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2022トランジション~アーリーOFE③

↑これの続きになります。

・ドリブルハンドオフ(DHO)

前回のボールマン/トレイルのドライブアタックがDEFに遮られたり、準備が十分で無かった時には、ドリブルハンドオフ(Dribble Hand Off: DHO)へと切り替えます。

ただ、前回のトランジション・スクリーンの部分でも書きましたが、ドライブをするかもしれないという恐怖が無ければ(つまり「どりぶるはんどおふだよー」とバレバレの状態だと)、むしろDEF側としては潰しやすいアクションであることを強く意識してください。それはオフボール側も同じで、ドリブルハンドオフはそれだと分かっていたら潰すのはそう難しくないアクションです。

ではどうするか。それだと分からない(分かりにくい)ように他のアクションを意識させることが必要になります。多く使われるのはバックカットとの組み合わせになります。

#5がドライブをキャンセルした状態からの#3のバックカット
X3がドライブへのカバーで内に寄った(左上)状態なら#3はカット&ドライブ(右上)、X3がDHOを警戒して#3に寄っている(左下)なら大きくバックカットしてゴール付近でパスを受けてシュート(右下)。どちらの場合も#4はX4の裏に回る形で合わせの動き。#1は#5の動きに付いていく(Drag)が、#3のバックカットに合わせて視界から消えないようにスライド(Drift)する。#2はステイ。

この動きがあると、バックカットのように見える動きに対しても対応せざるを得ません。そこからDHOが始まると後手に回らざるを得ないわけです。

ドリブルハンドオフ(DHO)
(左上) #5の動きを見た#3がバックカットのような動きをしてX3を警戒させる。(右上) #3がボールを受けに上がっていく時に、#5はX3と衝突するように向かっていく(黄色の丸)。#3はX3の動きを見ながらファイトオーバーで追ってくるならドライブ(左下)、アンダーで抜けようとするなら3Pシュートを選択する。#1, #2, #4はポジションチェンジをすることでペイントエリアから相手DEFを引っぱり出している(右上)。3Pシュートの後はリバウンド(右下)。

同時に、ボールマンもDEFにドライブに行くかもしれない恐怖を与えないとDHOは潰されやすいアクションだという意識を忘れないでください。安易に#3に渡してしまうと、直後に潰されてしまうので下の図のようにドライブのチャンスを狙うことが重要になってきます。

X3が速いアンダースルーで#3の前に出ようとする動き(左上)の時はX3とX5が重なるタイミングでのドライブが有効(右上)。X5トップロック(抜けられないように押さえる)で守ってくる(左下)なら、それを見逃さずにドライブに行く(右下)。

・DHO~ドライブアタック~キックアウト

DHOからのドライブでシュートまで行けなければ、逆サイドで待つ選手にキックアウトします。その際に、パス先によってクローズアウトの距離が変わってきます。コーナーであればそこからDDMOをスタートさせますが、2ガードポジションならマッカビ継続、45度であればシャッフルカットやダウンスクリーンなどでドライブスペースを空ける動きが必要になります。

DHOからのドライブアタック後
(右上) 2ガードポジション(スロット)へのパス(#4)なら#2がカットして逆サイドでDHO。(左下) 45度へのパス(#2)なら左右共に狭いので、#4が3線→2線に変わって移動したX4の裏をカット(シャッフルカット)して、そこにパスか空いたスペースにドライブ。#3はコーナーでステイしてドライブを待つ。(右下) コーナーへのキックアウトならDDMOスタート。#2と#4はドライブスペースを確保するためにDEF(X2, X4)の裏を抜けるような動きから両スロットへスライドする。

・マイアミ(Miami)アクション

〇〇アクションと呼ばれる動きは、それを有名にしたチームの名前が付いていることが多いです。マッカビはマッカビ・テルアビブというイスラエルのチーム名ですし、マイアミはマイアミ・ヒートというチームが由来です。

その程度の意味です。
頑張って覚えるような類の話でもありません。

動きとしては、DHOとオンボールピック&ロールを組み合わせたもので、ボールサイドに人数が固まることで、逆サイドが大きく空いてドライブアタックがしやすくなります。

DHOの部分は上の話と大きな違いはありません。オフボールのバックカットやボールマンのドライブを意識させないとダメなのも一緒です。そして、オンボールスクリーンに行くセンターがゴールカット&ドライブをするかもしれないと思わせないといけない点はトランジションスクリーンと一緒です。

トランジションからのマイアミアクション①
(左上) ①ボールマンのドライブ、②ポストフィード、③アングルチェンジができない時に同サイドでDHOを狙う。(右上) コーナーのオフボールマン(#2)はバックカットを意識させる(狙えるならアタックする)。同時にトレイル(#5)はボールサイドカットからのアタックを意識させる。(左下) DHOが始まったら、ローポスト(#4)は邪魔になるので逆サイドの45度(黄丸)に逃げる。#2はDHO、#5はトランジションスクリーンと同じ動きとなる。(右下) #1はハンドオフで渡した後、すぐにコーナーへカットしてX1の視界から消える(#2のカバーに行きにくくする)。
トランジションからのマイアミアクション②
(左上) #2のドライブが止まった時は45度に居た#4がスロットまで上がってパスを受ける(そのまま受けるとX4との距離が狭くて次に繋がらない)。(右上、左下) そこから自分サイドでDHO。ドライブした#2がコーナーに向かえば通常のマッカビアクションと同じ形になる。

マイアミアクション自体は、あくまでDHOとトランジションスクリーンの合体技なので、ボールマンの判断で自分のドライブに切り替えることも必要ですし、オフボールの選手達もそれに合わせた動きをすることでチームオフェンスの形が増えていきます。「動き方ではなく(その動きの)目的を覚える」というのはそういうことです。

マイアミアクションの変形
(左上) 同じアクションから (右上) ボールマン(#1)自身のオンボールスクリーンドライブ (左下) カバーDEFが居ないならX1との1on1 (右下) X2のディフェンスが割って入ろうとするなら#2のバックカットからのアタック

既にやっている動きを組み合わせるだけでこんな動きもできます。前回、トランジションスクリーンの変型として紹介した、アタックしない#5から#1へのハンドオフプレイですが、

パスをした#1がそのままゴールカットをして逆サイドに抜けてしまえばマッカビになるわけです。

こういうバリエーションをどれだけ練習中や練習試合でチャレンジできるかが大事になってきますし、オフボールマンは常に合わせの動きを想定しながら待つことになります。いつでも動き出せるような準備が大切です。

準備、できてますか?

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