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バスケ用語の不思議さ

先日、ある人と話をしていて「…ん?」と思ったことがありました。話は「ディッシュ(パス)」についての話だったんですが、

私の用語理解は大御所Mike Mackayの解説がベースになっている(彼の解説にはところどころに用語の注釈が付いているので楽だったんです)ので「Dish = a bounce pass off penetration (ペネトレイト・ドライブから放つ、カバーDEFの下を抜くバウンスパス)」という理解だったのですが、
(逆にカバーDEFの上を飛ばすパスが" Pitch ")

Mike Mackay ” Read and React Offense " より

どうも今のNBAでは「(ペネトレイト)ドライブで侵入した選手がペイント内の選手に渡すパス」を" Dish "と呼び、「ペイント外、特に3Pライン上で待つ選手へと飛ばすパス」を" Kick "と呼んで区別しているようですし、

日本のバスケ界の第一人者で、NBA中継の解説でもおなじみの倉石平さんの説明だとDishとKickの違いは内/外ではなく「距離の違い」という話になっていますし、

育成年代の指導で定評のあるERUTLUC(代表の鈴木良和さんは日本代表のサポートコーチ)の説明では「近い距離の味方に素早く出すパスの一つ」というパス技術の話になっています。

https://www.basketballtutor.com/blog/2020/07/14/dishpass/

実はこの「お皿に乗せた料理を出すように手のひらを上に向けながらパスをする」という技術の説明はJBAのジュニアエリートアカデミーでトーステン・ロイブルさんが説明しているのと同じなので、日本での「ディッシュパス」というのは「手のひらを上に向けて渡すパスのこと」というのが正解なのかもしれません。実は冒頭の会話に出てきた「ディッシュ」もこのパス技術の話でした。

と、思えば「ディッシュパス」を「(P&Rでよく使われる)動きながらのバウンスパス」の名称として使っている(ニュアンス的にはMackayのそれに近い)アカデミーの動画があったりするわけです。

昨日はP&R中心に! ディッシュパス、ラテラルパス、フックパス 、 、 ファイトオーバー アンダー ブリッツ アイス など 色んなシチュエーションを想定して沢山やりました #pasacademy #basketball #basketballschool #skill #パスアカデミー #バスケットボール #ピックアンドロール #堺市 #南地区 . . 1番最後のやつはご愛嬌です笑

Posted by PAS Academy on Monday, April 22, 2019

バスケ(に限りませんが)の用語にはこういうものが多々あって、ある指導者が使っていくうちに変化したものもあれば、その指導者のお弟子さん達が広めていくこともありますし、意味的にどうも合わない和製英語や「誤訳」としか思えない用語も珍しくありません。そのため他の指導者に教わりに行ったり、他チームと合同練習をやったりした際に「使っている用語の意味が違う」ことが分からなくてしばらく混乱して聞いていた…ということを何度も経験しています。

ただ、そこは「何が正しい」という話ではなく、こういう部分があるものだから選手達は「ミニや中学の指導者が使っていたのと同じ用語であっても、必ずしも同じ意味とは限らない」という意識を持ってほしいなと思いますし、指導者の側も説明が分からない時には分からないと言える環境を作ってあげてほしいとな思います。

雑感でした。

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