイナンバーの適切な管理のために必要な措置を講じなければならない」などと定めている。

 マイナンバー関連では個情委が2019年、入力業務を無許諾で再委託したなどとして、国税庁などに行政指導したほか、委託業者がハードディスクを物理的に破壊せずに廃棄した結果、販売されてマイナンバーを漏洩したとして、20年に神奈川県に対して指導した例がある。

 南山大学の実原(じつはら)隆志教授(憲法・情報法)は「マイナンバー制度をめぐってこれだけのトラブルが起き、個情委も、深刻な事案だと判断したのだろう。銀行口座など重要な個人情報が一般の人にまで漏れてしまう問題などが相次いだのに、これまで個情委の存在感は薄かった。トラブルを受けた総点検も、本来は個人情報保護を担う個情委が主導すべきだ。マイナンバー制度に関し、個情委は政府の政策を追認し、利活用を優先してきたように映る。立ち入り検査やその他の対応にどう臨むか、個情委の姿勢が問われている」と話している。(渡辺淳基、柴田秀並)

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