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同志少女からガルパンを知る

こんにちはおすぬです。
(サムネ画像お借りしました!nn_clown様ありがとうございます)

ガールズ&パンツァー』、通称「ガルパン」というアニメをご存知ですか。

パンツァーはドイツ語で戦車のこと。
茶道や華道のように「戦車道」が乙女のたしなみとされる世界で、女の子たちが戦車に乗って戦うアニメです。

2012年にテレビ放映され、その後2015年に劇場版、2017年からは「最終章」が少しずつ公開され、現在最終章第4話が映画館で上映されています(全6話の予定だそうです)。
先日この第4話を見てきましたので、これを機にガルパンの魅力をなんとかお伝えできないかとnote記事にしてみました。

最終章第4話パンフとチケット これで引いちゃう人いるかな…引かないでー

最初にまとめです。


◆きっかけは『同志少女よ、敵を撃て』
 主人公が歌う『カチューシャ』つながりでこの作品を知りました

ガルパンの三大魅力
 戦車のアクション、音楽、女の子たちのキャラ

実際の戦車は非人道的で過酷な環境

萌え×ミリタリーの融合
 「なぜ戦うのか」戦時下の同志少女と戦車部ガルパンのちがい
 戦車マニア秋山優花里こそ「萌え×ミリタリー」を体現している


以下長文ですが、ご興味ありましたらざっくりとでもおつきあいいただけるとうれしいです!


1.きっかけは『同志少女よ、敵を撃て』

私がこのアニメを知るきっかけになったのが少し前に話題になったこの小説。
読んだ方が多いかもしれませんね。
舞台は第二次世界大戦中の旧ソ連。主人公は狙撃手(スナイパー)として戦争に巻き込まれていく少女セラフィマ。
旧ソ連では女性のスナイパーが実在したそうです。その数なんと2000人。しかし終戦まで生き残ったのは500人に満たないとのこと。(当時最高峰の女性スナイパーとされたリュドミラ・パヴチェンコのwikipediaより)

主人公セラフィマが標的を狙いながら深い集中状態(いわゆるゾーン)にあるとき、無意識に口ずさんでいたのが『カチューシャ』という歌でした。
小説内では初めての戦場で死を覚悟したときや、物語終盤の最後の戦いのとき、『カチューシャ』の歌詞が挿入されます。

はて『カチューシャ』ってどんな曲?
と思い動画サイトで検索したら、なにやらアニメ映像が
雪原の上を戦車が隊列組んで行進するなか女の子が戦車の上で『カチューシャ』を歌ってる。(正確には戦車のキューポラ=屋根みたいなところ、から上半身を出してます。)悲壮感ただようイントロとズンタカタッタ。女の子たちがロシア語で歌う短調のメロディー。

な、なんじゃこれ!?
…これが私と「ガルパン」の出会いでした。
そのころ配信サイトで無料で見れたので一気見した次第です。

私のように「同志少女」から「ガルパン」を知った人が続出したにちがいない!!…ってYahoo!ニュースで話題になってない。笑
「同志少女」は後半また取り上げます。

2.ざっくりあらすじと設定

箇条書きです

  • 大洗女子学園(架空の学校)に転校してきた主人公(西住みほ)が、廃部になっていた「戦車部」を復活させ、他校と試合(野戦)を繰り広げる。

  • 茨城県大洗町がロケ地にされていて、アニメ放映時ガルパンイベントが行われていたそう。

  • あくまでも競技であり人が死ぬことはない。撃たれると戦車から白旗が飛び出すシステム。

  • 競技上のルールで戦車は第二次世界大戦時に使われたもの。

  • ライバル校は第二次大戦ごろの各国を模している。

  • 登場人物は女の子ばかり(萌えとミリタリーの融合と評される)。

  • テレビ放送第1話のラストでカメラがどんどん引いていき…学校や町が丸ごと大きな「学園艦」の上に存在していることがわかる(各校ごとに帰港地が決まっていて大洗女子学園は大洗港に帰港する設定)。

3.ガルパンの三大魅力

魅力その1 戦闘シーン

岡田斗司夫さんがガルパンの戦闘シーンを絶賛していました。それ以外の日常シーンや、なぜ戦車部に入るのかといった女の子の心理描写はいらない、とまで。(半分は同意しますが)。

戦車のカメラワークは隊列を上から俯瞰したり下から煽った角度だったり(カッコいい!)。火を吹く砲身、スピード感、ドリフト走行したり砲撃を受ければ容赦なく横転したり黒煙あげたり。ああ私の文章力では伝えきれない…。
戦場(競技会場)はどこにこんな広い場所あるの?ていう荒野や雪原やジャングルや。市街地や遊園地もありました。

いま公開中の最終章第4話は雪の中の攻防戦。まさかの圧倒的なスピードと臨場感。目と心臓が追いつかない。

そして主役の戦車については第二次大戦時に使われていたティーガー(ドイツ)T-34(旧ソ連)など、戦車マニアのスタッフが緻密に研究・再現しているとのこと。公式の戦車ブックなど非常に充実しているそうです。

また、戦車の迫力はもちろんですが、「そう来たか!」という試合?展開も楽しみのひとつ。戦車内の女の子たちのやりとりや駆け引きなど、キャラクターの魅力にもつながります。

魅力その2 音楽=戦場のアンセムソング

音楽は浜口史郎さん。アニメやゲーム音楽を手がけている方だそうです。
ガルパンの顔でもあるテーマ曲『戦車道行進曲!パンツァーフォー!』は、主人公のいる大洗女子学園のテーマ曲でもあります。(実はバラエティ番組でもよく使われてます!)

ちなみに「パンツァーフォー」はドイツ語で「戦車前進」の意味。
ドイツがいかに戦車大国だったかがわかります。

ライバル校はそれぞれ第二次大戦時の各国を模しています(戦車もその国で当時使われていたもの)。
各校のテーマ曲は軍歌や民謡などが元になっています。

一例をあげると、
・聖グロリアーナ女学院(イギリス)『ブリティッシュ・グレナディアーズ』
・サンダース大学附属高校(アメリカ)『リパブリック讃歌』
・黒森峰女学園(ドイツ)『パンツァー・リート』
・プラウダ高校(旧ソ連)『カチューシャ』 などなど

このほか旧日本軍を模した知波単(ちはたん)学園のテーマ曲は『雪の進軍』。
やたら突撃したがる真面目で一本気な女の子たち。
そんな彼女たちが夜中のジャングル進軍中に、昭和初期のヒット曲『酋長の娘』を替え歌にした『知波単のラバさん』(ラバさん=LOVER恋人のこと)を歌い、エモい演出となっていました。

いま公開中の第4話の対戦相手「継続高校」(フィンランド)は『サッキヤルヴェン・ポルカ』。隊長のミカは戦車内でカンテレ(フィンランドの民族楽器)をかき鳴らし、しかも他の戦車と楽器で作戦の相談までしてるっていう。

このような曲が各校の登場場面や快進撃の最中に流れてきて、いやが上にも高まる高揚感。いわば戦場のアンセムソングです。

魅力その3 キャラクター

各校のキャプテン 右から3人目が主人公・西住みほ(パンフの広告ページから)

岡田斗司夫さんは女の子の日常や心情は不要って言ってますが、戦車メインなら究極は「きかんしゃトーマス」ならぬ「戦車トーマス」でいいのでは?笑
ほらねーやっぱりキャラ必要でしょ。
(萌えキャラで男性ファンを獲得する狙いもあるだろうけど)

◎お国柄イメージキャラ
キャラは多すぎて語り尽くせませんが、各校の隊長はそのお国柄イメージを踏襲しています。例をあげると、
・揺れる戦車のなかでティーカップ片手に格言語るダージリンさん(イギリス)
・ノリと勢いで突っ走る陽気でお間抜けなアンチョビ(イタリア)
※ダージリンもアンチョビも通称、あだ名みたいなものです。

◎ライバル校との友情
戦いが終わればノーサイド。
イタリアンをご馳走したり大浴場でもてなしたり。

また2015年の劇場版では、大洗女子学園が、圧倒的な強さを誇る大学生チームと対戦することになるのですが、テレビ版で戦ってきたライバル校が次々に現れて共に戦ってくれます(この展開『硬派銀次郎』の最終巻みたいで胸アツです。…古くてすみません)。
劇場版はいわばキャラの総集編。戦車アクションも見どころ満載です。
(無料配信で2回見たけどもう1回見たい!)

◎キャラが薄い主人公
個性的なキャラが多いなか、実は主人公・西住みほが一番キャラが薄いように思います。ほんわかした控えめな性格。
でも戦車の実戦豊富で、意外性のある作戦を立てたり(作戦名がいちいちカワイイ!)的確な指示を出すなど、皆から信頼されています。

そもそも大洗女子学園の戦車は拾い集めたものばかり。部員も各戦車ごとに生徒会チーム、歴女チーム、バレー部復活チームなどの寄せ集め。
言い換えるとどの国にも染まらない、新しいスタイルでもあります。

4.兵器としての戦車

戦車のフォルム、スペック、歴史的な経緯など知れば面白いし、ガルパンの戦闘シーンは文句なくカッコいい。

でも戦車は現在においても地上戦で使われているれっきとした兵器です
ウクライナでもガザ地区でも「〇〇侵攻」というニュースでは現代の戦車が映っていました。(空爆の様子も…。瓦礫だらけの信じられない状況に胸が痛みます。)

さて、『同志少女よ、敵を撃て』では、主人公セラフィマの幼なじみの青年ミハイルが「自走砲隊」に所属しています。「自走砲」を調べたら大砲と車両が合体したもので、ネット画像を見ると小さな戦車のように見えます。

戦場で偶然再会したミハイルは、自走砲や戦車についてこう話します。

華々しいのは一面で、自走砲なんて悲惨なものだよ。戦車もそうだけど、装甲を盾にして一番に突っ込まされて、中は暗いし、狭いし、暑いし。ぎゅうぎゅう詰めの仲間は敵の砲弾を食らったら全員あの世行きだし、燃料にまみれて燃えると地獄なんだ。何日も苦しんでから死ぬはめになる。

『同志少女よ、敵を撃て』より

乗員のことはまったく考えてない設計なのですね…。
実際の兵器の非人道的な凄まじさ、悲惨さを感じます。

5.萌え×ミリタリーの融合

岡田斗司夫さんがガルパンの日常シーン不要論(大げさ?)をとなえていらっしゃいますが(これ言うの3回目)なぜつまらないのか?
同志少女からそのヒントが見えてくるように思います。

なぜ戦うのか 同志少女とガルパンの違い

同志少女の世界では、狙撃の訓練学校で教官から「なぜ戦うのか」を問い詰められ、自問自答せざるを得なくなります。
主人公セラフィマの仲間たちは、祖国のため、子どもたちのため、自由のため、などこれまでの経験や出自からそれぞれが戦う理由を持っています。
故郷の村をドイツ兵に蹂躙され母も殺されたセラフィマは、女性を守りたいという動機を見いだします。
タイトルの「同志少女」の「」とは一体誰なのか何なのか。
ある種皮肉な結末に考えさせられます。

一方ガルパンの女の子たちの動機は、卒業の単位のためとかモテたいとか。
主人公は自分なりの戦車道を見つけたいだったかと(うろ覚え)。
実際の歴史では歴戦の戦車乗りがいたそうですが、そもそも戦車は武道なんだろうか。
アニメでは「戦車道」って言ってるけど、型とか精神性とか、武道と言うにはどうしても説得力に欠けてしまいます

戦車マニア秋山優花里の存在

そんなガルパンに一筋の光明が!笑
戦車マニア秋山優花里(ゆかり)の存在です!
部屋中戦車グッズで埋め尽くされている筋金入りの戦車バカ(ほめ言葉)。
だからこそ彼女の戦車に乗りたい!と言う熱い気持ちにすんなり納得できます。
さらに「不肖秋山優花里の戦車講座」なるものがあり(DVDの特典映像?)、彼女の存在はミリタリー愛好家の代弁者であり、ガルパンと一般のアニメ好きをつなぐ架け橋でもあるのです。

『それゆけ!乙女の戦車道‼︎』っていう萌えと戦車用語を詰め合わせた曲があるのですが、そのなかで彼女は「パンツァーは人生、人生はパンツァー」と歌い上げています。
ガルパンは萌えとミリタリーの融合と言われていますが、主人公よりも戦車マニア秋山優花里がそれを体現しているように思えてなりません
(最終章第4話はほとんど活躍してないのでパンフに画像がないです…気になる方は検索してみてください)

まとめ

ガルパンの魅力の原点は、やはり戦車×女の子という意外な組み合わせ(ギャップ)にあるのでしょう。
現実の非人道的な使用場面を頭の片隅におきつつ、やはり平和な国だからこそ楽しめる作品です。。。

公開中の最終章第4話ではスナイパーが出てくるのですが、同志少女たちが見たらどう思うのでしょう。
「戦車を撃ち抜く狙撃手がいるなんて!」
「ヤポーニヤ(日本)の狙撃技術はどうってる!」

とかね。いや、まず資本主義のアニメに腰ぬかしそう。

完結まであと2話。楽しみに待ちたいと思います。
(配信サイトさんこれまでの分無料配信してください!!!)

それと逢坂冬馬さんの新作が出たそうですね。
今度は大戦末期のドイツだそうです。

長文お付き合いくださり本当にありがとうございました!!


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