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しおん✖️あん【ヴァンパイアパーティー】

【しおん】ヴァンパイアの始祖・ブラッドリー・アスター卿。普段は海外から日本の病院に赴任して来た人間の医師として過ごしてる。

【あん】つい先日、最愛の夫と死に別れた、美しい薄幸の未亡人。病気の飼い猫くみを探してる。

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あん「くみ〜、どこ?どこにいるの?出ておいで〜」

あん「はあ、元々外への逃走癖のある猫だったけど、あんな弱ってる時なのに、私が目を離した隙に、どこかに行ってしまうなんて…」

あん(つい先日、私の最愛の夫が病気で亡くなった…。同時期に子猫の頃から大事に育ててきた、飼い猫のくみも、病気になり、日に日に弱っていった…。)

あん「くみ〜出てきて。あなたまで居なくなってしまったら、私はひとりぼっちになってしまうわ。
……あなた…くみ…!お願い!私をひとりにしないで!!」

アスター「ひとりではありませんよ。奥さん」

あん「え!」

アスター「こんばんは、先日はどうも」

あん「あ、たしか病院にいらした、海外から赴任してきたというお医者さま?」

アスター「アスターと言います。奥さん、この度は…あなたのご主人が我が病院でお亡くなりになられたと聴いてます。私の担当ではなかったとはいえ、お悔やみを申し上げます」

あん「はい…。ぐすっ、すみませんまた涙が💦」

アスター「このハンカチをどうぞ。奥さん、美しいあなたに涙は似合わない」

あん「ありがとうございます。
…お葬式も終わって、今はもうお墓にも入っているのにね。
私は未だに何かをしたら、それこそ私の命と引き換えにしたら、主人が生きかえってくれるんじゃないかって、考えてしまいます」

アスター「奥さん、あなたはまだ若い。これから生きてれば、新しいパートナーとの出会いもありえますよ」

あん「いえ、どんな人を選んでも先に死なれてしまうかもしれない。見送るのは、もう嫌。ひとりになるのは、私寂しすぎて耐えられないです」

アスター「…我が輩はあなたをひとりにはしない」

あん「え?」

あん(そういう先生は熱のこもった鋭い眼光で私をみつめながら、私を抱き寄せてきた。赤く底光りする綺麗な瞳に私は釘付けになった)

アスター「我が輩はブラッドリー・アスター卿。ヴァンパイアの始祖である。美しいあなたを我が輩は永遠に愛し、決してあなたをひとりにはしない」

あん「そんな…っ私は…そうだ猫、猫を探していただけで、そんな告白をされても、困ります」

アスター「我が輩はずっとあなたをみていた…。病院で愛する夫を甲斐甲斐しく看病していたあなたも、
夫が亡くなって悲しみにくれるあなたも、
病気の飼い猫を心配して憂い顔になるあなたも、
先程途方にくれてひとり涙ぐむあなたも。
実に美しく、家族への絶えない愛情を感じる…。
その愛の温かさに我が輩は触れたい。
触れて、愛でて、永遠に我が物にしたい…!」

あん「アスターさん、私は…」

アスター「これは我が輩のわがままだ。美しいく温かい愛のあるあなたに触れていたい。何百年生きてきたというのに、あなたの魅力に抗えぬ」

あん(ヴァンパイアのアスターは、私を深く抱きしめると、切実に求めるように私の首筋へとその熱い唇を近づける)

アスター(ちゅ れろ)

あん「ひゃっ!」

アスター「お赦しを、愛しい方よ」

アスター(んあ ガブリ)

あん「あっあっ…!?…つっ!!ふ」

アスター「…はあ、なんて甘美な血の味だ。愛しい方、あなたを永遠に我が物に。
決してあなたをひとりにはしない。
あなたの愛にどうか触れさせていてほしい…」

あん「はぁはぁ、あなたは…」

アスター「ん?」

あん「ひとりで寂しかったの?こんなことしなくても、私は側に居てあげたわ…だって、私も…ひとりで寂しかったもの…」

アスター「…!?……っ!ふっうっ!なんだ?この涙は?
よもや、我が輩の涙なんてもう枯れ果てたと思っていたのに!
あなたは本当、なんて温かいんだ…!!」


END









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