ロボットスタートアップ創業からEXITまで

2019年6月に創業したロボットスタートアップをMAによりEXITしました。ロボットスタートアップというのは夢がありますので注目されますがEXITまで行った例は2023年7月現在ではまだ希少だと思いますので(今後はもっと増えてくると思いますが)何か書いてみようと思います。この記事を読んでいる人の今後に少しでも役に立てば幸いです。


ロボットスタートアップ

スタートアップとは

スタートアップとはというのは起業家界隈の人には釈迦に説法でしょう。ベンチャーとスタートアップの違いが分からない人は、以下の記事がわかりやすいので読んで見てください。

ロボットスタートアップとは

ロボットスタートアップはロボット技術を使ったスタートアップですが、そのような単語はこの世に存在しない気がするので私の造語かもしれません。
ロボットベンチャーという単語はわりと聞きます。ロボット関係の人はスタートアップかベンチャーかはあまり気にしない傾向が強いかもしれません。

以下の記事が取り上げている会社はベンチャーではなくちゃんとスタートアップを選択している気がします。(弊社はもちろん選んでもらえませんでした😅)
弊社のようにここに載せてもらえなかったロボットスタートアップもいっぱいありますので、資金調達に成功しているロボットスタートアップ自体は結構る気がします。

ロボットスタートアップのEXIT

ロボットスタートアップのEXITの事例はまだかなり少ないと思います。私の認識上では以下の例くらいに思えます。ここで上げているMAの例は、MA先が比較的大企業だからニュースになったから知っているだけかもしれません。わずか1年でGoogleに買収されたSCHAFTが異彩を放ってますね。

  • SCHAFT (2012年創業) → MA(Google) (2013)

  • サイバーダイン (2004年創業) → 上場 (2014)

  • ライフロボティクス (2007年創業) → MA(ファナック) (2018)

  • GROOVE X (2015年創業) → MA(前澤ファンド)(2022)

  • Kyoto Robotics (2000年創業) → MA(日立) (2023)

  • スマイルロボティクス (2019年創業) → MA(アイリス) (2023) NEW!

起業からEXITまで1年〜23年と様々ですね。

人によっては他にもロボットスタートアップと分類する会社もあると思います。ここは見解が分かれるところだと思いますが、今回は私の例をあえて希少なものであるという演出もしたいので除外します。一応多少私が関心があるロボット関連会社でEXITしたものとして以下を挙げておきます。

  • kudan (SLAM技術) (2014年創業) → 上場(2018)

  • エクサウィザーズ (AI) (2016年創業) → 上場 (2021)

  • ACSL (ドローン) (2013年創業) → 上場 (2018年)

  • DFA Robotics (ロボットSI) (2017年創業) → MA (チェンジ) (2022)

こちらは創業から5年くらいでEXITしていますね。

他にも色々あると思うのでコメント等でソース記事付きで教えていただけると助かりますが、AI・ドローン・SI系は興味ないのでそちらは連絡不要です。(スマートロボティクスあたりはイグジットなのかよく分かりませんでした。)

スマイルロボティクス

スマイルロボティクスとは

スマイルロボティクスは私が2019年に創業したロボットスタートアップです。私は2019年3月でGoogleを退職し、2019年4月に始まった東大卒業生向けのアクセラレーターであるFoundXのFoundersプログラムの第一期として開始しました。

創業時はラーメン屋向けロボットやカフェロボットなど、飲食店向けのアーム付きロボットの開発を検討していました。

2019年4月ごろの構想

その後、飲食店にインタビューを繰り返し、配膳はロボットには向かない、下膳こそがロボットがやるべきことだと判断し、仲間を集め、2019年12月にはシードの調達も行いました。

この調達直後にCOOの砂塚裕之と合流しました。

スマイルロボティクスのロボットの歴史

みなさん興味ないと思いますが、ここで弊社のロボットの歴史を紹介させてください。

我々のロボットはアルファベット順でプロトタイプで作っており、最初のものがType-A (デスクトップアーム:起業前)。2019年ごろです。DOBOTという市販のアームを自宅の食卓に設置して検証していました。

Type-Bは移動マニピュレータ。2019年ごろです。TVにも取材されました。「トレたま」など。実験場所がFoundXになっていますね。

Type-CはCを取ってACUR-Cと命名 (コードネームはChitose)。2020年ごろ。こちらは実験場所はファミレス、じゃなくて投資元のDEEPCOREの施設KERNEL春日(現在は閉鎖?)です。

Type-D (コードネームはDazaifu) は非公開ですが、Type-Cの改良版が実は存在していました (2021年ごろ)。この時点でアーム方式から棚合体方式に移行を決断。

Type-E (コードネーム Enoshima) はEを取って、Shelf-Eと名付けて公開しました。最近話題の(?)kachakaと似たコンセプトでしたが、toBで展開を考えていました。
ターゲットも飲食店からコンビニ・小売店・商業施設へとシフトしていました。(2022年ごろ)

Type-FはEの改良版(コードネーム Fuji)、Type-Gは超廉価版の移動ロボット開発プラットフォームでお蔵入り(コードネーム Gion)。
Type-Hは最近プラットフォームとして販売開始、Type-Hは自社開発ロボットとして販売実績があります。買っていただいた方々本当にありがとうございます。(コードネーム Haruna) (2023年)

Type-H Haruna

以上8種類のロボットを5年間で開発し、様々な業界の方々と協業の道を探っていました。
ロボットの進化(退化?)の過程を見ていただくと我々のビジネス的な模索の歴史がなんとなく見えるのではないでしょうか。実証実験も公開・非公開合わせていくつも行ってきました。

スマイルロボティクスのビジネス探索の歴史

我々は2019年創業ですので他に漏れずCovid-19の影響を強く受けたスタートアップとなりました。実証実験を契約していた飲食店が実証前に閉店したり、オフィスが閉鎖されてロボット開発が停止したり。その中でターゲットやロボットの形態を変えて、徐々に現実的なロボットにターゲットを移し、超絶な紆余曲折を経た後、最終的な戦略は「中国産のロボットがひしめく領域とガチンコで戦うのだ!」となっていました。ただし、この領域でスタートアップとして戦うのは容易ではないと思い、量産が得意なパートナーを探していました。
多くの日本のメーカーと話をしましたが、「中国に対抗出来るコストで作るのは無理だ」という意見が多数で半ばあきらめていたところでした。

そんな中で出会ったのがアイリスオーヤマでした。アイリスオーヤマは2021年にアイリスロボティクスという会社をソフトバンクロボティクスと作っていました。100億円の投資をしていたこともあり、存在自体は私も知っていましたが、当時の私の印象としてはアイリスは販売のみの代理店・SIerのように見えていました。

しかし水面下でロボットの内製を検討していることが分かり、そこでパートナーシップが結ばれました。まさに私達が探していたところにたどり着きました。

スマイルロボティクスのEXIT

企画も得意なアイリスオーヤマと組むということになりましたので、せっかくなので企画からお任せして、我々は技術にフォーカスする選択をすることにしました。このような経緯により、2023年7月にアイリスオーヤマのグループ会社になることになりました。

スマイルロボティクスの今後

スマイルロボティクス株式会社は2023年7月31日を持って株式会社シンクロボという名前に変え、アイリスオーヤマと一体になってロボット開発を行います(やることはあまり変わっていません)。アイリスオーヤマは(多分)日本でもっともと言っていいほど多くサービスロボットを売っている会社です。それは我々が作るロボットやソフトウェアが日本で最も普及する技術になるということを意味します。私個人的には世界も狙っていますので、世界で一番使われているロボットOSを自分たちの手で作ることが現実的になりました。
むちゃくちゃ興奮して仕事しています!

We are hiring

弊社の魅力

ということで本題ですが、以下のような人には他社にはない唯一絶対の価値を提供出来ると思います。

  • 世界で最も使われるロボットを作りたい人・使ってもらいたい人・世界を変えたい人

  • 中国を中心とする海外のサービスロボットが日本でどんどん広まっている事実に我慢ならない人

  • 日本でも数人しかいないロボットスタートアップをEXITまで持っていった創業者かつ元Google、元トヨタ自動車の技術者・経営者である私と一緒に働いてみたい方

我々にとってこれまではサービスロボットの本格量産なんて絵空事でしたが、今はこれは現実になり、そのために必死に実現しようとしています。とにかく人が足りないので助けてください!

技術的な特徴

現在主にソフトウェアエンジニアを募集しています。ただ、少しでも興味持ってくださったら気軽に声かけてください!

弊社の技術的な特徴としては以下のようなものがあります。ロボットについては詳しくなくても興味とやる気があれば私が教えるのでやっていけると思います。

  • Rustという言語をメイン言語として利用している

  • OSSの積極利用と積極貢献

  • Google仕込のロボットスタートアップらしからぬしっかりしたソフトウェア開発体制

  • 社内ハードウェアエンジニアからの厚い支援

連絡先

1mmでも興味持って頂いた方はぜひTwitterの @OTL までDMいただけると助かります。Twitterしてない人はスマイルロボティクスのフォームから連絡ください。私は情熱に弱いので、経歴・技術に自信ない人は情熱で勝負すれば道は開かれるかもしれないので是非熱いメッセージとやり取りをお待ちしております。

日本最強のロボット会社となった我々が世界を取るぞ!!!

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