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安全管理と防災実践

これは市民工房や大学内の工房の管理運営を7年ほどやっている筆者が、安全管理について学んだことをまとめたページです。個人の経験則程度のお話としてご覧いただき、実際の安全対策については各地の労働基準協会などの専門家にご相談ください。利用者の方は工房運営者の指示に従ってください。

前回までのnoteで、安全管理について筆者が学んだことをテキストで記録していました。今回はそれをインフォグラフィックにして情報を整理し、まとめました。
ここに埋め込んだ画像ですと小さくてとても読めないので、リンクからデータをダウンロードしていただき、そちらを開いてご覧ください。
今回作成した<工房運営者のための安全管理インフォグラフィック>は、ただ情報をまとめただけのものではありません。見出しの①〜⑥まではどの工房でも共通する内容ですが、⑦作業着と保護具、⑨災害発生時の対応、などは工房ごとに違った内容になってきます。そこで、このインフォグラフィックを各工房運営者が、その工房にフィットした内容に編集してみてほしいのです。
以下に説明する一連の流れに取り組むことで、各工房にフィットした防災実践となるはずです。

<工房運営者のための安全管理インフォグラフィック>

STEP 1 安全管理について検討し結果を可視化する

工房運営者のための安全管理と防災実践の図表の、2(工房内に潜むハザード)、7(作業着と保護具)、9(災害発生時の対応)の項目については、機材や設備や状況など工房の環境によって内容が異なるため、工房に適した内容を検討して書き換えていきます。安全管理について検討した結果を可視化しましょう。

①タイトルの変更

「工房運営者のための安全管理と防災実践」の図表のタイトルを変更します。
「〇〇工房の安全管理と防災実践」のように自分の工房の名前に変更し、自分達の取り組みの記録をしていくマインドセットに切り替えます。

②この図表をよく読んでみる

この表を見ながら安全とリスクの関係性や、災害発生時のどの場面でどの対策が有用なのか、などの因果関係を把握します。

③工房内に潜むハザードの洗い出し

<機材ハザードリスト>
まずは工房内にある全ての機材をリストにして、機材ごとのハザードを洗い出します。洗い出したハザードに対して、その危害の発生確率と危害のひどさを想定し、シートに記入します。
このシートはリスクアセスメントの実践でも活用できるので、詳細に仕上げることをおすすめします。
※スタッフの引き継ぎ資料としても役に立ちます
<ハザードピクトグラム>
また、ハザードピクトグラムをシールにして機材に貼ると、はじめての方でもどのような危害の可能性があるか、目で見て確認できるようになるのでおすすめです。

④推奨する作業着と保護具の選定

各工房ごとに設備や環境は様々です。自分たちの工房に適した作業着と保護具を選定し明示しましょう。

⑤災害発生時の対応

各工房ごとに想定される災害は様々です。これは災害発生時に居合わせた人が誰でも分かるように明示しておく必要があります。消火器の場所や近くのAEDの設置場所などについてもわかりやすく記載しておくのがよいでしょう。

STEP 2 防災訓練の実践

5(危険予知トレーニング)、6(リスクアセスメント)の項目は、各工房で機会を設けて実践してみましょう。

①危険予知トレーニングの実践

スタッフ間でKYTの実践をします。まずは利用率の高い機材や作業内容から始めてみましょう。

②リスクアセスメントの実践

スタッフ間でリスクアセスメントに取り組みます。いきなり全ての設備や作業やシチュエーションを洗い出して実践することは現実的ではないので、まずは各機材ごとに取り組んでみましょう。ハザードの洗い出しで作成したシートを元にすると作業しやすいです。

STEP 3 利用者への周知

現在実施している安全講習等に安全管理と防災実践についての工房での取り組みの説明を加えるなど、利用者への周知をしていきます。防災のために何をどこまでどのように対応してほしいか、災害が発生してしまった時に何をどこまでどのように対応してほしいか、対応の範囲や方法などを具体的に想定して伝えます。
伝え方としては、安全に工房を利用するためのルールとして、初めての利用時に伝えるのが取り組みやすいでしょう。人間は一度聞いても忘れてしまいますので、工房内に掲示したり資料として配布(デジタルアナログどちらでもよい)するなどの工夫が必要です。
KYTははじめての利用者に対しても取り組んでもらいやすいので、各機材の講習時に実践することもおすすめします。
管理運営者と利用者の距離が近い工房については、利用者と一緒にワークショップ形式で取り組んでみるのもいいですね。

今日のポイント

安全管理と防災実践の活動は定期的に実践することが重要です。機材の購入や廃棄、スタッフの入れ替わりなどの機会を利用したり、9月1日の防災の日を目印にしたり、工房ごとに時期を決めておくのがよいでしょう。

まとめ

筆者の市民工房や大学内の工房での技術職員としての経験から得た「教育工房の実情に即した安全教育の仕組みや取り組みを開発する必要がある」という気づきを、安全管理について学んだことをピクトグラムやインフォグラフィックにして可視化することでまとめ、ワークショップの実施という形で実践しました。
工房でものを作る人みなさんの活動に役立てることができたら嬉しいです。
いろんな工房で実践してフィードバックを得てより良いものに仕上げることができたらいいなと思っています。


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