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EVに向かう市場における内燃機関の価値

はじめに

 以下の記事の中で、2035年くらいには内燃機関エンジン車の市場シェアは半減しそうと書きました。

こうした環境の変化に向き合って、今後の市場における内燃機関エンジンの価値を考えたいと思います。
 私にとって自動車の最大の価値は移動の自由と楽しみを提供してくれることです。その引き換えに排出されてしまう二酸化炭素が気候変動の原因となっています。そこで、二酸化炭素の削減を軸に、EVとの比較を通して内燃機関エンジンの価値を考えてみます。

Life cycleでの二酸化炭素排出量の比較:

 まず、車の製造から走行までを含んだライフサイクルでのCO2排出量を見てみます。

2021年7月のICCTのレポートより抜粋

ヨーロッパ・アメリカ・中国・インドという四大市場において、いずれも内燃機関エンジン車(=ICEV)よりも電気自動車(=BEV)の方がCO2排出量は少ないです。ここでの内燃機関エンジンにはハイブリッド車も含まれます。Plug-inのハイブリッドはレポートの中に別で記載されていますが、やはりCO2排出量はBEVの方が少ないです。したがって、内燃機関エンジンとEVの両方を選べる場合には、CO2削減においてはEVの方が価値があると言って良いと思います。

EV普及に向けた課題

 では、なぜ電気自動車よりも内燃機関エンジン車の方が普及しているのでしょうか?ChatGPTに聞いてみました。

ChatGPTに聞いてみました。

コスト、走行距離への不安、充電インフラなどいくつもの課題があるようです。ChatGPTが挙げなかったものとして、EVによって増加する電力需要や充電時間も解決すべき課題のように思います。
 これらの課題を解決している途中であるため、EVではなく内燃機関エンジン車が今の自動車市場では多数派となっていると言えそうです。

気候変動対策は待ったなし

 IPCCの第六次報告書に基づいて現状を整理したいと思います。人類が排出してきた二酸化炭素に代表される温室効果ガスによって、1850-1900年に対し、2011-2020年の地表の温度は約1.1℃上昇しています。
 下記の図に示すように、この上昇を1.5もしくは2℃に抑えるためには、できる限り早く、できる限りたくさんの二酸化炭素の排出を削減することが必要です。
 中長期的にEVが普及すれば十分というわけではなく、今すぐにできる行動をして二酸化炭素の排出量を減らす必要があります。

IPCCの第6次報告書 (2023)より引用

内燃機関エンジン車の価値は?

 ここまで見てきた内容を踏まえ、二酸化炭素排出の削減における内燃機関の価値を考えると、EVが普及するまでの間、移動の自由と楽しみを提供しながら自動車から排出される二酸化炭素をできる限り減らす、ということではないかと思います。
 国・地域・人の数だけ、どれだけすぐにEVに移行できるかは異なるでしょう。その中でEVをすぐに選べない人たちに、できる限り二酸化炭素の排出を抑えた移動の自由と楽しみを提供する事が内燃機関エンジン車の価値だと思います。
 こうした価値を提供する市場で仕事をする一人として、どうすれば自分の提供する価値が最も大きくなるかを考えて行動していこうと思います。 

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