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英語学習の質を大きく左右する「マインドセット」の話

英語コーチとして活動するようになって3年が経過し、これまでたくさんのクライエントさんの英語学習のお手伝いをさせていただいてきました。

今日は、そんな3年間の経験から得られた「英語ができるようになる人」と「英語ができるようにならない人」を分かつ境界線について、お話しようと思います。

少し残酷な事実が含まれている箇所がありますので、念のため【閲覧注意】とさせていただきます。勇気のある人は、お進みください。

「ネガティブ」と「自分に厳しい」は違います

コーチングって、ものすごく乱暴に要約させていただくと「クライエントさんの『できる』を見つけて伸ばしていく仕事」です。欠点を論って潰していく作業ではありません(どちらかというとそれはティーチングに近いかも知れません)。

が、これがどうしても入ってこない人がいます。褒められても、評価されても、「それは褒めすぎ」「いや、そんなはずはない」と頭から否定しにかかるクライエントさん、結構いらっしゃるんです。

こういう方、一見ご自分に厳しくストイックでらっしゃるので、お願いしたタスクの達成率やクオリティはまぁまぁ高いです。

が、3ヶ月、半年…が経過しても、実際のところはコーチングを開始してくださった最初の頃と英語力があんまり変わっていないんです。

一方で、ぐっと英語が伸びてくる方というのは、批判に対してだけでなく、肯定的なコメントに対しても素直に受け止めて吸収していかれます。

気づいたのは前者は「マイナスをゼロに持っていくのが得意なクライエントさん」であり、後者は「ゼロをプラスに変えていく」のが得意な方である、という傾向です。

そして前者の方においては「ゼロ」が上限、リミットになります。自分はできない人間だ、だからコーチングを頼んでいるのだ、とか、いろんなことが「自分には能力がない」という前提から始まっているんですね。言ってみれば自分に自己催眠・呪いをかけているということですね。

一方で、後者の方は「頑張ればできるようになる」と思っているので、その英語力は実際継続学習と努力次第で際限なくどこまでも伸びていきます。

もちろん、好ましいのは両者をお持ちの方ということになるというのは論を待ちません。

両者を分けているのは「私はできない/能力が低い」というネガティブ思考です。こういう方の英語の伸びは残酷なくらい緩やかです(伸びない、とはいいません)。
反対に、ポジティブ・シンキングで自分に厳しい方。こういう方がぐんぐん英語を伸ばしていかれる方です。

あなたの学習をドライブするもの

世の中には困難を乗り越えていくことそれ自体にある種の喜びを感じる方、というのがいらっしゃいます。できる、できない以前に「とりあえずやってみる」そして「できるようになるための努力を惜しまない」人です。

「マゾ」でも「ストイック」でも「Growth Mindset」でも、呼び方は何でもいいんですけど、この手のタイプの方は「これまでできなかったことができるようになる」未来の自分に出会うことを心から楽しんでおられます。

一方でネガティブ思考の方というのは「どうせ自分なんか…」という考えが先に走りがちなので、畢竟成長そのものが鈍化します。むしろ、才能というのは生まれながらに決まっていて、努力や学習ではどうにもならないと思っておられるフシさえあります。

鈍化どころか自分で自分の成長に制限をかけてしまうんです。

英語力が天賦の才によってその伸びを規定されるんであれば、僕の英検一級一発合格はどうしたって説明が付きません。だって、外大で落ちこぼれて2年も留年して、授業では先生の言うことが一ミリも理解できず、卒業後徹底的に英語から逃げ回っていた人間なんですよ?高校の時の偏差値だってだいたい50にちょっと毛が生えたくらいのもんだったんです。決して神童だったわけでもなんでもありません。

もし、才能やセンスだけが人間の能力の大部分を規定するのだとしたら、下手したら司法試験より難しいと言われる英検一級に、僕のようなある種の凡庸さだけで成り立っているような人間が、一発で合格できるということがありえますでしょうか(もちろん反語です)?

じゃあ僕を英検一級ホルダーに誘っていってくれたものってなんだったんでしょう?僕の大切なクライエントさんたちを英検一級レベルまで持っていってくれたものは、一体なんだったんでしょう?

それ、楽しめてますか?

それは「困難な状況を楽しむことができる」マインドセットです。

例えば多くのクライエントさんにとって「単語学習」は最も困難な学習の一つです。みなさんも学生時代にウンウンとうなりながらあまり頭の中で意味を結ばないアルファベットの文字列を日本語の意味に変換して暗記された記憶、ありますでしょう?

そのイメージをそのまま大人の英語学習に持ち込む方がいらっしゃる一方で、この状況を楽しむ/楽しめる方、というのがいらっしゃいます。

例えば、100均なんかでフラッシュカードを買ってきて、楽しくデコレーションしながら覚えられない単語を書き出していかれる方。タイムアタックのようなゲーム性を課して単語を覚えるプロセスを楽しもうとする方。お気にいりのアプリを導入される方…工夫次第でこの退屈な単語学習をカラフルなものに変えていかれる方、僕のクライアントさんにたくさんいらっしゃいます。

一方で、ただひたすら「苦しい」「辛い」「やりたくない」と嘆きながら単語帳を進めていく方がいらっしゃいます。そういう苦しみや辛さの愚痴を聞いてもらえたり、ご自身の至らなさ、不甲斐なさのガス抜きをしてくれるのが「コーチング」だ、と。そのために高い金を払っているんだと。

皮肉でもなんでもなく、僕はこのタイプの方たちに敬意を表するのに全くためらいうところがありません。

その困難さに時に涙を流しながら「もうやりたくないです」と訴えるにも関わらず次回のセッションまでにきちんと単語チェックテストで合格できるだけのクオリティに語彙力を持っていかれる方を、本当に心から尊敬しています。

しかしながら、それがおそらくはその方にとって「苦しいもの」であったがゆえに、チェックテストが終わった途端に綺麗サッパリ獲得された語彙を忘却の彼方に追いやってしまい、たまに復習テストを実施してみた時に愕然とするようなスコアを叩き出してしまう…というシーンに星の数ほど出会いました。

そして確信を深めていくことになるんです。
英語学習は「楽しんだ」ものが最後に勝つゲームなんだな、って。

そしてその「楽しむ」を、サポートさせていただくのが僕の役割なんだなって。

だからなのか、英語を楽しんでおられるクライアントさんとの間にはものすごく良いバイブが生まれます。そういう方というのは放っておいてもご自身でどんどん課題を見つけて克服していかれるので、コーチング開始時には「そんなゴールを設定することになるなんて思いもしなかった」ような目標をコーチング期間中にどんどん見つけて、それらを次々とクリアしていかれます。

成長が著しいので、毎週一回のZoomセッションが楽しみで仕方ありません。

一方で、コーチング・英語学習をどこか苦行のように取られえているフシのある方というのは、ただひたすら「苦しみに耐える」かのように英語を続けておられます。

もちろん苦しい中頑張って日々のタスクをこなしてくださる、そのことに対しては100%の敬意を払いますし、そのことをお伝えします。でも、「辛いことに耐える力」というのは「辛いことを耐える力」でしかないことが多いんです。この忍耐力そのものが英語力を伸ばしてくれる、ということはあまりありません。むしろ、もっと効率的に伸ばせるはずの英語の伸びをスポイルする可能性すらあります。

そしてとても残念ですが、これらの方々は、おそらくコーチング期間が終了した時点で英語学習を辞めてしまわれるか、そう遠くない将来のどこかの段階で英語そのものを諦めていかれる方々である、というのは火を見るより明らかである、と言わざるを得ないでしょう。だってやってて辛いんだから。

英語は「続けていれば、できるようになる」んだから

コーチングが終了したあとのその後のクライエントさんの学習動向なんて、「お金儲け」の観点から言えばどっちだって良いことなのかもしれません。

きちんと対価を頂いて、最初にお約束した期間のコーチングを提供させていただいてはい、終わり。それ以降のクライアントさんとの関わりには対価が発生しない分、1ミリでもそんな方達のことを思っている時間は純粋な「損失」にカウントされます。そんな時間があるならnoteの記事でも一本書いていた方が、生産性という意味ではなんぼかはマシというものでしょう。

でも、僕はやっぱり苦しいまま英語コーチングを卒業された方のことを思わずにはいられません。

だってそれだとあまりに惜しいんですよね。だって英語は「続けていれば、誰にだってできるようになるアクティビティ」なんですから。

特別な才能も必要ない、言語的なセンスも、高いIQも、国家公務員試験や司法試験に合格できるような卓越した暗記力も、ノーベル賞を受賞できるような天才的な直感やひらめきを要するわけでもありません。

ただ、続ける。昨日やったことを今日もやる、そしてそれを明日につなげる。それを何年も何十年も続けていく。ただそれだけです。1日1時間学習する人より、1時間30分学習する人の方が前者のそれより少しだけできるようになる速度が早い。とてもシンプルなゲームです。1時間23分にすると、なぜか1時間半学習した人より英語ができるようになる、とか、これさえやれば1日10分でOK!知らない間に英語がペラペラに!みたいなのもありません。

でも、そんなシンプルな法則をある種のネガティブなマインドセットで台無しにしてしまう。投資とかなら「やればやるだけ損をする」っていうようなこともありますけど、学習は投資ではありませんし、教育は商品でもありません(これはまた別の長い話になります)。

やればやるだけ伸びていく。そしてその先には「その学習を始める前には思いもしなかったような(大抵は素敵な)未来が待ってくれている。それが英語学習です。


それでもまだ「いや、私なんて…」って仰っしゃいますか?多分それって、「英語」というシンプルでそれでいて豊かな宇宙の中においては、ほとんどあなたをどこにも連れて行ってくれる可能性のないMINDSETだと思うんですよね。

だから「英語学習法」を云々する前に、まずは勇気を出して「英語に対する向き合い方=マインドセット」を考えてみませんか?そうすれば、きっと英語学習が今以上にもっと素敵なものに見えてくるはずで、それは必ずあなたの英語力を好ましい方向へと導いてくれるんですから。

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