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英語学参の革命児『英語のハノン(初級編)』を使った英語学習をおすすめしたい理由と注意点

今年の10月10日から『英語のハノン』を使って学習を続けています。

この『英語のハノン』を取り入れ始めてから、英語の調子がとてもいいです。日本人の英語力を構成する色んな部分を総合的に使うので、すごく「効いている」感じがするんです。

chapter 9「受動態」を終えて、折り返し地点が少し過ぎた所なので、これまでに感じている『英語のハノン』の効果について、思うところを書き記しておこうと思います。

今学習に取り入れておられる方はもとより、本書の購入を検討されている方も、参考にしていただけると幸いです。

効用1.パターンプラクティスによる無駄のない英語の習得

文法を文の型(パターン)を通して身につけ、瞬間的に使えるようにするための練習方法を「パターンプラクティス」と呼びます。 身に付けたい文法表現が入った例文を少しずつ変化させながら、繰り返しトレーニングするこのメソッド「瞬間英作文」が有名です。

自分の頭の中に浮かんだ考えを文法規則に従って英語に変換してアウトプットしていては、実際の会話では置いてけぼりを喰らいます。自分が口にした英文が文法規則に則っているかどうかは話しながら意識してはいけません。

ではどうやって正しい英語を話すのか?

「正しい英語のパターンを覚えて、それを場面に応じて使い分ける」んです。「I love you」という英文が使いこなせれば「You must love me.」と言ったり「He loves her very much.」と言ったりなど、元になる英文にちょっとした変化を加えて言いたいことを無限に広げていくことが出きます。

決して人は「ええと、loveはここでは他動詞だから、この文章は第3文型で、だから前置詞はいらないので、、、」とか考えません。パターンプラクティスは、この英語のアウトプットを可能にしてくれるトレーニングです。

効用2.日本語を挟まない練習で効率UP!

先に言及した「瞬間英作文」、大変効果的な英語習得法のひとつなんですが、最大の欠点が「母国語(日本語)を英語に翻訳する」という方法で英語を習得するという学習スタイルです。

実際の会話において、英語でアウトプットすべき場面で日本語をかまして思考していると会話のテンポが狂いますし、一気に置き去りにされてしまいます。そういう「間」を辛抱強く待って話をしてくれるのは英会話の先生くらいのものです。

英語は英語のまま考えて英語のままでアウトプットする必要があるんです。

僕も実は41歳で英語を学びなおし始めた時に手にとったのが「瞬間英作文」の教材でした。確かにある一定のところまではスムーズに英語力を伸ばすことが出来ましたが、その後、よりレスポンスの早くてスムーズな英会話に移行していくにあたって「まず日本語で考える癖」を抜くのに本当に苦労しました。

英検一級に合格してTOEIC900点を超えた今でもなお、少し抽象的な話はまず日本語で考えてしまいます。聞く時も、話す時も。これは中級→上級に移行していくにあたっては大変な障壁なんです。

『英語のハノン』は、教材こそ日本語で書かれていますが、実際に練習で使う音源に日本語は一切挟まれていません(後述)。英語を英語のままで考えて口に出す訓練。これは非常に効果的で、今、日本語で考える癖が急速に抜けていっているのを実感しています。

効用3.英文法が「分かる」ではなくて「できる」ようになる

きちんとした講師について適切なメソッドに従いトレーニングが積めるなら、英文法学習って必要ありません。でも、大抵の人はそうはいかないですし、今学習している英文がこういうロジックでこのような成り立ちをしているのか?を知りたくなってしまうのが人の性というものです。

『英語のハノン』は、その辺りもきちんと練られた上で編集されています。とはいえ、日本語の英文法書のような微に入り細を穿つような、言ってしまえば「どうでもいい」文法知識を網羅的に記述しているわけではありません。

『英語のハノン』では、英文法を「縦軸/横軸」に分けて考えています。縦軸は「5文型」=つまり、英語を操るために必要な5つの「型」です。この5つの型を使いこなせるようなりつつ、「助動詞・疑問文・否定文」などの、すべての文型に適応される英文法項目を「横軸」として縦軸に織り込むことで、「知識としての英文法」を「使える英文法」に変えていけるように構成されています。

これは「英文というのはすべて、この縦軸と横軸が交わるところに生成するのだ」という考え方に基づいています。これがどんなふうに英語学習に「効く」かというと、「日本語の説明が必要最小限で済む」ということ。教科書を開いてみると分かりますが、記述が極めてシンプルで、必要最小限のことしか書かれていません。

わかりやすい絵もイラストもない。ここは好き嫌いが分かれるところだとは思いますが、個人的にはこれがすごく気に入っています。

練習法:反復して声に出す

英語のハノンでは、合計10時間になんなんとする英語音声のドリルが無料でダウンロードできます。この音声ドリルに従って、以下のように英文をアウトプットしていくんです。

①お手本の英語音声が流れる → ②英語学習者がそれを真似して口に出す → ③英語の指示が流れる → ④それに従って英文を変化させる。

基本的にはこの繰り返しです。例えば

①「Jackie is  always 〜」という英文が流れてきたとします。英語学習者は②「Jackie is always 〜」をそのまま声に出して繰り返します。その後
③「Jackie and Shelly」という指示が流れてきたら
④「Jackie and Shelly are always〜」と指示に合わせて適切に変化させた英文を口に出す。

で、また①に戻る、という繰り返しです。次は違う英文に移行していくので、新しい英文で練習します。1トラック分、5つの英文が流れたら、またリピートで同じトラックの頭に戻ってやり直し、これを延々と繰り返すわけです。

この「執拗な反復練習」、むちゃくちゃ効きます。英語って、ホント筋トレだな、と思います。

【注意】自分の英語と真摯に向き合えない人は、やめといたほうがいいかも

『英語のハノン』においては、きちんと理解できていない英文法は、反復する際どうしたって絶対につまってしまってうまく言えません。

僕の場合、前々から多聴などで「受動態を聞き漏らす」という傾向に気づいていました。前後の話の流れから「あ、今の受け身だったな」と気づく感じです。

なので当然、使いこなせていません。もちろん「She is loved by him.」くらいのシンプルな文章なら使いこなせますが、第5文型を受動態にしたものなんかになったりするとちょっと混乱するんです。

で、どうなるかというと、見事につっかえまくって練習どころではありません。そんなわけで「受動態」のchapterに関しては、1トラックを2日に分けて進めています。合計一時間です。

一日一時間学習して1〜2ページくらいしか進めない。これが『英語のハノン』の正しい使い方だと思います。

『英語のハノン』は自分の英語の弱点を決して見逃してくれません。

つまりとことん現実を突きつけられることになるということです。でも、今の僕にはこれがとっても心地良いんです。わかった気になっていたのが実はそうでもなかったって気づくことができるのって、結構ありがたい経験なので。

なので英語で「いい気分でいたい」「わかった気になっていたい」向きの人には、ちょっと厳しいかもしれません。きつい言い方だとは思いますが、自分の英語と真摯に向き合いたい人向けの教材という感じです。

【注意】発音のオンラインレッスンを受講したほうがいいかも

最後に、本書を英語学習に取り入れていくにあたって、英語コーチとして気をつけていただきたいと思うことを書き添えておきます。

・スピードを意識しすぎて発音を疎かにしない

『英語のハノン』にはレベルに応じてslowとfast、2通りの音源が収録されていますが、最初から「fast」の音源で練習されるのはあまりおすすめできません。

英語というのは早く読んだり話そうとしたりするとどうしても発音が疎かになります。そして、「間違った発音で覚えた英語」というのは百害あって一利なしで、結果的にリスニング力を始めとしたいろんな英語力を損なっていきます。

あるいは、英語力の伸びそのものの足かせになります。

速く喋れるとかっこいいですし、早くペラペラになりたいと思って焦る気持ちはわかりますが、であればなおのこと、ゆっくりと正確な音で発音できることを最優先にして練習に取り組んでいただきたいです。

・発音、リンキング、リダクションなどにも意識を向ける

本書の音源は「アメリカンアクセント(カナダかもしれない)」で収録されています。なので、fast dだとかflap Tなど、きちんと学習してロジックを理解してないと聞き漏らしてしまう音がたくさん含まれています。音の連結や消失についても然りです。

あと個人的な印象ですが、LのあとにRやTHの音が続くといった「日本人が発音しにくい音」がさり気なく混ざっている印象です。意図的にやっている印象すらある。ここは注意が必要です。

こういう音を「自分が出しやすいカタカナ音」に勝手に変換して練習してしまうと、脳がその「間違った音」と意味を結びつけてしまいます。パターンプラクティスは人間の脳の無意識の部分のワイヤーをぶっとくしていく作業ですので、ここで間違った音を脳に刷り込ませてしまうと、それは「一回ついてしまった変なクセ」となって、あなたをずっと悩ませ続けることになります。

・フィリピン人から発音を学びながら

1.2.のリスクを軽減するために僕が取り入れているのが「siriを使って発音をチェックする」「定期的にオンラインレッスンを受講する」です。

発音というのはどうしても自分ひとりではその誤りに気づきにくいですし、矯正も難しいものです。なので発音のプロから指導を受けながら、自分の発音のクセに気づいていく機会を定常的に設けておくことは必須でしょう。

注意したいのは「発音はネイティブには習わないほうがいい」ということ。たしかに彼らは「正確な発音」で話すことは出来ますが、その音をどんなふうにして出しているのかをうまく説明することができません。これは僕が実際仕事でネイティブの発音指導を横で見ていて感じたこと。

ネイティブは発音の誤りは指摘できるのですが、小さいときから意識せずに話しているので、自分がどうしてその音を出せているのか、言語化することができない、つまり「誤った発音の矯正の仕方がわからない」ということです。

換言すると「学習によって後天的にその音を身に着けてきた人」か「英語以外の母国語を持っていて、そのギャップを常に意識してきた人」が、発音の誤りを矯正できるということ。

で、ここはやっぱり「世界で最も美しい英語を話すノンネイティブ」と言われるフィリピン人英語講師の独壇場だと思います。

とはいえ、オンラインレッスンは決して安価であるともいい難いのも事実です。そこで、日々の『ハノン』の練習時は必ず「Siri」をオンにして、僕の英語がきちんと認識してもらえるかを確かめるようにしています。

その間は30分/日の時計をとめて、きちんと今の自分の音が英語の音になっているかを確認してから練習を再開する、という方法をとっています。発音というのはそれくらい繊細に取り扱うべきものだと思うからです。

英語のハノンの意外なもう一つの効用

共同生活住居に住んでいるので、朝型人間の僕は自宅で声を出す英語のトレーニングをすることができません。

そこでいつも屋上に上がるか、河川敷の公園で練習するのですが、晴れ間が多い冬の高崎は、司法を囲む山がスッキリとクリアに見渡せて本当に気持ちがいいです。

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こんな最高な環境で、思いっきりお腹から声を出して英語の練習ができるなんて最高です。みなさんも、どこか近くにお気に入りの場所を見つけて、清々しい環境で思いっきり英語を練習して見られてはいかがでしょうか?

きっと心も体もリフレッシュすること請け合いです。

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