「在宅勤務」やってみた(弁護士編)

1 はじめに
 5月18日から事務所に「普通に」出るようになった。ネクタイを巻かなかったり、腕時計を巻かなかったりという最近始めた生活習慣はそのままだ。
 ただ、1か月弱の「在宅勤務」がどんな感じだったかは、記録として残しておこうかと思う。*なお「テレワーク」というのは照れくさいので「在宅勤務」と表記する。
 いわゆる「街弁」で、かつ様々な運動にかかわっているような自分には「在宅勤務なんてできる日は来ないだろうなあ」と思っていた。「事務所に出勤しないでテレビ会議で打ち合わせをする」なんて自分には無縁だと思っていた。そんな僕が「在宅勤務」をやってみた感想である。

2 思わぬスタート
 4月上旬、緊急事態宣言が出た場合の事務所の対応マニュアル作りに着手。ただ、このときは宮城に緊急事態宣言が出るのはまだ先のことだと考えていた。
 ところが、急遽、4月16日に全国に拡大することに。慌ててマニュアルを確定させる。当事務所は事務員が3人いるのだけれど、2人には自宅待機してもらって、交代で1人だけ出てもらうことにした(幸い、3人とも公共交通機関を使わずに出勤している)。
 さて、弁護士は、ということになった。
 かなり感染への危機感が高まっていて、事務所で打ち合わせをするつもりが無かったし(期日が飛んでいてその必要性も低くなっていた。)、通勤で感染する可能性も考えたりして、僕は4月20日から在宅勤務をメインにすることにした。

3 在宅勤務の仕組み
 在宅勤務は以下のような感じでやっていた。

・執務場所は自宅の「書斎」的なスペース。
・事務所とのやり取りはメール(事務所メーリングリストを急いで作った。)と電話。
・外部への電話は「050プラス」(OCNのサービスで、アプリから電話が架けられる)。
・打ち合わせはZOOMなど。

4 やってみての感想
 いろいろあるけれど、「仕事も生活の一部」ということを体で理解できたのが一番大きかった。
 ある日のスケジュールでいうと、

 1.長男に勉強を教える。
 2.打ち合わせ
 3.昼食
 4.起案
 5.自転車散歩
 6.起案
 7.洗濯物を取り込む
 8.夕食
 9.長男と風呂
 10.寝る

という感じ。生活と仕事が入れ子になっている。
 もともと僕は、かなり仕事に傾いた考え方をしている。下手をすると「仕事をうまくやるために生活をしている」ような。例えば、少しでも早く家を出て、少しでも食事の時間を短くして、寝る時間ギリギリまで仕事をして、というくらいに。
 それを変えようとしていたのが去年くらいから。
 そして、今回、在宅勤務という機会で生活と仕事の場所が一緒になってやってみて、「仕事も生活の一部」だと改めて感じた次第。
 たしかに、1日単位で見ると仕事時間が減っていたけれど、土日もGWも外出自粛で家族3人が家にいなければならず、生活の合間に仕事ができたので、それなりには仕事時間は確保できた。
 それから、家族との時間、特に長男との時間がたくさん取れたことはポジティブに考えている。以上のような生活ぶりだったので、平日にはなかなか長男と関わることができていなかった。
 今回の在宅勤務でそれこそ、朝から晩まで家族の顔を見る生活をしていた。昼ご飯を平日に3人で食べる、夕方に散歩に行く。そういう生活をする日が、子どもが小さくて僕も40代のうちに1か月だけでもできたことは、忘れないようにしたい。
 仕事面はというと、打ち合わせは「できなくもなかった」。幸い、依頼者の皆様にはご理解をいただいて、ZOOMなどでの打ち合わせに応じていただいた。資料も写真に撮ってメールで送っていただくなどしたので、最低限のものは見られた。そして、相談を受けていた事件類型が、これまでよく取り組んでいるものばかりだったことも良い方向に作用した。ただ、実際に事件にしていくための打ち合わせは、事務所で対面で行うことにはしている。

 書面は「まずまず書けた」。電話があまり来ない時期だったので、「書く」時間と決めれば書けた。資料は手元に無いけれど、それでも大枠を書くことはできた。

5 ふりかえり
 比較的良いことばかりを書いたように思う。ただ、もっと若手だったら、在宅で業務をする環境をうまく整えられたか、その上で仕事ができたかは分からない。
 そして、緊急事態宣言が解除されてから、事務所に出ている。なんとなく、「ピリッと」するのはこっちだなあとも感じる。弁護士らしくできるのはこっちのような気がするのだ。まあ、10年やっている仕事なのだから、すぐに体質は変わらないのだろう。
 とにかく、これからは事務所内の感染予防を固めて、少しでも多くの事件を進めなければならない。
 また、秋から冬に予想される第2波・第3波での在宅勤務にどう対応するか、今回の経験から更に準備をブラッシュアップしなければと考えている。

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