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イージス搭載艦2隻8000億円当初計画の3倍超に膨張〜すべてがNになる〜

2023年9月4日【2面】

 防衛省は2024年度予算概算要求で、「イージス・システム搭載艦」2隻分の建造費を計7900億円と初めて公表しました。2年前に想定していた約5000億円から約1・6倍、出発点である陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」(陸上イージス)の導入経費と比べると、3倍以上に膨張。安倍政権時の米国製武器爆買いが“負の遺産”となっています。

 防衛省は本紙の取材に、内訳を▽米軍需大手ロッキード・マーチン社製のレーダー「SPY7」やイージス・システム、発射装置などの取得費約4100億円▽船体の建造費約3800億円―と説明。1隻あたりの建造費は3950億円で、海自が保有する艦船で最も高額な「まや」型イージス艦の約1680億円と比べて2・3倍にもなります。

 イージス搭載艦は、秋田、山口両県への配備を狙っていたものの、住民の反対や技術的な問題で2019年に破綻した陸上イージスの代替措置です。本来なら、計画を全面撤回すべきでしたが、当時の安倍政権は対米関係を考慮し、「イージス・アショア」に搭載するSPY7レーダーの延命に固執。延命策としてイージス艦への搭載を計画しました。

 防衛省は19年当時、住民説明会で、陸上イージスは1基あたり約1200億円、建設費や維持管理費を含めたライフサイクルコストは、約4389億円と説明していました。

 一方、イージス・システム搭載艦について防衛省は21年当時、1隻あたり約2500億円と想定。さらに、SPY7の洋上仕様への改修や、イージス艦の大型化など、費用は雪だるま式に膨らんでいきました。

 建造費に加え、維持管理費(30年間)はイージス艦の場合でも1隻1500億円程度かかります。これを含めると、総額1兆円を超えるのは確実です。ミサイル発射試験場の建設費などもかさみ、まさに青天井です。

 イージス搭載艦には、敵基地攻撃能力に使える米国製の長距離巡航ミサイル「トマホーク」や「12式地対艦誘導弾能力向上型」、極超音速兵器(HGV)迎撃ミサイルの搭載を計画。ミサイル防衛と敵基地攻撃を一体にした「統合防空ミサイル防衛(IAMD)」の一翼を担います。

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