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英語コーチの僕が実感している『英語のハノン(初級)』の効果について

昨年10月から『英語のハノン(初級)』という英語学習参考書を使って英語学習を続けています。先日本書をようやく一周し、今二周目に突入しているところです。

本書は本当に英語ができる人が、僕たちに英語ができるようになってほしくて作ってくれた本という感じがしています。著者の方を信じて毎日続けて約五ヶ月、その効果をひしひしと感じています。

今日はなぜ、本書が「英語学習参考書界の革命児」となり得たのかについて、僕自身の経験を踏まえて考察してみたいと思います。

私(筆者)の英語レベル

それに先立って、まずは僕自身の現在の英語力を大まかにご紹介しておきたいと思います。

年齢:46歳 職業:オンライン英語コーチ(2020年〜)
最終学歴:関西外国語大学外国語学部英米語学科卒業
検定等:実用英語技能検定1級(2019年11月)/TOEIC925点(2021年1月)
英語歴:41歳時に世界一周のための英語を学びに10週間フィリピン・セブ留学
43歳時〜2年半フィリピン・セブ島に在住

英語学習を始めたのは5年前、実はそれまでは全く英語が必要ない仕事をしていました。

話すのはそんなに得意ではありませんが、読む/聞くは一般の英語学習者よりは得意かな?と思っています。2018年から毎日1時間程度洋書の多読を続けていて、毎朝1時間程度BBCやNY Timesなどの報道番組を中心に英語のPodcastを聞いています。

英語における弱点は、ネイティブが複数名で行うスピードの速いカジュアルな会話についていくことができないことと、発音があまり上手ではないことです。

『英語のハノン(初級)』で向上した能力

では、英語のハノンで具体的に何がどんな風にレベルアップしたのか?「スピーキング」「リスニング」「リーディング」の観点からそれぞれご紹介してみたいと思います。

1.スピーキング力

余裕がある時は発音授業を中心にオンライン英会話をやっていますが、ハノン開始2〜3ヶ月後くらいから、明らかに英語をスムーズに話せるようになってきた実感がありました。

具体的には、一文が15〜20語くらいになるような、比較的長めのセンテンスもよどみなく口にすることができるようになってきました。それまでは、5〜10語くらいの短めのセンテンスを中心に、andやbutなどの接続詞を多用して自分の言いたいことを口にしていく感じでした。

また、毎日30分〜45分程度、ハノンのインストラクションに従って英語を口にする習慣ができたことで、口の周りの筋肉の動きがスムーズになったような感覚があります。これも「話しやすさ」を実感する要因の一つになっている印象です。

2.リスニング力

一度にアウトプットできる英文の量が増えたことは、リスニングという受動的な英語力にも大きな好影響を及ぼしてくれたました。

明らかに、Podcastをリスニングしているときの「聞こえやすさ」が向上したんです。この聞こえやすさには2つの能力の向上が関係していると感じています。

まず1つ目は、「英文処理速度の向上」です。僕は基本的にハノンの音源は、閉本してnaturalバージョンを使ってトレーニングを続けていました。

このおかげで、英文を高速で処理する力が一気に向上したと感じています。特に本書も終盤に差し掛かってくると一文が結構長くなってきたりします。その長い文章をスピーカーの指示に従って変換し、口にしてゆくトレーニングは英文をかなり高速に処理する力を求められていると感じます。

もう一つは「音を聞き取る力」の向上です。ハノンに取り組む際は、発音には細心の注意を払っています。日本人なので、どれだけ注意を払ったとしても発音は完璧にはなりません。

だからこそ「使える英語」にするために、英語のハノンの音声には忠実に発音するように心がけています。

オンラインレッスンで指摘されていた、僕自身の発音の弱点は特に意識して聞き分けて、発音できるようにしていました。結果的に発音の力が向上して、音を聞き取る力も上がったんだと思います。

英文処理能力+音を聞き取る力の向上。この2つの相乗効果で、リスニング力がUPしたと考えています。

3.リーディング力

英語のハノンを続けていると、英文を「単語単位」ではなくて「チャンクごとに」、つまりある意味のカタマリごとに捉える力が向上してきます。

僕は英検一級を持っているので、読解に際して、英文を単語単位で解釈するようなことはしません。最低でも前置詞句単位くらいで英文を掴めないと、英語の多読なんてしんどくってできやしません。

でも、この『英語のハノン』における珠玉の643フレーズの飽くなき繰り返しは、一度に取り扱うことができる英文の量=つまり1チャンク当たりの語数を引き上げてくれます。

例えば本書のラストの方の「分詞構文」のユニットに

When he entered the room, he got a big round of applause.

という英文を

Entering the room, he got a big round of applause.

という英文に変換するトレーニングが登場しますが、もうここまでトレーニングを積み重ねてくると、コンマの前までとそれ以降をそれぞれひとかたまりの文として、計二つのチャンクで認識できるようになります。

先にも少し言及しましたが、これは一度に扱える(脳のワーキングメモリに一時的に保存できる)英文の量が増えるからです。これが、英文を読むスピードと、英文の解像度を劇的に向上させてくれます。

ビギナーのうちはちょっと難しい英文に出くわすと「返り読み」ということをしてしまいます。自然な日本語に訳そうとするんです。これでは英文なんてしんどくって、一時間も二時間も読んでられません。

そこで英文を「英語の語順のまま読む」訓練が必要になるんですが、これって要は、英語をチャンク=つまり塊ごとに読む下していく能力です。
そして一度に処理できる「チャンク」の英単語の数が増えれば増えるほど、英語を読むスピードは上がっていきますし、英文の解像度も精密になっていきます。

『英語のハノン』は、一度に処理できるチャンクの量を増やしてくれます。これはよく「リテンション能力」という用語で説明されたりしますが、英語のハノンが向上させてくれる能力はこの「リテンション能力」じゃないか?というのが現時点での結論です。

結論:パターンプラクティスによりリテンション能力が向上して、英語力全般が向上する

そんなわけで、今日は英語のハノンが向上させてくれる力を、リスニング、リーディング、スピーキングの3つの能力からそれぞれご紹介しました。

全ての能力に共通して求められ、かつ英語力全般に深く関係しているのが「リテンション(保持)能力」です。英語のハノンはこの「リテンション能力」に劇的に作用している、そんな印象を持っています。

リテンションは「記憶(力)」とか「保持」という意味です。つまり、聞いたり見たりした英語を(一時的に)脳のワーキングメモリに保存して、処理したり、アウトプットしたりする力ということになります。

ここまで見てきて明らかなように、英語のハノンを毎日継続することで、その脳のワーキングメモリのパフォーマンスが確実に上がっていることを実感しています。

といっても、ワーキングメモリの要量が16MBから32MBに倍増した、という感じではありません(もう歳だし)。

それよりも、英文の最小単位が「単語」から「チャンク」へ、チャンクから「センテンス」へ、という感じで、英語の最小単位自体がぶっとくなった→その結果、脳のワーキングメモリに一度にストックできる英語の絶対量が増えた。それが英語力に効いてきている。そんな印象を持っています。

これは「パターンプラクティス」という学習による効果だろうと考えています。同じような言い回しに何回も出会っているうちに、英文のパターンそのものを覚えてしまう、という学習法です。

英文のパターンそのものを覚えているので読む/聞く/話す時に、わざわざ英文法を考えながら話すということをしません。結果、自分でも意識しないうちに自分が聞いた/話した言葉が文法規則に則っている、ということがおこります。

僕たちがいちいち日本語の文法を意識せずに正しい日本語を話すことができるのは、実にこの「パターンプラクティス」によるのですが、それはまた別のお話です。

『英語のハノン』をやる前からずっと、パターンプラクティスによる英語の習得は、英語ができるようになる仕組みのなかでも一番実効性が高いものという認識がありました。

そして今回、「英語のハノン」が、効果的で負荷の高いパターンプラクティスによって僕の英語のリテンション能力をさらにもう一歩推し進めてくれた、そんな印象があります。

そんなわけで、今日は『英語のハノン(初級)』の効用について、考察してみました。

明日は、僕が具体的にどんな風にこの本を使って学習してきたか?をご紹介したいと思います。


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