あ、海外に行こう

その日、おしゃかは空を見ていました。
空にはトンビが飛んでいます。

小説は新刊が出せず。
食べていくためにwebデザイナーの学校に通うもwebデザイナーの仕事は決まらず、しょうがなく就職したコールセンターのお仕事。

キツかった。
物凄く。
数時間、クレームを聞き続ける。
それだけの仕事。
耐えられなくて、人の声を聞きたくなくて。
気がつけば、おしゃかは山にいました。

「海、青いなぁ」
季節はほとんど冬になりかけていた秋の終わり。
平日の昼間に、人はおしゃかだけ。
聞こえるのはトンビの鳴き声。あとは風に揺れる木々のかすかな音色に遠い海の波の音。
自然だけが、おしゃかの周りにありました。

「海外に行こう」
不意に、本当に突然に。
おしゃかはそう思いました。
どうしても。どうしようもなく。
どこか別の場所に行きたくなったのです。

それからのおしゃかの行動は速かったのです。
その日のうちに留学のエージェントに連絡をして、会う予約をしました。

どこに行くのか。漠然とおしゃかはオーストラリアかニュージーランドを考えていました。
それがなぜマルタになったのか。
それはまた次回。

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