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仮面ライダーのゲームをつくった時の話③【完結】

最後は「ファンだからこそ、ファン目線は辞める」について。


これまでの内容もそうですが、色々とまとめてたら今回の内容がゲームクリエイターとしてはもっとも大切な点かなと思いました。


【これまでの記事はこちら】


ファン目線はなぜダメなのか?

「ファンだからこそ、ファン目線は辞める」というのはゲーム開発に限った話ではないと思いますが、好きものを追いかけているのはいいが、ゲームクリエイターが「好きなだけ」では全くダメだと、ハッキリ言わせてもらいます。

仮面ライダーのゲームを開発する上で、原作を知り、あらゆる視点から追いかけて「ホンモノであること」を目指してきましたが、それだけではゲームをリリースできていなかったでしょう。

ではなぜ「好きなだけ」ではいけないのか?というと、

ファン目線で作ると、ゲームではなくなります。


ゲームではなくなる時

「ファン目線」と言うのは、好きな人の立場からしか見ていない視点のことで、好きなものに寄ってしまうと、どうしても「これがとても良いからゲームもこうしよう!」と、作品の魅力を100%そのままゲームにも当てはめようとしてしまいます。


変身が一番盛り上がるからTVと同じ演出とエフェクトに仕上げよう!

必殺技はあの動きと演出!


もちろん、そうした方がファンから見た時に「原作再現をきっちりしているし、よく調べているな!」とポジティブな意見をもらうことになります。

ただ、大前提としてこれはゲームを遊んでいる上での話です。


好きなものに忠実になりすぎると、自分がつくっているものが「ゲーム」としての遊びの体験、ルールの公平性、難易度の調整などゲームに必要な要素を崩壊させていることに気づかなくなります。(いわゆるクソゲー化してしまう)

キャラクターIPのゲームは目的として「キャラクターの魅力を味わう」ことがまず第一に挙がると思います。
そのため、魅力を損なわないように気を付けますが、同時にゲームとしてのおもしろさが完成されていなければなりません。

つまり

〇 好きなもの→ゲームという遊びに昇華する

× 好きなもの→好きなものをそのまま持ってくる

といった、きちんとキャラクターをアレンジする能力がキャラクターIPゲームにはかなり求められると思います。

仮面ライダーの場合、既に色々なゲームがありますが、中でも「これはライダーの良さもすごく伝わるし、ゲームとしてもおもしろいな」というものは、個人的にかなり少ないと思っています。
(子ども向けを考慮してもあまりに簡単すぎる、仮面ライダーの会話や技がきちんと研究されていなく違和感を覚えるなどなど)

自分の開発したゲームの場合は、「仮面ライダーの変身」部分をテーマにゲームのすべてを構成していましたので、実際の操作感やルール、キャラクターの見せ方もすべて「変身」を損なわないように気を配りつつ、ゲームとしてもきちんと遊べるように仕上げました。

ファン目線をやめて、キャラクターの魅力をゲームにアレンジする能力と言いましたが、「ゲームを遊ぶ人を楽しませるよう、キャラクターもゲームもばっちりか?」ということにもなるかと思います。(とはいえ明確に方法論や答えはあるかというと難しいです)


おわり

以上で「仮面ライダーのゲームをつくった時の話」は終わりとなります。

まとめながら「あの時あんなことがあったな」と色々とまた思い出して来たので、機をみて違った視点での話をまとめたいと思います。

今回の話に興味を持ち、長々とお付き合いいただきありがとうございました。

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