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ガンダム完全講義19:第9話「翔べ!ガンダム」解説Part2

 岡田斗司夫です。

 今日は、ニコ生「岡田斗司夫マンガ・アニメ夜話」2019/08/06配信分のテキスト全文をお届けします。

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のびのびとした戦闘シーンが続く第9話後半

 岡田斗司夫のガンダム完全講座、今日は8月6日です。

 というわけで、前回は「ガルマの波状攻撃を受けたホワイトベースなんだけど、アムロは拗ねて出撃しない」というところまでお伝えしました。

 例の「殴ったね!?」という有名なセリフのシーンで、「殴ってなぜ悪い?」って、ブライトさんが大げさなポーズで言うやつですね。しかし、殴られたアムロが「もう乗ってやるもんか!」と言うと、「情けないこと言わないで!」と、フラウがドスのきいた声で怒鳴るという。

 そんな怒涛のドラマの最中、ホワイトベースがグラグラと揺れて、ガルマの攻撃が一層激しくなったという、まあ本当に、エラいことになっている、というところまでを説明しました。

 今日は、そこから先の「『翔べ!ガンダム』というエピソードは、前半でギューッと圧縮された分、後半はのびのびとした戦闘シーンが続く」ということで、解説の後半をお届けします。

 それでは、よろしくお願いします。

「柔らかいアニメ」と「噛みごたえのあるアニメ」を分ける演出

(本編再生開始)

 『機動戦士ガンダム』第9話「翔べ!ガンダム」の後半です。

 前回までに話したのは、もう、例のシーンですね。「二度もぶった! 親父にもぶたれたことがないのに!」って泣き言をいうアムロに、ブライトさんが「ぶたれずに一人前になった男がいるものか!」と言う。

【画像】スタジオから

 そんな売り言葉に買い言葉の喧嘩をした結果、ついにアムロが「もう二度とガンダムになんか乗らないからな!」と言い出すと、フラウ・ボウが「アムロ、いい加減にして! しっかりしてよ!」というふうにアームホールドを決めて、説教を始めるというところまででした。

【画像】アムロとフラウ・ボウ ©創通・サンライズ

 フラウが「情けないこと言わないで、アムロ!」と言った後、船がまたガーンと揺れます。

 つまり、こんなしょーもない喧嘩をしている間にも、ガルマが率いる航空部隊がホワイトベースに、波状攻撃……つまり、何度も何度もリピートする攻撃を仕掛けてきている最中なんですね。

 だから、本当は揉めてる暇なんてないんですよ。ずーっと攻撃を受けていて、いつ船が落ちるかもわからないという状況なんです。

 なので、ブライトさんは、もう一度ブリッジに戻ります。

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> ブライト:俺はブリッジに行く。……アムロ、今のままだったらお前は虫ケラだ。それだけの才能があれば、貴様はシャアを超えられるやつだと思ってた。残念だよ。
> アムロ:シャア? ……ブライトさん! ブライトさん!

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 ブライトから「シャア」と言われて、アムロはちょっとビックリします。すると、ここで船がまたガーンと揺れる。そして、ブライトさんが部屋を出ていった後、「ブライトさん、ブライトさん!」と、アムロが何かを言いたげに呼びかけます。

 つまり、敵の名前を出されることで、アムロの中でも「ホワイトベースが揺れている」という今の状況が「敵の攻撃を受けている。その敵は自分が何度も戦ったシャアというやつだ」という認識に繋がったわけですね。……まあ、攻撃してるのは、本当はシャアじゃないんですけど。

 さっきまでのアムロには「このままブライトに言い負かされてガンダムに乗って戦うか? それとも、自分の意地を通して、このまま部屋でゴロゴロしているか?」という、しょーもないことしか頭にないわけですよね。

 いわゆる、引きこもりの人が、親から「いい加減、今日は学校に行きなさいよ」って言われた子供の頭の中には「学校に行くか、行かないか?」しかないことと、全く同じですよね。「そうじゃなくて、もっと全体の、今自分がどういう状況かを見ろよ!」って話なんですけど(笑)。

 しかし、アムロもここでようやっと「今、攻撃を受けていて、それを仕掛けてきているのはシャアというヤツだ」ということがわかった。そして、「お前だったらあのシャアを超えられるやつだと思った」と言われたことで、アムロが最も欲しかった、ブライトさんから認められて、みんなから頼りにされているという状況が、初めて生まれるんですね。

 実は、それまでもブライトさんは「アムロとリュウには食事をちゃんと支給しろ」と言ってたり、アムロのことをすごく認めてたんですよ。

 アムロに対しても、それまでの話の中で、例えば「整備する時は、アムロのガンダムを最優先でしろ」とか「アムロは睡眠時間ちゃんと取れ」とか、見えないところでは、ブライトさんはアムロをすごく評価して、持ち上げているというか、大事にしているんです。

 だけど、アムロからしたら、全然それが見えないんですね。そうじゃなくて、「みんなが飢えている中で、自分だけが飯を山ほど与えられて、まるでイジメのような状態だ」というふうに思い込んでいた。

 そういうものが、アムロの中で「プロテクトがちょっと外れた」というか、まあ、凍っていた心がちょっと溶けたんですね。

 すると、フラウ・ボウがまだまだ言います。

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> フラウ・ボウ:アムロ、ガンダムに操縦方法の手引書ってあるんでしょ?
> アムロ:えっ?
> フラウ・ボウ:私、ガンダムに乗るわ! 自分のやってきたことに自信を持てない人なんて嫌いよ! 「今日までホワイトベースを守ってきたのは俺だ」って言えないアムロなんて、男じゃない。私……。

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 フラウ・ボウが聞いているのは何かというと、「ブライトさんがガンダムに乗ればいいじゃないですか!」っていう、アムロの売り言葉なんです。

 「俺だって乗れるもんだったら乗ってるよ!」「じゃあ、もう乗りません! 僕だって乗りたくて乗ってるんじゃないですよ!」という、すごく情けない男の子の言い合いを見て、フラウ・ボウの中にあった、アームロックで男を持ち上げるヤンキー的な部分が、もう本当に爆発しちゃったんでしょうね。

 「私、ガンダムに乗るわ! ガンダムのマニュアル、あるんでしょ?」って言い切るんです。

 ところが「今日までホワイトベースを守って来たのは俺だって言えないアムロなんて、男じゃない」と言った後、「私……」と、絶句しちゃうんですね。

 絶句して下を向く。下を向くのは、安彦演技の中では、必ず「考え直したり、決意したりする時」なんですね。

 『機動戦士ガンダム』というシリーズの中で……というか、まあ、アニメ界全般に言えることなんですけど、「一度、目線を下にズラす」という時は「人間が内面的になっている」とか「内省的になっている」という印だと思ってください。

 なので、目を下に向けて「私……」と絶句しているのは何かというと。本当は、この後、フラウ・ボウは「私がガンダムに乗るわ!」という決意を言うべきなんですけど、目を下に向けて絶句してしまった。ここに至って、フラウはようやっと、ガンダムに乗るということの怖さが解るわけですね。

 ガンダムに乗るという怖さが解るからこそ、「私がガンダムに乗る!」っていう言葉が出てこなくて、下を向いちゃうんです。

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> アムロ:フラウ・ボウ、ガンダムの操縦は君には無理だよ。
> フラウ・ボウ:アムロ……。
> アムロ:悔しいけど、僕は男なんだな。

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 この「悔しいけど、僕は男なんだな」と言う時、アムロはやっぱり、フラウと同じように、目線を下げるんですね。この時は今度はアムロが内省的になるんです。

 つまり、自分のガールフレンドの女の子に「じゃあ、私が代わりにガンダムに乗ってやるわよ! だって、あんたは乗りたくて乗ってるんじゃないでしょ?」と言われた時に、自分の中に生まれた感情。

 それは、恥ずかしさだったのかもわからないし、シャアに対する対抗心だったかもわからない。何かはわからないけど、何かがあったんですね。

 だから、アムロは一瞬、目線を下げてから、「悔しいけど、僕は男なんだな」と。「ブライトからあんなふうに言われて、やる気になっちゃったよ」とか、もしくは「女の子の君を戦場に出すわけにいかないよ」と思っちゃった。

 ということで、アムロはフラウ・ボウを後にして、廊下を走り出します。

・・・

 すると、ここでまた、ガーンと揺れるんですね。やっぱり、敵からの攻撃は続いている。

 壁にドーンと叩きつけられたアムロは「うっ、シャアめ!」と言って、壁をダーンと叩くんですね。

(パネルを見せる)

【画像】アムロと壁 ©創通・サンライズ

 このシーン、わざわざカットを割っています。

 つまり、最初のカットでは、後ろ向きに走って行くアムロ。船が揺れて、壁にドーンとぶつかる。

 次に「うっ。シャアめ!」と言って、右手を振り上げる。

 すると、また次のカットに移って、右手のアップだけで壁をドーンと叩くカットになる。

 つまり「壁にぶつかるアムロ」「腕を振り上げるアムロ」「腕を壁に叩きつけるアムロの手」という3カットで表現されているんです。

 このシーン、昔、そろそろ「『ガンダム』というアニメがすごいぞ!」と評判になっていた時に、少女漫画家の竹宮恵子が、こんなことを言ってたんです。

 確か『月刊OUT』だったと思うんですけど、そのインタビューの中で「『ガンダム』がすごいんだけど、あれは誰がすごいのかわかる?」と、編集部の人に聞いてるんですね。

 「どういう意味ですか?」と聞くと、「この間、アシスタントから聞いて見てみたら、アムロが悔しさのあまり壁を叩くシーンが出てきた。ああいうのをアニメで見たのは初めてで、ビックリした」と。

 つまり、「攻撃を仕掛けてくる敵に何も言い返せなくて、つい壁を叩いちゃうんだけど、そんなシーンをわざわざカットを割って表現する。これによって、彼の悔しさというのが、すごくわかった」と。

 「あれは、誰が作っているんですか? アニメーターがそういう演技をつけるのか? 脚本にそう描いてあるのか? 絵コンテみたいなもので指示しているのか?」と聞かれたOUT編集部は、まあ、絵コンテでちゃんとそのシーンを覚えていなかったので「いやあ、この場合、色々ですよ」って答えてたんですけど。

 竹宮恵子が驚いたのもわかります。ここは本当に名シーンなんですね。

 なぜかと言うと、アムロにとって、この時のシャアの象徴というのは壁なんですよ。

 「船がガーンと揺れたおかげで、壁に叩きつけられた。だから、壁に仕返しする」という、言っちゃえば「ゴミ箱に脚が引っかかったから、ゴミ箱を蹴り返す」みたいな、直截的な感情をぶつけてるだけのシーンなんですけど。

 ここで、その怒りを、自分の内部とか仲間の方に向けるのではなくて、外部のシャアという人間、もしくは壁というものに向けることによって、ようやっとアムロは復活している。

 そういう、すごく大事なシーンなので、わざわざここを3カットに分けて描いてるんですね。

 この、TVシリーズの『機動戦士ガンダム』というのは、さっき言った目線の動きとかもそうですし、フラウ・ボウのアームロックもそうなんですけど、こういう微妙な演技での表現がすごく多いんです。

 あの、余談になりますけど、僕は最近、オンエアされてるところまで『エロマンガ先生』というアニメを見てまして。

 この『エロマンガ先生』を見てて思うのが「感情を絵で表現しようとしてる」ということなんですね。

 つまり、「恥ずかしい」というシーンは、キャラクターが頬を赤らめて、声優さんが「えっ、えーっと……」って言って、目をパチパチさせる様子をすごく細かく描く。こういうのを見ると「演技がちゃんと出来てる」とか「良いアニメだ」というふうに、みんな思っちゃうんですけども。

 もちろん、これも方法の1つなんですよ。それも、いいアニメの方法なんですけども。そうでない方法もあるんですね。

 それは何かというと、「思わず腕を持ち上げてしまう」とか、もしくは「目線を下げるだけで、見てる人に意図をわからせる」とかなんですよ。

 ところが、『エロマンガ先生』的な演技、全部を絵で描いちゃう、声優さんにやらせちゃうという方が、圧倒的に見ている人に伝わりやすいんですね。そして、伝わりやすい分、「頑張って読み取ろうとする」という努力が、見ている人の中から失われていく。

 僕はこれを「柔らかいアニメ」って呼んでいるんですけど。

 「柔らかいアニメ」と「噛みごたえのあるアニメ」というのが、この世の中にはあるんですよ。わかりやすくすると、ひたすら柔らかいアニメになってきて、みんなの顎がどんどん細くなっちゃうんですね。

 柔らかいアニメも、それはそれで美味しいんですけど。噛みごたえのあるアニメも、良いもんなんですよ(笑)。

 ……まあ、『エロマンガ先生』を例に出したりしてしまうと、この解説が数年後にも通用するのかどうか、わからなくなるんですけどね。

・・・

 ということで、「くそっ、シャアめ!」と言って張り切ったアムロがガンダムで発進します。

 この時、「やってみたい戦法があるんですけど」ということで、今回の表題「翔べ!ガンダム」ということが行われます。

 「ガンダムには、バーニアとジャンプ力があるんだ!」ということで、アムロは、ガンダムで発進して着陸した後、ジャンプしてバーニアを噴かして飛び上がり、戦闘機相手に空中戦をやり始めるんですね。

 そして、敵の戦闘機をどんどん落とす。するとまあ、BGMも「タッターン、タタンタタン、タターンタターン♪」という例のメッチャ明るい曲に変わって「前半はなんだったのよ?」という感じで、どんどん明るくなって行きます。

(パネルを見せる)

【画像】ブリッジのブライト ©創通・サンライズ

 ブライトは、つい「ガンダムが空中戦をやってます!」と身を乗り出して見入ってしまいます。ここが転換点ですね。

 ブライトの右手は「ホワイトベースの窓にギリギリまで行って、身体をこの手で支えている」という表現なんですね。

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> ブライト:ガンダムが空中戦をやっています!
> リード中尉:なに!?
> ブライト:す、すごい……!

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 ブライトさんも、「す、すごい……!」と、独り言を言っちゃいます。

 この時の、盛り上がっている音楽と相まっての高揚感。これは、前半というか、先週、先々週くらいまで、ずーっとタメがあったからこそなんです。

 「ガンダムが空中戦をやってます!」と、思わず、ブライトさんは窓際まで出てきてしまった。そして、「すごい……!」という言葉が全てを物語っている、この高揚感ですね。

 ブライトが「無線解除だ! セイラ、ガンキャノン、ガンタンクに指令! ガンダムの着地の瞬間を狙い撃ちされないように援護をさせろ!」と言うと、もう打てば響くように、カイさんもハヤトもリュウも、「わかった!」と、ガンダムが降りてくる時に援護射撃をしてくれる。

 この全員の心が1つになっていく過程というのは、さっきまでの「殴ったね!」とか「もう二度と乗ってやるもんか!」というのがあったからこその、爽快感なんですね。

(本編中断)

『ガンダム』と『エヴァ』の「わかりやすさ」

 はい、ガンダム講座、第9話「翔べ!ガンダム」の解説、前半はここまでです。

 いや、やっぱり良いですよね。前半、こうギューッと暗い話をやった後で、例の、皆さんが勝利確定曲と呼んでるBGMが掛かってからの展開。すごく良いんですけども。

 やっぱり、僕が最後にフリップで見せていた、ブライトさんがガラス張りの窓にもたれ掛かって喋っている、あのシーン。今、見てもすごいですよね。

 あれ、何かというと、右手は窓にもたれ掛かってるから、身体の前に伸ばしているんですけど、窓を描いてないんですよ。描いていないのに、重心が身体の前に行っていて、手を伸ばしているから、そこに窓があるのが見えるという。これも、アニメーションの描き方の一つなんですけど。

 こんなふうな「重心が前に掛かってて、手があるから、透明な窓があることがわかる」という描き方と「作画をどんどん精密にして、透明な窓をきちんと描いて、さらにCG処理で反転させた画像を入れ込むことによって、窓に映り込んでいる人物を表現する」みたいな描き方の差って言うんですかね?

 前者が『機動戦士ガンダム』とかでやっていた、予算も少なくて、人数も少ない時の描き方。後者が、今のアニメで言ったら、新海誠とかがよくやるやり方です。「絵自体をどんどんリアルな実写の方向に近づけて行って、本来、そこにガラスがあって、それを撮影用のカメラで撮ったら映るものを全部描いてしまう」というやり方。

 これ、どっちが良いということもないんですけど。『ガンダム』のこういうやり方って、最近では、あんまりやる人がいないので、なんかメチャクチャ面白いと思いました。

・・・

 あとは、フラウ・ボウの演技ですね、

 最初の方で語ったことなんですけど、「ガンダムのマニュアルがあるでしょ? 私が行くわ!」って言った後、「私……」と言いかけて、目線を下げる。すると、アムロが「いや、僕が行く」っていうシーンなんですけど。

 これについて、「下を向くのは考えているからだ。内省的になっているからだ」というふうに、2年前の僕は解説してるんですけど。

 これ、ちょうど先週の『なつぞら』というNHKの連ドラについての解説と同じなんですね。

 主人公のなつが「もうあなたとの婚約は破棄します!」と怒って、真っ直ぐ前を向いている時に、ドラマの中では坂場さん、実際のモデルは高畑勲なんですけど。「私はこういうわけで~」と、一生懸命、なつに話しかける。すると、なつも段々と心が受け入れモードになって来て、目線を下げるんですね。

 ここで、なつが目線を下げるというのは「内省的になって怒りが止んでいる」っていう表現なんですよ。

 『ガンダム』は、それをアニメでやっているわけですね。

 なつは目線を下げる時に「あっ、私の本当の気持ちはどうなんだろう?」と考えてるわけですけど。じゃあ、フラウ・ボウが目線を下げた時、何を考えていたのか?

 それは、この後のアムロとのやり取りでわかるんですね。

 フラウ・ボウが「私、ガンダムに乗るわ。私……」と言った後、思わず目線を下げちゃったのは、ガンダムに乗ると決意した瞬間に、その恐怖が襲ってきたからなんですね。ここでやっと、アムロが何と戦っていたのかわかるんです。

 それまで、フラウ・ボウは「アムロ、情けないこと言わないで!」と励ましてたんですけども、「じゃあ、私が行く!」って言った瞬間に、自分があれに乗って敵と戦うという恐怖を初めて感じたんです。なので、目線を下げてしまったわけですね。

 すると、アムロはそんなフラウ・ボウを見て、彼女が怖がっているのがわかった。幼馴染の女の子が怖がっているのがわかったからこそ、「君にはガンダムは無理だよ。悔しいけど、僕は男なんだ」と言って、アムロは行くと決意したんです。

 これ、何かっていうと、『エヴァンゲリオン』の第1話なんですよ。

 『エヴァンゲリオン』の第1話で「絶対に嫌だ!」と言っていた碇シンジが、なぜエヴァに乗ることを決意したのかというと、目の前で血まみれになっている女の子が「もう一度戦います」と言って起き上がる姿を見たからこそなんですよね。

 だから、『エヴァ』って、『ガンダム』というのを、結構ちゃんと意識してて、良いところを持って来てるんですけども。

 この辺りの演技のやり取りというのは、まあ、最初に出した『ガンダム』が一番ぎこちなくて。後の『エヴァ』とかになってくると、だいぶ上手くなってくるので「ああ、碇シンジは、綾波のこういうところを見て決意したんだ」というのが、すごくわかりやすいんですけど。『ガンダム』の時代は、まだまだちょっとわかりにくいような表現でやっています。

 あとは、まあ、結局「どこまで描いてわかりやすくするのか?」なんですよね。『エヴァ』の場合は、血まみれの綾波を何度もシンジが見て、目をつぶって「逃げちゃダメだ!」というセリフを散々言ってから、「自分が行く!」というふうに見せている。だから、わかりやすいんですよ。

 と、同時に、『エヴァ』の「逃げちゃダメだ!」というシーンは、僕、本放送の第1話を見た時に「安っぽいな」って正直、思ったんですよね。「『ガンダム』はあれだけカッコよくやってるのに、『エヴァ』は全部説明してるじゃん! だっせーアニメ!」って思ったんですけど。

 今や、僕が「だっせー!」と思った『エヴァ』ですら、高級な表現になってしまっていて。最近のアニメは、さらに噛みごたえがないものになってきてしまっているという。

 まあまあ、それは一部のアニメに限った話かもしれないし、そんなアニメを見ている俺が悪いのかもわかんないですけど(笑)。

 だって、僕が今、毎週楽しみにしているアニメって、『ダンベル何キロ持てるかな?』というどうでもいいアニメと、あと『通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?』という、この2つしか今期のアニメを見てないんですよ。

 「ここまで言っておいて、ダメな俺!」っていう話なんですけど(笑)。

 ええと、まあ、というわけで、無料解説はここまでです。

 それでは、ここから『機動戦士ガンダム』の第9話「翔べ!ガンダム」後半の解説に入ります。

 それでは、どうぞ!

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岡田 斗司夫

1958年大阪市生まれ。社会評論家。ニコニコチャンネル「岡田斗司夫ゼミ・プレミアム」で毎週ライブ番組を配信中! https://ch.nicovideo.jp/okadatoshio-archive/

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