見出し画像

「衣、食、住、DJ」 vol.6 店と音

皆様こんにちは。ホンダイズミです。
オタイレコードの<note>企画「衣、食、住、D J」第6弾。
今回もまたゲストを迎えてのインタビューではなく私自らが今思うことの続き。DJというよりもう少しベーシックなお話、<音>について語らせていただきます。
専門家ではないなりに感じている正直な気持ちであり、皆様にも是非耳を傾けて欲しいのです。

では、スタートします!

つい先日、時間を潰す目的で某ファミレスに入ったのですが、ドリンクバーをオーダーしコーヒーや紅茶を飲む間ケータイを弄りながら感じたのは(うるさい店だなあココ)ということ。
土曜日の昼下がりであり天気も良く、いよいよ春を迎えた雰囲気も手伝ってか店内はそこそこ混み合っていて、季節にまつわる昭和の歌謡曲が何の脈略もなくただ流れていました。某有線放送局ならば「春ソング定番歌謡昭和〇〇年代」といったチャンネルなのではないか?と想像されます。ファミレスですから選曲についてもちろん文句などないワケですが、作業に集中できないくらいヴォリュームが大きくて正直かなり不快になった私はあることを思い出していました。

それは今から25年前。私が生まれた育った場所大須一丁目にてカフェを作った時の企画段階のコンセプトは「日本一音の良い喫茶店」であり、実際にオープンした段階で週末にはジャズのDJがブースに入って、昼間から結構大きなヴォリュームでB.G.M.を流していたという事実です。
何が違うのか?と言えば、選曲はランダムではなく状況に応じてその道のプロがチョイスしていたことと、音は大きいとしてもお客さんの会話の邪魔にならないように中音域は絞っていたということでしょうか。
店のセンターにデカいウーファーがニ段積み、天井からは白く塗られたヤマハの無骨なスタジオモニター(NSシリーズ?)が10台ぶら下がっていました。何故そんなにたくさんあるかというと、店が真四角ではなくL字型だった為、<音場(おんば)>を三つに分けて作ったからです。仮に綺麗な正方形ならば四隅に一つづつで良いのに、カタチがややいびつだった為、「どの席に座っても体が音に包まれる」ように設計したらそーなった。
当時、オシャレな店なら「BOSE」か「JBL」のカッコいいデザインのスピーカーを使うのがフツーで、n.v.cafe*の店内はある種異様な光景だったはずです。しかしそれは「日本一」というコンセプトからすればおそらく正解だったワケで、実際どのテーブルのどの椅子に座っても目を閉じれば自分の体が音に包まれているよーな感覚でした。店のオーナーの私はもちろんそれをしっかりチェックした上で、ディレクターのM氏に「よくやってくれた。ありがとう」と、お礼を言ったのです。

スタジオモニター

そんな話をすると「また手前味噌の自慢か!?」と思われるかもしれませんが、B.G.Mの内容と共に「日本一」の自負を持ってお店をやっていたのは本当であり、CDを流すとしてもお客さんの入り具合や天候などによって厳密にチョイスしてヴォリュームもしっかり調整していました。例えば、しとしと雨の日は坂本龍一氏のピアノ曲のアルバムであるとか、そーいった感じでディレクターからキチンと指示されていたのです。だから大きい音を出すとすればそれは「週末の雰囲気を盛り上げる為」などの明確な理由があってのこと。今あらためて思えば(それってまあまあスゴイことだったのかな?)と。
だから、居心地の話をすれば少なくとも某ファミレスよりは良かったのではないかな?選曲はもちろん好みの問題があるにせよ、(ただ単にヴォリュームがデカいだけやんけ!)な〜んて、ついイラッとしてしまったりするのであります。

ただ、それに関しては私が子供の頃ピアノをやっていたせいもあって音には敏感だからなのかもしれません。バンドでキイボードもやっていたし、当時は絶対音感もあって耳は決して悪くなかったから、好みでない音を<雑音>と捉えて不快に思うハードルが低いのでしょうか。

昨年10月に移住先のタイから15年ぶりにナゴヤに帰って来たという件は既にお伝えしてある通りですが、飲食店をたくさん訪れた中で(おお。ココは音がいいな〜♪)と感じたお店もありましたので、私がDJをさせてもらった中からご紹介しましょう。
「BURGER STAND have a good time」さんは、お店がこぢんまりしていることもあってか、全体的にキレイに音が回っているように思いましたし、ちゃんとウーファーもあって低音の振動を体に感じて心地良かったのです。

サウンドバーの老舗「shiva」さんもドーンとくる音圧があってカウンター席は良いのですが、新しくできた奥側の席は全く違う空間になっている為かDJをしてみて手前側とのバランス調整が難しかったです。


あと、個人的に気になったのはDJブースに<モニター>が無いこと。いわゆる「返し」というヤツで、例えばステージ上でライヴをやる場合、客席側に流れるバンド演奏の音やヴォーカルの声が演者にも聞こえるように手前側に向けて必ずスピーカーが置いてありますよね?それがないと音がズレて聞こえるからリズムが狂ってしまうのです。
同じようにクラブでもブースの中に居ると、大抵の場合構造上距離が遠い分だけフロアの音が遅れて入ってくるので、ヘッドフォンで聴いている次に流す曲の音とタイミングがズレてしまいうまくミックスできません。だから目の前には必ずモニタースピーカーが設置されているワケです。
ところがサウンドバーには何故かコレがない。仕方なくヘッドフォンで今流れている曲と次の曲両方を同時に聴いてピッチを合わせるか、もしくは近場にある店内に流れるスピーカーのすぐそばまで耳を持って行ってヘッドフォンの音と合わせるくらいしか方法がないのよねー。現実問題できるところとそーでないところがあるし、仮にできたとしてもなんだか美しい姿ではない気がするのです。はい。
DJの皆様はいったいどーしていらっしゃるのかしら……。
それから音の良さという観点では、クラブなどで楽曲を大音量で流す場合MP3とCDとアナログ盤では録音処理上の問題で周波数に結構な差があるので音質の違いが出てしまう、という件もありますよね。

とまあ、やや専門的な話になってしまいましたが、よーするに、ある場所に於いて<音>というモノが与える影響はヒジョーに大きく、居心地を追求する上ではその「質」や「量」、もちろん内容も含めてとても大切な要素なのである、ということが言いたかったのです。お分かりいただけたでしょうか?
当然のごとく、それらを仕切るDJの役割はやはり重要になってきますよね。

オタレコさんイチオシのモニタースピーカー

その辺りのこともご理解いただいた上で、今後もいろいろ深掘りしていけたら良いな、と考えています。

それではまた次回お会いしましょう。

オタレコさんのYouTubeチャンネルはこちらから!
↓↓↓↓↓↓

TEXT : ホンダイズミ(PLUS+ Talent Agent 代表)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?