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Tagging Up

近年、NBAではオフェンスリバウンドの数が減少傾向にあります。それは3Pシュートは外れた場合に大きく弾むためにディフェンスがキャッチすると同時に速攻となってしまう可能性が高いためで、データ解析が進む中でオフェンスリバウンドに成功して得点する確率よりも、ディフェンスリバウンドからの速攻で失点する確率の方が高いことが分かってきたためです。

そのため、ディフェンスリバウンドからの速攻を防ぐことをまず最優先に考え、その上でオフェンスリバウンドを狙いに行くのが今のトレンドになっています。これは「タギングアップ(Tagging up)」または「タグアップ」と呼ばれています。

まずはこの動画を見てください。

0:21からのプレイを例にすると、

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(3P)ショットを合図にアウトサイドに居たセンターは全力でペイントエリアに向かう。
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サイドの選手もペイントエリア付近に寄るが、その際にはディフェンスよりも高い側(High side)を確保しにいく。手前の97番はゴール側から回れる位置に居るが、それでも高い側に動いている。
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このように相手をUp(高い)側からエンドライン方向にTagging(接触している)状態を作る。逆方向(リング方向)にボックスアウトをしているイメージ。ローポストのセンターは必ずしもエンドライン方向になっているわけではなく、リング下方向に押し込む形になっていることも多い。
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落下点に近い選手(黄色い〇)はオフェンスリバウンドを狙うが、ボールに近寄ってまでリバウンド争いに参加せず(手前の選手)、相手をブロックして速攻に行かせないことを優先する。
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リバウンドのボールが弾かれてセンターライン方向に飛んだ(赤い矢印)が、相手DEFをエンドライン方向にブロックしていたことで、このボールを捕られて速攻になることを防いでいる。結果的にオフェンスリバウンドが確保されて、オフェンスを繰り返すことができる。
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ディフェンスに捕られた場合でも、ボールや相手選手の進行方向の正面にいるので進行を塞ぐ形になりアウトナンバー速攻になりにくい。センターはマッチアップに関わらず全力でリムランしてゴールを守る。

3Pシュートを武器にしているチームと戦った時に「3Pを撃たれて、相手にリバウンドを捕られて、また撃たれて、またリバウンドを捕られて、結局、3Pシュートを決められてしまう」というメンタルを削られる攻撃をされた経験のある人は多いと思いますが、アンラッキーが続いたのではなくこれをやっていた可能性もあります。

ボックスアウトと同じく、無意識にやれるくらいに習慣付けをしないといけない技術ですし、同時にボックスアウトと同じく全員がやらないと(誰かがサボると)効果が激減してしまうものです。小さいことの積み重ねですが、日々の練習から意識をしてやっていきましょう。

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