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ミニバスとバスケ

ミニバスとバスケは同じ競技?

バスケットボールは年齢に関わらず同じ広さ(高さは変わりますが)のコートを使うために、年齢によってプレイごとの得点確率(得点しやすさ)が変化していくという性質があります。若年層ほど成長段階(学年)による身体能力の差が大きく、同時にDEFのカバーリング能力が低いためにドライブからのランニング(レイアップ)シュートの得点確率が高い一方、筋力が低いためミドルレンジからのジャンプショットの得点確率は低くなっています。さらに日本のミニバスは3Pシュートが無いので、フィールドゴールの得点期待値(得点確率×得点)はゴールに近づけば近づくほど高くなる特性を持ちます。

なのでミニバスでは多少強引でもゴールに近づいてシュートを狙うことにメリットがあるし、逆に「離れた場所からのシュート」を止めるクローズアウトの必要性はあまり高くありません。

それが中学になると、3Pラインの登場でその「常識」が根底から変わり、3Pシュートを防ぐためのロング・クローズアウトの場面が増えていきます。
同時に、DEFの動ける範囲が広がる上にカバーリングが上手になっていくので、ドライブしてもDEF間の隙間が狭くリングにたどり着けない場面が増えていきます。

その結果、戦術的な方向性が大きく異なり、OFEでは(ロング)クローズアウトを発生させることが基本的な戦術となり、逆にDEF側はクローズアウトが発生しにくい状況をキープすることが重要になってきます。最近よく聞くスペーシングとは適度な距離を保つ(=spacing)ことですが、OFE側はそれによって「カバーに行きにくい or カバーに行くとロング・クローズアウトが発生してしまう」状況を作ることを示しますし、DEF側は「カバーに行きやすい and クローズアウトに間に合う」状況を作ることを示しています。

「…でも、その辺を重視していない指導者も多いんです」

と、指導者講習会で講師の先生が嘆いていました。ミニバス時代から同じコートを使っているが故に「(相対的に)コートが狭くなっている」という感覚を持ち得ていない人は多いのですが、中学くらいまでは身体能力が高いとミニバスの延長でもやれちゃうので、長い時間をかけてスタイル変更させる必要性が薄いのでやらない指導者も多いそうです。そのため高校の指導者(男女問わず)からは、「ミニバス出身者は上手いけど、コートの使い方が狭いとか、3Pシュートをミドルの延長で考えているとか、クローズアウトをサボりがちな子が多い」という嘆きもよく聞きます。

そこはミニバスとバスケは、そっくりだけど別の競技という意識を持てるかどうかにかかってきます。みなさんはどうですか?

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