オフェンスの動きの「原則」②
前回の続きになります。
前回は主にパス後のカッティング(最後はオフボールスクリーンの話になりましたが基本原則は変わりません)でしたが、今回はドリブル(ドライブ)に対するオフボールマンの動きの原則です。
① 基本原則は「ドリブル鬼ごっこ」
ドライブに対するオフボールマンの動きは「ドリブラーがこっちに来たら逃げる」のが基本となります。ウォームアップの時にやるドリブル鬼ごっこでキャーキャー言いながら逃げ回る、あのイメージです。
でも、そのまま同じ方向に逃げていたらコート外に出てしまうので、コート内に納まるように方向を変えて逃げることになります。
逃げた先に他の人が居たら空間が狭くなってしまうので、押し出されるように他の人達も同じ方向(コート外に出ないようにするのは同じ)に逃げます。その結果、ボールが進む方向と同じ向きに円を描くように回ることになります。これはサークル・ムーブ(サークル・スライド、サークル・ルールなどとも呼ばれます)と呼ばれる動きで、ここ数年でオフボールの選手の基本的な動き方として広まってきました。
② サークル・ムーブのメリット
サークル・ルールのメリットの1つが、2線、3線のDEFのカバーリングがやりにくいというところです。2線、3線のDEFは「ボールとマーク(の両方を見る)」が基本で、その両方を視野に入れられる位置に立ちますが、両方が同時に動くと「ボールかマーク」になり易くなります。
そしてもう1つのメリットが「ロング・クローズアウトを作りやすい」ということです。オフボールの選手がカバーDEFの動きと逆向きにスライドすることで、DEFと離れる動きになります。その結果、ボールマンからのパスが来た時に「DEFが長い距離を寄せなければいけない(ロング・クローズアウト)」状況になりやすいです。
③ サークル・ムーブの応用
ドリブルが自分に向かってきた時の対応方法としては、サークル・ムーブの他にもう一つ、ドリブル・ハンドオフ(DHO)があります。3Pラインの外を回りながら連続してハンドオフを繰り返す動き(Weave)はミニバスでも使われるアクション(動き)ですね。
映像を見ると、単にボールマンがドリブルして次の人にハンドオフして…を繰り返しているように見えますが、実はサークル・ルールがベースにあるから機能するアクションです。
単純にハンドオフに行こうとすればDEFはディナイやバンプをして行かせないようにしたり、ボールに対してダブルチームに行こうとします。それに対してサークル・ムーブからのバックカットが選択肢にあるから、DEFは簡単に前に出られないのでハンドオフで繋ぐことができます。
この逆の動きとして、DHOだと思わせておいてバックカットで得点するアクションもあります。その際に、ボールマンがわざとカバーDEFに向かってドリブルする(ドリブルアット)ことでバックカットへの対応を遅らせることができます。サークル・ムーブの「裏」の動きであるDHOの、更に「裏」の動きであるバックカット(「裏」の「裏」は「表」になりますね)…という選択肢を持った中でのDEFとの駆け引きになっているわけです。
複雑に見えるオフェンスの動きも、こういう「原則」の下で動いていることがわかると、トップレベルの選手達のプレーも見え方が変わってきます。少しずつ頭に入れていってほしいなと思います。
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