ゾーンアタックの基本的な考え方
(初稿:2022年10月28日 21:18,改訂:)
1.基本的な考え
ゾーンアタック(ゾーンオフェンス)については前にも少し書きましたが、
ボールマンが有利に攻撃ができる場所というのは「あるDEFが直前まで居たところ」です。そのDEFが動いたことで、そのDEFが担当していたエリアが弱くなり、そのエリアを他のDEFがカバーするまでの時間に攻撃ができるかどうかが勝負です。
その「DEFが居なくなる」動きを極力少なくする目的で使われているのがゾーンディフェンスです。なのゾーンアタックは「どうやって『直前までDEFが居たところ』を作り出すか」が重要で、これを意識せずに闇雲に動いても上手く行きません。
2.アライメント
基本的には「トップのDEFが奇数なら2ガード、偶数なら1ガード」ですが、大事なのは「何のためにこれをするのか」で、DEFとDEFの間にボールがあって、オフボールのスペーシングが良い状況になると、DEFの隊列が乱れた状態からスタートしないといけなくなるわけです。それが目的です。
なのでボールマンがわざわざ相手の居る場所に向かっていくのは悪手で、できるだけDEFを連れて(パスだと担当するDEFが変わるだけで大きく変化しない)隊列を崩すように動くことが重要です。3-2や1-3-1のような1トップだと右に連れていきたいなら左サイド側から正面を横切るように動いていくと着いて来やすいです。
そして基本の立ち位置から動いた時に、スペーシングが狂ったならば、「直前までDEFが居たところ」にオフボールが飛び込めばチャンスが生まれます…が、そんなことは起こらず、空いたスペースは他のDEFが埋めに来ます。
なので最初はゆっくりDEFを連れていきながら、最初の隊列を崩すことを目指していきましょう。その際にはボールの隣のオフェンスはスペーシングを保ちながらスライドしていきます。
最終的にはこのような形で隊列を乱した状態に持ち込めたらここからゾーンアタックの開始です。「どちらかのサイドに連れていく」のは2-3でも基本的には変わりません。
ただ、チームコンセプトによって「どの位置からスイッチして追ってこなくなるか」が変わってくるので、相手がゾーンDEFをしてきた時には、最初にゆっくりと動きながらどこから変わってくるかのラインを確かめておくことが必要になります(タイムアウト明けに修正してくるケースもあるので、PGは再確認の作業を忘れないこと)。
余談ですが、過去にうちのチームでこういう特殊な2-1-2をやったことがあります。上の2枚(x1, x2)と中央のセンター(x5)を合わせた3人と、それ以外の選手の身体能力に差がありすぎたので、下の二枚(x3, x4)をゴール下付近を空けてしまわないようにエリアを絞ったのですが、意外に相手が戸惑ってくれて機能してました(バレたらパス回しでx1, x2の足を消耗させられましたけど)。ゾーンDEFはコーチによって色々な動き方がありますし、チーム状況によってはこんな特殊なケースもあるので、確認作業は大事なんです。
3.ゾーンアタックの基本コンセプト
ゾーンアタックの基本コンセプトは(1) 左右に動くDEFをボールサイドに動けない状態にする。(2) ベースライン側に居るDEFを高い位置に上げてしまう。の2つになります。色々なアタック方法がありますが、基本的にはこの2つを狙っています。
「左右に動くDEF」というのは基本的には中央に位置しているDEFとなります。1-3-1だと3人が中央に居ますが、ボールの位置に応じて、対応するDEFをうまくコントロールすることが重要になります。
一つの例を上げるとこんな感じになります。
(1) 左右に動くDEFをボールサイドに動けない状態にする。を狙うために中央のDEF(x1)にボールマンスクリーンをかけ、ドリブルでサイドを変えます。#3は連動して1パスの距離を保っておきます。そうしないとx3は着いてこないのでバランスが保たれてしまいます。それによってx2に対して#1と#4の2対1ができます。
この状態からx2の反応次第になりますが、x2が#4に対応しようとするなら#1のドライブアタック&シュート、x2がボールマンに対応しようとするなら#4へのパスになり、(2) ベースライン側に居るDEF(x4)を高い位置に上げてしまうことができました。あとは「直前までDEFが居たところ」に飛び込むことを繰り返せばゴール下でシュートが撃てるわけです。
ここは反応の早さとパスの速さが重要です。パスキャッチをしてから周りを見て…と、ゆったりと戦っていたら隊列が元に戻ってやり直しになります。
準備の段階にバタバタしても上手く行きませんし、アタックに入ってからモタモタしていても上手く行きません。ゾーンアタックはそのメリハリが大事です。最後の仕上げを頑張りましょう。
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