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#3 兎田ぺこらと博衣こより


はじめに

本稿を読まれている方は、筆者が兎田ぺこら単推しの野うさぎであることはご承知のことだろう。
ここ数年にわたりぺこらの女性ストリーマー視聴時間ランキング世界一への挑戦を追いかけてきたのだが、その中でちらちらと視界に入ってくる名前があった。
それが「博衣こより」である。
推しにするには至っていないものの、とてつもない配信時間を記録して話題になり、デビュー二年目にして世界三位を獲得したこよりに少なからず興味を持った。
そこで、ぺこらとこよりの統計資料を比較しながら、こよりの配信の特徴を少しだけ分析してみることにした。
とはいえ、筆者は高度な考察をするような能力は持ち合わせていないので、
本稿は単なる暇つぶし程度のお楽しみとして気楽に読み流していただければ幸いである。

用語の意味

配信時間

文字通りライブ配信開始からライブ配信終了までの時間である。
この時間をもとに視聴時間が計算される。

最大視聴者数(最大同時接続者数)

ある配信を見ている視聴者数というのは時々刻々と変化するが、視聴者数が最も多かった時点の値が最大視聴者数(最大同時接続者数)である。
その配信の人気度を表す指標としてランキングなどに用いられる。

平均視聴者数(平均同時接続者数)

ある配信の視聴者数の平均値が平均視聴者数(平均同時接続者数)である。
この平均視聴者数をもとに視聴時間が計算される。

視聴時間

視聴時間=平均視聴者数(平均同時接続者数)×配信時間

兎田ぺこらについて

2023年のぺこらの目標は、女性ストリーマー視聴時間世界1位を取ることであった。
2023年は卯年ということもあり、ぺこらは「全人類兎化計画」という通年のプロモーション企画の主役として抜擢され、様々な企画の主催やイベントへの出演を経て、年末には初のソロライブを成功させるなど獅子奮迅の働きであったが、そういった多忙なスケジュールの中でも配信を欠かすことなく、世界1位という自身の夢を見事掴み取ったのだった。
年が明けて2024年、ぺこらは今年は好きなように配信すると宣言し、一時は体調を崩して休みがちであったものの、回復後は何かから解き放たれたかのようにやりたかったゲームにのめり込み、長時間配信の連打を続けるなど、まさにやりたいようにやりたいことをやれている感がある。

博衣こよりについて

こよりは、2023年12月のぺこらのソロライブ同時視聴配信において、ぺこらが憧れであり目標であることを明かし、次のように語った。
・ぺこらがこよりの夢に一番近いことをしている
・ぺこらの活動への姿勢やスタイルがこよりの目指す先
・やりたいことが全て一緒ではないのでこより自身のスタイルでやる
・この先もスタイルを変えずにがんばっていきたい
・ソロライブをやることが目標
・音楽のイメージが無くてもソロライブできるとぺこらに勇気をもらった
・ソロライブをやっても文句を言われないくらいの存在になりたい
・VTuberを一般化したいという夢がある

VTuberを一般化したいという大きな夢が、こよりの無尽蔵とも思えるようなバイタリティの源泉なのだろう。
視聴時間世界一は狙っていないと言っているが、数字を意識して特別なことをするのではなく、自分のスタイルで自分のやりたいことをやるという意識なのかもしれないと感じた。
2024年は少し自分にプライベートな時間を作ってやりたいと語っているのを聞いたが、蓋を開けてみればぺこらと同様、昨年にも増して配信三昧の毎日を過ごしているようだ。

2023年の二人

世界1位と世界3位

Streams Charts 発表の2023年女性ストリーマー視聴時間ランキングによるとぺこらは世界1位、こよりは世界3位であった。
ぺこらが三年越しのチャレンジの末に世界1位を掴み取ったことは、とてつもない快挙であるが、同時に当時デビュー二年目で平均視聴者数もぺこらの1/3しかないこよりが世界3位にランクインしたのもおよそ画期的なことだと思う。
こよりは一体どうやってこのような数字をたたき出したのか。
まずは世界一を取ったぺこらの戦略について分析し、次にぺこらとこよりの統計情報を比較することで、こよりの特徴について考えてみたい。

Most Watched Female Streamers 01 Jan - 31 Dec, 2023 Streams Charts

兎田ぺこらの戦略

ぺこらの基本的なコンセプトは自分も楽しむということ。
自分が楽しくなければその気分は視聴者にも伝わってしまう。
だからいつ見てもぺこらの配信は楽しそうだし、元気をもらえるのだ。
ただ、それ以外何の方策もなしに世界一を取ったわけではない。
2023年のぺこらは、視聴者がリアルタイムで視聴しやすいような環境を整備することによって、視聴時間を積み上げるための工夫を凝らしていた。

1.開始時間の工夫
視聴者が予定を立てやすくすることで視聴者を増加させることを目論んで、配信開始時間を可能な限りゴールデンタイムの21時固定とした。(以前は、3期生で配信開始時間をずらすシステムがあったこともあり、もともとぺこらは21時配信開始が多かった)
現実には諸事情があり21時開始は50%、20時~22時なら80%といったところであったが、視聴者が視聴し易い時間帯に開始時間を固定することで視聴者がリアルタイムで視聴しやすいようにし、視聴時間を増やそうとした。

2.配信時間の工夫
視聴者が次の日の予定を気にして離脱しないよう配信時間を抑制し、できるかぎり日をまたがないようにした。
ぺこらの2023年の配信時間は平均3時間。
つまり21時に開始して24時には配信を終了、サラリーマンも学生もしっかり睡眠をとって翌日を迎えられるというわけだ。
前年に喉を痛めてしまったこともあり、コンスタントに配信を続けるために配信時間の抑制によって喉の負担を軽減するという意味もあった。

3.配信内容の工夫
視聴者が飽きないよう間に別のゲームを挟んで、同じゲームの連打をできるだけ回避するようにした。
また、最新のゲームや流行のゲームはできるだけ早い段階で配信しており、手垢が着く前の鮮度の高いコンテンツを提供することによって、視聴意欲を喚起し集客を図った。
常にゲームの情報を集めて申請したり、その日の配信を何にするか悩んだりと相当な苦労があったようで、後日の配信において、同一のゲームの連打を避けるため間に挟む配信のことを「エロ本を別の本で挟んで買うかのような義務配信」と毒づいている。

このように、2023年のぺこらは「リスナーファースト」のコンセプトのもとリアルタイムで視聴し易い環境を整えて、視聴者が集まりやすく散りにくい工夫を凝らし、多忙な中でも喉を労わりながら継続的に安定した配信を提供することによって視聴時間を積み上げ、世界一を勝ち取ったのだ。

博衣こよりの特徴

2023年スタッツ比較

1.配信回数がとにかく多い
こよりの年間自枠数は581とぺこらの1.7倍の回数配信している。
ぺこらも毎日のように配信しているため、決して配信回数が少ないとは言えないから、こよりの配信回数がとんでもなく多いということになる。
特に目立つのは平日の二回行動。
夕方6時ごろから一回、ゴールデンタイムにもう一回といった配信の仕方が多いように思われる。
これは一回の配信で長くやるより、二回に分けて間を開けて比較的短時間の配信をやった方がリスナーフレンドリーであるためではないかと推測する。
比較的短時間であれば、リアルタイムで視聴できなくてもアーカイブを追いやすいし、間を開けて二回であれば間に食事入浴などの生活の時間が取れるからだ。
たくさん配信したいが、視聴者の都合も考慮することによって、できるだけたくさん見てもらえるようにする、そういった工夫があるように感じた。

2.配信時間が突出している
2023年、ぺこらの総視聴時間は約3千万時間、こよりは約2千万時間だった。(データはVSTATSから収集しているのでStreams Chartsが発表している数値とは一致しない。)
この視聴時間の算出ベースである配信時間と平均視聴者数を比較してみると、こよりの特徴が浮き彫りになってくる。

ぺこら:(配信時間)1,031時間×(平均視聴者数)30,409人
こより:(配信時間)2,060時間×(平均視聴者数)11,282人

ぺこらの場合は、平均視聴者数が約3万人と非常に高い。
ぺこらの視聴時間は、この圧倒的な火力によって支えられているといっても過言ではないだろう。
一方こよりはというと、何と配信時間がぺこらの倍である。
配信以外の仕事による肉体的精神的疲労や喉への負担など様々な要素を考慮すると、この配信時間は驚異的と言える。
平均視聴者数は約1万1千人で、ぺこらがあまりに凄すぎるので少ないように感じてしまうが、VTuberとしては上位クラスの数字である。
こよりの知名度はこれからも上がり続けると予想され、平均視聴者数もどんどん伸びていくのではないかと思われる。
また、こよりの配信時間がぺこらの倍だといっても、それは年間合計の話で、一回当たりの配信時間が長いというわけではない。
平均配信時間を見てみると、こより3.5時間、ぺこらは3時間とあまり差異はないのだ。
ということは、こよりの戦略の要は配信回数にあるということなのかもしれない。
YouTubeを開くといつもこよりが配信している、VTuberが特別な存在でなく当たり前な存在である世界。
VTuberを一般化したいという夢に向かっての実践、それがこよりの配信回数に現れているのかもしれないと思った。

3.公式番組への出演やコラボへの出演が多い
これは統計を取ったわけではなく視聴者としての主観的な印象だが、本人も語っていた通り、運営にMCとしての才能を認められたのか、公式番組MCとして抜擢される機会が多くなったように感じる。
MCではなくとも公式番組に顔を出したり、キャンペーンに起用されたりとホロライブの顔の一つになりつつある印象だ。
また、さまざまなコラボにもよく参加している姿を見るし、箱内外を問わず自らコラボ配信を企画していることも見かける。
そういった社交的で陽性なイメージが、今後配信でも視聴時間をもっと伸ばしていくことにつながるだろうと予感させる。

4.最新のゲームや話題のゲームへの対応が早い
配信回数が多いということは、たくさんのゲームをやることができるということにもつながるわけだが、最新のゲームや話題のゲームをいち早くプレーする姿が目立った。
おそらくこれはぺこらのよいところを見習って実践したということなのだろうと思う。
フットワークが軽く、流行に敏感なのもこよりの大きな特徴の一つだ。

2024年の二人

2024年第1四半期スタッツ比較

2024年は、二人とも昨年よりは力を抜いて配信していくというコンセプトを語っていたが、第1四半期は外野から見ている限り二人ともやりたいように配信できているように見える。
今期このまま進捗すれば、二人で世界1位と2位を独占してしまう勢いだ。(さくらみこ、大空スバルも視聴時間を伸ばしているのでホロライブが世界上位を独占する可能性すらある。)

ぺこらの場合

世界1位というプレッシャーから解放されたぺこらは昨年の戦略を捨てて、やりたいゲームの長時間配信を連打、26時~27時の深夜に渡る配信も辞さずという姿勢で配信を続けている。
配信時間も前期に比べて長くなっており、第1四半期で既に昨年の1/3の視聴時間を積み上げている状況だ。
推しが活き活きと配信を楽しんでいる姿を見るのは実にいいものである。
今後も喉を壊すことなく自由に楽しんで欲しいものだ。

こよりの場合

こよりの方は、たくさんの回数配信するというコンセプトに変化はないようで、第1四半期でもぺこらの約2倍の回数の配信を行っている。
平均配信時間もぺこら同様長くなっており、休日の長時間二回行動に加えて平日の長時間配信も増加傾向にあるように見受けられる。
予想通り平均視聴者数は昨年より増加傾向にあり、こよりも四半期で昨年の1/3に近い視聴時間を獲得している。
これからもこよりのファンは増え続け、近い将来、ぺこらに遜色のない視聴時間を得られるようになるだろう。
こよりもまた健康で大きな夢の実現に向けて充実した日々を過ごして欲しいものだ。
なお、こよりはソロライブを行うという夢を部分的ではあるが実現させた。
この実績はリアル会場でのソロライブに必ずつながることだろう。

まとめ

結局のところぺこらとこよりを礼賛するだけのとりとめのない文章になってしまったが、いずれにしろ二人とも健康で楽しく配信を続け、我々視聴者に楽しい時間を提供していただければありがたいと思う。
VTuberとそれを取り巻く文化が発展し普遍化し、VTuberが当たり前の存在として受け入れられる社会、VTuberが独立した人格を持った存在として敬意を払われる時代が一日も早く実現することを願う。