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モーションオフェンスの注意点:FW編②

1. 適切なスペーシングを保つ

" Offense is spacing, and spacing is offense. "
1990年代を代表する名指導者リック・マジェラスの言葉ですが、現代バスケはこの言葉に象徴されると思います。モーションオフェンスに限らず、適切なスペーシング(選手と選手の間隔、距離)は現代バスケの基本です。

では適切なスペーシングとは?という話になりますが、世間に出回っている様々な説明の中で、自分がお勧めするのは「Mackayの6分割理論」と呼ばれるイメージが分かり易いのかなと思っています。

正規サイズのコート幅は15mでペイントエリアの幅は4.9mなので、フリースローレーンを延長したラインで分けるとほぼ3等分(ペイントエリア3秒ルールがあるので、エリア④はセンターが立つライン際も含めて考えます)されます。そしてフリースローラインの少し上(上と同様にエリア④にハイポストを含ませるためです)で上下に2等分した6つのエリアを想定します。

この①~⑥の6つのエリアには1人のプレイヤーのみが配置されるように立つと、適度なスペーシング(5~6m)が確保されます。実は基本的なシステムである3アウト2インや4アウト1インなどのシステムも、この6分割理論で説明できるものです。最近流行の5アウトシステムはペイントエリア(エリア④)を空けて、全員がそこにアタックできるようにしているシステムです。

ドリブルドライブモーションオフェンスの基本アライメント(左)。エリア③を空けることで、ミドルドライブをしやすくしている。5アウトの基本アライメント(右)。ペイントエリア(エリア④)を空けることでゴールへのカッティングやドライブをしやすくしている。

もちろん、実際のプレー中にはこのような単純な状態にはなりませんが、このスペーシングを保とうとすることが重要です。一度、狭くなったり同じエリアに複数人が入ったとしても、またこの状態に戻そうとすることで、相手DEFが守りにくい状態をキープすることができます。

以前話した「モーションオフェンスの基本」の解説の図も、この6分割のスペーシングを保ちながら行われています。その辺の解説はまた後日するつもりですが、チームオフェンスを頭で描くときには、この原則を頭に置きながらやっていくクセをつけてほしいなと思います。

2. 適切なカッティングを選択する

実際にはPGが保持する割合が多くなりますが、仮に5人で均等にシェアしても、オフェンスの時間の80%はボールを保持しない(オフボール)状態でのプレイとなります。そのオフボール時に仲間を活かし、自分も活きる動きがカット(カッティング)になります。元の語源は「(切り裂くように)パッと動く」ことでしたが、今はオフボールの選手がパスを受けるために移動する動き全般をそう呼んでいます。

カットと聞くとVカット、Lカット、バックカット…というカットの種類が頭に浮かぶと思いますが、目的で分けると(1) ボールへ向かうカット、(2) ゴールへ向かうカット、(3) ボールから離れるカット、(4) ゴールから離れるカットの4種類になります。ただ、(4)は、ボールレシーブに直接繋がらない動き(ボールマンを助けるための動きが多い)になる上に、(1)や(3)との違いが曖昧になることも多く、一般的には「カット」と言うと残りの3つで分類されることが多いですね。名前としては①をボールミート、②をゴールカット、③をフレアカットと呼んでいる人が多いと思います。

4種類のカットの概念図(左)。実際には(4)のカットは、その動き自体でボールを貰う形になることはほとんどなく、ボールマンのドライブコースを空けたり、そのドライブへの合わせの動きとなる。

これらのカットは、①いきなり動いてDEFを置き去りにするやり方の他に、②最初の動きで相手DEFの反応を見て、どういうカットをするかを決めるというやり方もあります。

パスの後にいきなり動くカッティング(左)と、自分の動きに対するDEFの反応を見てからカットの種類を選択して行うカッティング(右)のイメージ図。どちらも3種類のカットを行っている。

ミニや中学では①のやり方の方が多く、身体能力に差がある(=自分が有利)場合はこちらのやり方の方がシンプルで確実なのですが、年齢が上がるにつれて②のやり方が必要になってきます。この駆け引きができるようになるとちょっと「大人のバスケ」になってきますね。

この動きはオフボールスクリーンの使い方にも繋がってきます。
続きます。



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