就職氷河期世代だった

ある事件の被害者が「40代、50代を対象にしたディスコイベント」に参加していたというニュースを見て妻が「ディスコ、私たちの世代じゃないよね。あの頃はどんどん採用が減って就職するのも大変な時期で」と言っていた。
そう、僕らの世代はディスコに行ってないし、なにより就職氷河期世代だった。

思い出すと、僕は就職氷河期世代真っ只中。司法試験も受けようかな、なんて勉強も進んでいないのに考えていたけど、父親が急に病気で大学病院に入院した。親に頼ってはいられなくなったんで3年の半ばから就職活動らしきことを始めたんだけど腰が入らない。なんとなくマスコミを受けようかなと考えて東京まで行ってマスコミ就職セミナーみたいなのに出てみたり、ふわふわしていた。
それでも年を越すといわゆる「就活」が始まって、でも新聞やテレビの採用試験の前に、銀行とか保険会社とかの採用試験が始まるんで受け始めた。そんなゆるい感じだから落ちる。地元の銀行に落とされたときは「この黒縁眼鏡が悪いんかな」と思ったりしたんだけど、それでも最終近くまで行けた保険会社があって、でも東京まで面接に行ったら圧迫面接で。反骨心みたいなものはそれなりにあるので、それで一気に行く気が失せてしまった。
東京からの帰りの新幹線、暗い気持ちでいたら、新白河のあたりでトンネルを抜けて東北に入ると、それまでの関東平野の曇り空がぱっと晴れた。「これは東北に戻れということだな」と勝手に解釈して、父のこともあるし山形に戻って就職しようと考え始めた。
でも、山形の会社といっても、どこも企業研究とかしてないしな、と思っていたら山形県庁の募集がまだ続いていたので受けた。法律はともかく、経済は全く勉強してないから、浪人だろうと思っていたんだけど、なぜか採用してもらったという感じ(それでも3年で辞めて、法科大学院に進んだんだから、申し訳ない感じ)。

どこかでこけてたら、例えばどこの企業も採ってくれなくて、山形県庁に落ちてたら、どうなっていたんだろう。たまたま運は良かったけれど、いい時代じゃあなかったね。

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