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チームオフェンスとは。

戦術を理解するためのベースとして、そもそも「チームオフェンスとは?」という共通認識を持つことが大事だと思ったので、これを書きます。

イメージしやすいように数字で話をします。
1on1の時はオフェンスが有利なので、仮にプレイヤーAとプレイヤーBの能力が同じ(数値90)だったとしても、OFEに+補正、DEFに-補正がかかってOFE側が強くなります。

でも5on5の時は、DEF側はボールマンDEFを助けるカバー(ヘルプ)役のDEF(いわゆる2線、3線ですね)を用意して、その合計値で勝とうとします。そのため、ミニ→中学→高校とカバーDEFの技術が上がっていくにつれて、1on1に勝ったのにシュートに辿り着けないという場面が増えていきます。

しかし、それぞれのDEFの準備が整っていない状態では、その力を額面通りに発揮することができません。仮にボールマンDEFの準備が整っていない(マッチアップが遅れる、スクリーンに引っかかる、ロング・クローズアウトが発生してしまった、など)ために、本来の力の6割しか出せない状況になれば、OFE側が勝ちます。

逆に、カバーDEFの準備が整わないために6割の力しか助力できなくても、やっぱりOFE側が勝ちます。

このように、チーム全体でボールマンDEFやカバーDEFを壊し(break)て本来の力を発揮できないようにするのがチームオフェンスの基本です。

一方で、ボールマンDEFが壊れた(崩された)時にカバー役のDEFがカバーDEFにもっと多く注力することで合計値を上回ることができます。

しかしその時には、カバー役のDEFがマークしていたOFEに回せる力が減ってしまいますので、そちらで1on1をする方がより有利になります。これが2on2〜5on5でのオフェンスの基本となります。

そうやって最後のシュートが簡単に決まる(これを「イージー・バスケット」と言います)ようにしていくのがチームオフェンスです。

ここで重要なのは「自分がシュートに行けない(行けなかった)からパスをする」のとは似ているけど別物だということです。あくまでチーム全体として相手を崩して有利にする中での動きだという意識を持ってほしいと思います。

練習試合等で控えの子達がチャンスをもらって頑張っている時に

「1対5で戦ったってダメだろ!」
「お前はいつまでたってもミニバスのクセが抜けないな!」

などと(口の悪い)コーチからダメ出しされる場面を見ていると心が痛むので、いつか書こうと思っていたのですが、やっと書けました(笑)。参考にしてもらえたらと思います。

余談ですが、こうやってカバー役のDEFがカバーに注力してしまうと壊れ方が大きくなっていく(みんな経験あると思います)ので、カバー役を複数人置いて、みんなでちょっとずつ力を足す(元気玉のように)やり方をしているのがゾーンDEFです。これだと1on1の部分で多少の力の差があっても守れてしまう(なので1on1をやらなくなってしまう)ため、ミニや中学では禁止されています。

ゾーンDEFはその仕組み上、どうしても守り切れないエリア(ギャップ)が生まれてしまう欠点を持ちます。そこを組織的に攻めるのがゾーンアタックになります。

これも基本は変わらず「カバーに行かなければ失点する、でも行けばどんどん隊列が壊れて(崩れて)いく」を繰り返して、最後のイージーバスケットにつなげていくだけなんですが、ゾーン禁止世代が当たり前になって以降、高校でゾーンDEFが崩せない場面が増えてきました。

なのでまず、マンツーマンDEFの中でその「ディフェンスを壊す(崩す)」感覚を身につけていってほしいと思います。

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