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【洋書多読】Confessions(238冊目)

Confessions by Kanae Minato
 
総語数: 69,360 words by Words Counter(※)
 開始日:2023年11月18日
 読了日:2023年11月26日
 多読総語数: 9,661,603 words

(※Minato Kanae で検索)

『Confessions』というフィクションを読了しました。

「Confession」は日本語に訳すと『告白』です。湊かなえのベストセラー小説の英語訳版ですね。

この『告白』は、今回僕が読んだ英語はもとより中国語、韓国語などのアジア圏の言語にとどまらず、フランス語やイタリア語、ポルトガル語にまで翻訳されているそうです。

本書を読んでみようと思ったきっかけは、偶然YouTubeで見つけたアメリカ人によるこちらのブックレビュー動画です。

大雑把に要約すると「ものすごく良かったんだけどどんなふうにこの良さを表現したらいいかわからないくらい、奇妙な文体の奇妙な物語だった。こんな本は読んだことない、すごい…」というような感じです(ちなみに、自動生成の日本語訳は結構ぐちゃぐちゃなので、視聴されるなら英語でどうぞ)。

このレビューを視聴し、原作の『告白』日本語版が持つ独特の感じが見事に英語に翻訳され、アメリカ人の読者を魅了することに成功しているんだな、という印象を抱きました。僕も本書は随分昔に日本語版を読んだことがあって(もちろん当時は英語なんて読めやしません)ものすごく面白くってページをめくる手が止まらなかったのと同時に、このレビュワーと似たような読後感があったからです。

ならば読んでみるしかない。しかも今はそれなりに英語もできるようになっている。そんなわけで英語版をKindleにダウンロードして読み始めたのですが、英語版もまた、仕事がなければ日がな一日読んでしまうなこれは…というページターナーな作品でした。

英語レベルは中級。腕試しにピッタリ?

レベル感は以前同じように読み始めて止まらなくなった東野圭吾の『The Devotion of Suspect X(容疑者Xの献身)』に近いものだと感じます。

『Confessions』も『The Devotion of 〜』同様、英語はシンプルで読みやすく、あまりごりごりに凝った修辞的表現もありません。強いて言えば終盤のMoriguchi先生の告白の箇所が若干表現が硬くて読みづらい印象がありました。

ただ、個人的には難しいというよりも、「なるほどこの日本語のニュアンスを表現するのには倒置の仮定法を使うのか‥」などなど、大変勉強になったというのが正直なところです。決してやさしい英文法ではないですが、とはいえ高校基礎〜大学入試レベルまでの英文法ですから、決して難解とは言い難いと思います。

具体的にはTOEIC700点台後半、英検準一級レベルの英語力があれば十分読めると思います。TOEIC700点代後半・英検準一級といえば、日本人としては十分英語が「できる人」にカテゴライズされると思いますが、そこからもう一歩先に進みたい!と思っている人の腕試しに丁度いいレベル感の小説、そんな感じがしました。

もちろん、それ以上の英語力をお持ちの方なら、言語の違いを超えて湊かなえワールドに引き込まれ、グイグイ読み進めてしまうこと必至です。総語数も70,000語弱で長すぎず短すぎず。それなりの達成感を保証してくれるボリュームです。


そんなわけで、Kanae Minatoの『Confessions』でした。

本書は日本人原作の小説ですし、難解ではないものの決してやさしいとは言い難い英語に翻訳されているので、「ネイティブがネイティブに向けて書いたシンプルな文章を大量に読む」という狭義の洋書多読には当てはまらない一冊だとは思います。

しかしながら、ある程度の英語力がある方なら、魅力的で幻惑的なプロットはもちろんのこと、日本人の仕事がどんなふうにプロの翻訳家の手で英語にTranslateされるのか?という視点からも楽しめる一冊なんじゃないかなと思います。

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