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魔法の靴は無いというお話

こんにちは。
こちら沖縄、天気によっては日中は半袖でいられる日もあるぐらいなのですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?

お仕事の合間にちょこちょこと記事を書いてたのですが、下書きが増えるばかりで前回から久しぶりの更新になっちゃいました。(言い訳おわり)

載せたい靴はいくつかあるのですが、今回はこれまでとは少し違った毛色の靴を紹介します。

↓Instagramからのセルフ引用

昨日お渡しした靴です。ちょっと不思議な構造になっています。

左は分割
それぞれこんな感じ



この方は左足の約4割、右足の趾の多くを糖尿病による壊死が原因で手術により切除されています。
長年、整体院を経営されていて、施術も毎日行われているそうです。
立ち時間の多い仕事ですが、いままで足にあった靴を見つけられる事ができずに、形の合わない市販の靴を履かれていました。
そうした中で足にかかる負担も大きく、はきものを含めた足の相談で来店されました。

糖尿病など血流に問題が起こりやすい疾患があると傷の治りも遅く、小さな傷がもとで壊死を起こしてしまう場合があります。

なので、新たな傷をつくらないという事がとても大事です。
左足は切除した部分が多い事から、インナーシューといって足にかかる負担を分散させるための構造を設けました。


手術で切除した部分を補って体重を支えられるように
インナーシューを挿入して履きます

右足に関しても、残っている趾や足に傷を作らないように足に合わせた形状のインソールを挿入しています。これも本人の足型をもとに形状を起こしています。


小趾以外を手術で切除されています

これは左右どちらにも言える事ですが、残っている足の機能(残存部位・関節の可動域など)と形状や皮膚の状態なども考慮して、複数の素材を使い分けながら作っています。

足にあたる部分すべてを柔らかく作られたものは、一見すると『足にやさしい』靴に見えますが、支えるべきところを支えていないと根本的な解決にはならない事が多くあります。例えるなら、分厚い靴下とぶかぶかの靴を履いたとしても状況が改善しないのは想像に難くないと思います。

支持すべきところ、除圧すべきところをよく考えた上での設計と製作が大事です。
都合よく問題を解決できる魔法というものはなく、魔法のように問題を解決する手段にはそれなりの理論に基づいた手法が用いられているというわけです。

つくる、という事には時間と手間がかかりますが、お困りごとの解決のお手伝いができるかもしれません。
そうありたいと思いながら、今回はこのあたりで。

両足

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