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モーションオフェンスの注意点:オフボールスクリーン編①

これ(FW編②)の続きになります。

前回の内容をちょっと復習します。

オフボールのカット(カッティング)は大きく分けて、
① ボールに向かうカット(≒ボールミート)
② ゴールに向かうカット(=ゴールカット)
③ ボールから離れるカット(フレアカット)

の3種類に分かれていて、それをいきなり選択する(相手DEFの隙を突く)やり方と、少し動いて相手DEFの反応を見て選択するやり方がある、という話をしました。

その、少し動いて相手DEFの反応を見て選択するカッティングを狭いエリア内で複数の選手が連続して行う、というのが現代バスケにおけるオフボールスクリーンです。

これだけでは分かりにくいので図解します。
どこかに「集合場所」を作って、そこに複数の選手が集まり、そこから各選手が順番に「ボールに向かう」「ゴールに向かう」「ボールから離れる」のどれかを選択していくというイメージです。

オフボールスクリーンの概念図①
(左) #4が決めた「集合場所(水色丸)」に#3が集合。
(右) 「集合場所」から3種類のカットを選択。

では、その「集合場所」はどこになるかというと、最初に動いたOFE選手(=スクリーナー)が狙ったDEF付近になります。そのDEFがマッチアップしているOFE選手がユーザーとなり、その「集合場所」でDEFとカッティングの駆け引きをする形になります。多くの場合はスクリーナーの背中の方向に向かうのが一番確実ですが、あくまで自分をマークしているDEFとの駆け引きによってどれを選択するのかが決まります。

オフボールスクリーンの概念図②
(左) 先に動いた方(#4)が狙いをつけたDEF(x3)を「集合場所」に設定。#3が集合。
(右) その状態から#3がx3との駆け引き。

そしてスクリーナーは、ユーザーが選んだ以外の残り2つから選択をします。

オフボールスクリーンの概念図③
(左) #3がカットを選択。(右) #4は#3の選んだ(赤)カット以外の2つ(青or緑)から選択。

大事なのは、あくまでカッティングを行っているんだという意識を忘れないことです。中高生の試合を見ていると、スクリナー側が「私はスクリーンをする役割だからそれだけやってればOK!」という空気を出しまくっている場面を見るのですが、それならDEF側は「2人でユーザーの動きに対応する」ことができてしまうので、ユーザーが有利になってくれません。

その考えに立つと「集合場所」の位置も、もう少し詳細に決まってきます。ゲームを観ていると、ダウンスクリーンのユーザーが最初のカッティングの時点でDEFより先行しようとしている場面をよく見ます。

不思議なダウンスクリーンの図①
ユーザーがDEFのライン(白点線)より高い位置でVカットをしている。

早くスクリーンにぶつけて、早くボールミートをしに行きたい気持ちはよく分かるのですが、これだとDEFは何もしなくても「ボール」「マーク」「スクリーン」を視野に収めることができるので、対応がしやすくなります。

不思議なダウンスクリーンの図②
x2の視界(緑)の中に#1, #2, #3の全てが入っている(左)ので、#3の動きに対応しやすい(右)。

なのでダウンスクリーンのユーザーは、まずDEFの視界から消える(消えようとする)のが鉄則です。それでDEFが動かなければパスを受けてシュート、視界を確保するために下がった時がスクリーンプレイのスタートです。

ダウンスクリーンの概念図①
#2はDEFの視界(緑)の外へとカットする。
(左) x2が反応しない(反応できない)時は#2がフリーになるチャンスが生まれる。
(右) x2が「ボールとマーク」を視界に入れるには下がるしかない。
ダウンスクリーンの概念図②
(左) x2は#2への対応で動いているために#3が視野に入りにくい。逆に#3は近い距離になってからのスクリーンなのでセット位置の調節がしやすい。
(右) x2が早めにオーバーで追うと、#3がゴール下でゴールを狙えるチャンスが生まれる。

なので理想的な「集合場所」は、スクリーナーが狙ったDEFの背中側、具体的にはスクリーナーの進行方向に伸びた直線と、ユーザーのカッティングコースとの交点ということになります。

ダウンスクリーンの概念図③
#3とx2を結んだ直線と#2のゴールカットのコースとの交点(赤丸)が理想的な「集合場所」。

最近のキーワードは「細かいこと」ですが、パターン化されたスクリーンはせっかくやっても相手は特に困らない上に、こちらは攻撃する選手が1人少ない状態になってしまいます。そのためにボールがうまく回らず、

(個々の力に差があるので)オフボールスクリーンを使って差を埋めたい相手ほど、スクリーンを使わなくなってしまう」

ということが起こりやすいです。

逆にちょっとした手間をかけてあげるだけ(まあ、それが難しいのですが)で、効果的に機能し始めるのがオフボールスクリーンです。たくさん練習で失敗して、感覚を掴んでいきましょう。





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