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「秘すれば赤き、花が咲く」①

〜そこは薔薇の園、代わる代わる訪れる、美女たちとの出会い〜
「秘すれば赤き、花が咲く」

資産家の両親の事故から1年が経つ…。
病弱で屋敷から出ない19歳の青年・藤綱 誠は日がな1日、庭の薔薇を眺めて過ごしていた。

立派な薔薇庭園を一般開放した所、女のお客がちらほら来るようになった。
優しく自然な美しさのマーコ。
セクシーで毒花のような直(なお)。
小柄で小悪魔みたいな、くるみ。
気品のある謎のお嬢様・桜子。

閉じていたつぼみが開き始める…。

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【藤綱 誠(ふじつなまこと)】
引きこもりの資産家の坊ちゃん。19歳。コミュ障で根暗、謙虚で優しい美青年。1年前、父と義母を事故で亡くしてる。

【マーコ】
いつもエプロンつけてるふわふわのボブヘアのマーコさん。19歳。フラワーデザイナー。お花をアレンジして飾りつけるのがお仕事。いわゆる花屋さん。

【直(なお)】
茶髪のストレートヘアのボディコンを着てる直さん。25歳。意外だが作業療法士。(キャバ嬢じゃないんだ…)リハビリを根気よく、優しく手伝うお仕事。わがままだけど、面倒見がいい。

【くるみ】中学3年生。15歳。漫画アニメオタク。悪魔のキャラが好き。いつも黒ワンピース。稀に嬉しいことがあるとピンクのワンピースを着る。
気まぐれな小悪魔ちゃん。

【桜子(さくらこ)】謎の女性。20歳くらいに見える、36歳に見えない美しいお嬢様。世間知らず。小銭の計算が致命的に出来ない。

【薔子(しょうこ)】
誠の先生にして、初恋の人。そして父の再婚相手。事故死して、もうこの世にはいない…はず。

【庭師】
元さん。勝ち気で元気な職人。

【家政婦】
ミーハーなお手伝いさん。誠坊ちゃんにお嫁さんが来てほしい。

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〜プロローグ〜

【薔子】
《誠くん…。誠くん…。こっちへ来て》

【藤綱 誠】
「先生…!?薔子先生…!!待って、待って!!!!」

【薔子】
《ふふふふふ……》(だんだんと消える声)

【藤綱 誠】
「あっ……また…。また居なくなった…。グスっ…
ごめんなさい薔子さん…ごめんなさい」

【藤綱 誠】
(好きだった赤い薔薇の庭に、薔子先生が立ってるんです…。
慌てて庭に出るんですが、そこには誰もいないんです。
そう…義母の薔子さんはこの世にはもういません。
ボクはその幽霊を毎日見るんです…)

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〜プロローグ②〜

【庭師】
「坊ちゃんは日がな1日庭の薔薇を見て過ごしてるだけ…。
若いのにいいのかねー」

【家政婦】
「あんな事故があってからまだ1年だもの!仕方ないじゃない」

【庭師】
「旦那様と後妻が亡くなったあの事故…か…。
あれ以来、藤綱家の莫大な資産は叔父が管理することになって、
坊ちゃんは働かなくても暮らしていけるけど…。
問題は、このままだと坊ちゃん一歩も外に出なくなって…」

【家政婦】
「そうね!!お嫁さんが出来ないわ!!!」

【庭師】
「…って、そこかよ!!!」

【家政婦】
「あらそうよ!こうしたら?
…元さん、あなたの薔薇園は素晴らしいわ!!!」

【庭師】
「なんだよ急に!?」

【家政婦】
「だから、ここを!一般公開すればいいじゃない!」

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〜直エピソード①〜

【直】
「ねえ、あんた金持ち?」

【藤綱 誠】
「ん?違いますよ?」

【直】
「ここ成城!高級住宅!更に公園並みに広い庭付きバラの園!さらに一般公開?どんだけボンボンよ!?
私がアパートの1ldk暮らしで我慢してるのに、何この格差!!」

【藤綱 誠】
「え、別に…?あ、もしかしてあなた貧乏?」

【直】
「ちが〜う!!」

【藤綱 誠】
「なら、ここの入園料50円にします」

【直】
「ちょっと、私だって働いて稼いでんのよ。作業療法士なめないでよね」

【藤綱 誠】
「え。その、キャバ嬢じゃないんですか!?
だって派手だし、セクシーなボディコン来てるし」

【直】
「違うっての。私はメンタル治りかけてる人が社会復帰出来るようにリハビリするのが仕事の病院勤務の立派な作業療法士!
…ところであんた、引きこもりでしょ!」

【藤綱 誠】
「え、ぎく💦ま、まあ、引きこもりって言葉がぐさぐさ刺さります。言わないでください(泣)」

【直】
「なら引きこもりを脱却しなさいな!決めたわ!私の仕事テクであんたを真っ当に変えちゃる!」

【藤綱 誠】
「えー!?💦」

【直】
「あん?」

【藤綱 誠】
「あっ…えーとえーと、…お、お願いいたします💦」

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〜マーコエピソード①〜

【マーコ】
「はあ…。はい、入園料50円です……」

【藤綱 誠】
「ん?マーコさん、どうしましたか?元気ないですね」

【マーコ】
「なんでもないです」

【藤綱 誠】
「でも…」

【マーコ】
「私はお花を見に来たんです。泣き事言いに来たわけじゃありません」

【藤綱 誠】
「そうか…分かりました。どうぞお入りください」

【マーコ】
「ん〜〜っ、ああ、いい香り。
…あの、誠くん…さっき当たってすみません」

【藤綱 誠】
「いえ、 嫌なことは吹き飛びましたか?」

【マーコ】
「…はい。
…高校行きながらお花屋さんで3年修行して、 この間初めて結婚式の花のお仕事が来たんです。
一生懸命頑張ったんですけど…、
『式の途中で花がダメになったよ』って言われて、調べたら打ち合わせと照明の位置が違くて、お花さんが熱で萎れちゃってたんです。
運営の人に聞いたら、『それはあんたの失敗だよ。俺に押し付けるなよ。もうあんたのところには頼まん』 って…」

【藤綱 誠】
「…そうだったんですね」

【マーコ】
「お花の香りって心を満たしてくれますよね」

【藤綱 誠】
「そうですね」

【マーコ】
「聞いてくれてありがとうございます」

【藤綱 誠】
「お茶…飲みます?」

【マーコ】
「はい」

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