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第25回千葉県作業療法士学会の歩き方

さてnote企画も今回が最終回です。あっという間でしたね。
今回は、最近が学会初心者の方々向けに多方面で学会の歩き方について話題提供をしてくださっている医学書院の小段先生に執筆して頂きました。

こちらのnoteを読んで、ぜひ、より学べべるように、楽しく、一緒に25th千葉県OT学会へ参加しましょう。

それではどうぞ!!!


みなさま初めまして!
医学書出版社で編集者をしている小段と申します。


私は,養成校で作業療法士免許を取得したあと,大学院に進学し,さまざまな進路を模索した結果,作業療法の下支え・普及に力を注ぎたいと思い,現在の職場に就職しました。

私の歩みのベースにはいろんな思いがありますが,最も根源的なものは,きっと多くの作業療法士のみなさまと同じで,実習でお世話になった対象者の方への恩返しです。その思いのもと,作業療法業界を盛り上げることを第一の使命として日々の活動に取り組んでいます。

この記事についてもまさにその思いのもと,吉田さんを中心とした熱い作業療法士の方々とともに千葉県士会を盛り上げる一心で作成しております(千葉県には居住して約8年。もちろん県士会員です)。

私は編集者という仕事柄,これまで職種を問わずさまざまな学会で取材を行ってきました。そこで見て・聞いて・感じたことを踏まえて,若手作業療法士さん,学生さん,はたまた久しぶりに学会に参加される方々に向けて,「学会とは何か」についてお伝えしていきたいと思います。

・学会参加へのモチベーションを上げること
・学会参加へのハードルを下げること

この両面を軸に進めていきたいと思います!
それでは,よーい,スタートォォォォォォォ


早速ですが,みなさんは学会に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか?
そもそもどういうものかよくわからない
難しい研究発表がたくさんある
意識が高い人の集まり
なんだかコワイ

こういった印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか
それを今から一発で覆します!
いいですか?
いきますよ!?

いかがでしょうか?
こう聞くとすこーしばかりモチベーションが上がってきませんか? 反対に,うそ!?と思う方もいるかもしれませんよね。。。

もちろん,大前提として学会はacademicな場所なのですが,私の感じ方(特に作業療法系の学会)は,とてもとてもexcitingなんです。

ということで,ここからはいったい「何が,どう」excitingなのか,できる限りわかりやすく言語化していきたいと思います。

  1. 質の高い実践が聞ける

  2. 最新の知見に触れられる

  3. 臨床,研究仲間が増える

1つずつ詳しく見ていきましょう。


1.質の高い実践が聞ける
学会には研究発表以外に「事例報告」というものがあります。きっとみなさんがイメージしているものだと思いますが,学会で発表される報告は少しちがったものかもしれません。

「こういう工夫をしたからぜひ共有したい」「こんな取り組みをしたけどどうだろうか,いろんなフィードバックがほしい」という思いに突き動かされ,日々の実践の中から選りすぐりの事例を持ってみなさん発表されます。

そこには発表者の,対象者に対する,作業療法に対する,「熱い思い」が込められており,「明日からの臨床に生かせるヒント」が数多く散りばめられています。

2.最新の知見に触れられる
いわゆる「学会」といえばこのイメージが強いかもしれません。さまざまな基礎研究・臨床研究に加え,制度や施設,臨床スキルなど,作業療法にまつわる最前線の知見に触れることができます。先駆者として道を切り拓いている人たちの熱量は計り知れません。

3.臨床,研究仲間が増える
そして何より,この点がポイントです。①と②が学会の構成要素として重要(というか必須)なのは言うまでもありませんが,その両者に取り組む人たちはなぜその行動を続けられるのでしょうか? 最初からそのために神より生み落とされたギフテッドの集まりなのでしょうか?

もしかするとそのような選ばれし人もいるかもしれませんが,スタート段階では,ほとんどの人たちがみなさんとあまり相違がなかったことでしょう。右も左もわからないまま学会に参加し,緊張で震える足をおさえながら発表していました。

それでも学会に参加し続けるのは,同じ志をもつ仲間との出会いが大きく影響しています。どんな素晴らしい取り組みも1人で続けるのは限界があります。仲間とビジョンを共有することではじめて見える世界があり,停滞していた状況を打破できるアイディアが生まれます。

この「繋がり」こそが最もかけがえのないものであり,その後の「継続性」をもたらす最大の因子です。特に現在では,SNSやオンライン会議ツール,クラウドサービスが発展したため,その繋がりから生み出される成果は無限大と言ってもいいでしょう。

なにも,目に見える成果だけでなく,「目の前の対象者に向かい合う不安をかき消したい」「初めて取り組む手技のヒントがほしい」といった日々の悩みを解決することも大きな成果と言えるのではないでしょうか。

特に今回は県士会です。物理的にも距離の近い人たちと繋がることができますね!


ここまでで「参加したい」という意欲はきっと高まったと思います(そうであってほしい,切実,泣)。

ここからは,学会参加へのハードルを下げるために,もっと具体的に掘り下げていきますよ。高まった熱量を維持していただきながら,学会では何が行われていて,どう振る舞えばいいのかチェックしていってくださいね。

まずは第25回千葉県作業療法士学会で予定されているプログラムの大枠を示します。

概要をつかんだところで,各演題のテーマを見ていきましょう

ここまででおおよそ何がどう行われるのかはふんわりとご理解いただけたことと思います。次は実際に講演の様子をのぞいてみましょう。

この図のとおり,基本的には「座長」と呼ばれる,その発表に関連した領域のエキスパートが司会を行い,講演が進められます。参加者は基本的には着席して聴講し学びを得ます。

そして,講演の最後には,質問の時間が用意されています。さて,いったい誰が質問するのでしょうか。。。

それは参加者として聴講しているあなたです。

ドキッとさせてしまったかもしれませんね。でも安心してください。もちろん全員が質問をしなければならないわけではありません。ただ,質問をすることで得られるものはたくさんありますので,ここではあなたが質問をしたいと思ったとき,それがかなうように,質問の手順をご説明します。
(学会側から定められたルールは基本的には存在しませんが,多くの質問を見て一定のマナーがあること,そしてちょっとしたコツがあることが見えてきたので,それらを私なりに整理してみました)

①②については,マナーとしての意味合いはもちろん,質問するあなたにとっても,質問を受ける演者にとっても「落ち着くための時間」として,ぜひ取り入れることをオススメします。

③〜⑤は,質問をできる限りわかりやすくするためのポイントです。このほかにも,もっと細やかな工夫はあると思いますが,ビギナーの方々はまずココをおさえておきさえすれば十分と思います。

次に出てくる疑問として,「どんな質問をすればいいのか」ということがあると思います。「会場の誰もが知りたいと思っているであろうこと」や「発表のさらに深い議論を導く問い」など,例を挙げることはできますが,これは上級者向けです。いつの日かそのステップに進んでください。

何よりも,疑問に思ったことを大勢の前で,質問するということを自分のものとすることが大事だと思います。

ただ,これだけはやめておきましょうという質問があります。それは,「自分の臨床の個別具体的な悩み」を相談することです。そうしたことを相談したい場合には演題終了後に直接演者に話しかけてみてください。その場で相談することはできなくても,後日,相談の場を設けてくださる方もきっといることでしょう。

え,いきなり見ず知らずの人に話しかけていいの? と思う方もいるかもしれませんが,大丈夫です。まったく問題ないと言えます。

ちょっと想像してみてください。ご自身がもし発表したとして,講演が終わった後(質問も含めて)何のリアクションもなかったら寂しくないでしょうか。

日々熱心に向き合った臨床実践を,忙しい合間をぬって言語化し,緊張を乗り越えてようやく発表を終えた,のに,それに対して,何もない……。私も昔学会で発表した経験がありますが,質問や感想をいただいたときには心底ホッとしたものです。

ということで,「こういう相談がしたい!」「この人と繋がりたい!」と思ったら,迷わず捕まえにいきましょう(笑)

そのときのためにも,名刺が学会参加の必需品であることは覚えておきましょう。所属施設で作ってもらえる場合もあれば,そうでない場合もあると聞いています。もし作ってもらえない場合でも,いまでは簡単に安価で名刺が作れますので,作っておきましょう。

名刺があると初めての人に話しかけるときの緊張も少し和らぎます。もちろん相手への記憶の残り方も変わります。そして,名刺を差し出すと相手の名刺もいただけることが多いです。いただいた場合には,メールアドレスなどの記載があれば,学会終了後にお礼のメールを送ると好印象でしょう。


そして最後に,
今大会は初のハイブリッド開催(現地+オンデマンド配信)です!
オンデマンド配信のプログラムは画像内にも掲載しましたが,なんと配信期間が2024年 2月 26日(月)~3月 17日(日)と,開催前から開催後に及んでいるというのが注目ポイントです。

・開催前からモチベーションを高めていける
・学会で高めた熱を学会後も持続できる

この大きな2つのメリットがあると思います。そして,その効果が最大化されるようなプログラムが組まれています。

現地参加できないか方はもちろん,現地に参加される方もぜひオンデマンド配信を合わせてご覧になって,学会を起点とした熱を日々の臨床にも取り込んでいきましょう!

いかがだったでしょうか? この記事でお伝えした内容は,あくまでも私の脳内で解釈したものです。でも一度だまされたと思って学会に参加してみてください。必要なのは,ほんのちょっとの勇気と名刺だけ。学会参加が,あなたにとって大切な作業になりますように。


医学書院 編集者
小段


千葉県作業療法士学会HPはコチラ⏬
参加申込締切は、2月18日(日)!


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