ストーリーテリング〜黒髪のあの子はどこへ行った?〜《孫・優太視点》

※このシナリオはSTFで作ろうと思っていた作品です。私は体調不良のためにこの作品の出品を諦めたので、ここで供養させてください。

【配役】「ストーリーテリング〜黒髪ロングの美少女〜」

【音無頼子】配役・cumin
好奇心旺盛でハイカラなおばあちゃん
あらあら✨と事件に首を突っ込みがち
心とろかす笑顔で事件関係者から深い事情を聴いて、事件を解決してしまう。

【音無優太】配役・凪波うしおさん
福島出身で今は都内住まい、仕事は福祉関係で、サポートセンター幕張で生活に困ってる障害者の悩み相談を受けるのが仕事。
高校時代に少しの間、陸上部に在籍していて、走るのは得意だが、さほど好きじゃない。

【黒瀬みちる】配役・みらさん
幕張に住む黒髪ロングの美少女。
上品で可愛いらしいワンピースと黒いスニーカーをいつも身につけている。
想いや感情が昂ぶると、走り出してどこかへ行ってしまう癖がある。
その対策で走り出す代わりに、紙に考えを描いたり、書き出す事を覚えた。
ちなみに走ることも書くことも出来ないと、パニックに陥ってしまう。
なぜか福島弁が分からないという悩みを、サポートセンター幕張に相談しに来た。

【織田数子】配役・鈴珠さん
幕張総合福祉課の女課長。上司から指示を受けて、近々サポートセンター幕張の職員の誰かを移動させないといけなくて、誰にするか迷い中。


以下本編〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

【音無優太】
(俺、音無優太は福島から上京し、サポートセンター幕張の施設職員。その頃、サポートセンター幕張は建物の改装工事とともにリニューアルして、職員が入れ替わり、 俺は若干28歳で施設長になった。

そして、このサポートセンター幕張は、幕張地域に住む障害のある方、または心に悩みを抱えた方の 悩み相談、生活サポートを行っている事務所である。
施設長になって数日、 悩み相談の利用者さんが訪れた。
…なんとその子は…)

【黒瀬みちる】
「…こ、こんにちはっ‼︎」

【音無優太】
(その黒瀬みちるさんは、黒髪ロングの真っ直ぐな髪を腰まで伸ばし、ただ 顔周りと前髪はくるんとした癖が出ている。とても可愛らしい子で、 年齢は20歳だが見た目は細く華車で背が低く15歳ぐらいに見えた。

その子が悩み相談を持ちかけてきた。その内容はなんとーー)

【黒瀬みちる】
「わ、私。福島弁がわかりません💦」

【音無優太】
(…というものだった…。
…ここは障害者のサポートセンター。
悩みを聞く場所だ。なぜに福島弁??)

【音無優太】
「なんで福島弁が知りたいんですか?」

【黒瀬みちる】
「え、えーと、その、えーと。…すみません。走ります‼︎」

【音無優太】
「え。ちょっと待って」

(ガタガタ)

【音無優太】
「ちょ、ちょっと待った‼︎
はい、黒瀬さん。メモ帳‼︎これに書いていいから‼︎」

【黒瀬みちる】
「あ。た、助かります💦」

【音無優太】
(前の人の引き継ぎをもらっていてよかった。
この黒瀬みちるさんは、パニックになりがちで、気持ちや思いの丈が募ると、
突然、走り出してしまう癖があるらしい。

それの対策として、思いの丈を走って発散するのではなく、 メモに想いを書き連ねて発散するという対処法をしてる。そんな子である)

【黒瀬みちる】
「……あー、すみません」

【音無優太】
(メモをひとしきり書き終えると、彼女は落ち着いた風だった)

【音無優太】
「で、どうして福島弁が知りたいんだい?」
【黒瀬みちる】
「えーっと、福島の言葉が出てくるお話を…」

【音無優太】
「お話?
福島弁が出てくるお話が好きなのかな?」

【黒瀬みちる】
「いえ、そうではなくて💦」

【音無優太】
「あ、僕は福島出身でね。
福島弁といっても東北弁に含まれてて、東北弁は何種類かあるんだよ。あの辺は」

【黒瀬みちる】
「え。そうなんですか。お、お願いします‼︎」

【音無優太】
「はい?」

「私、 福島の東北弁が出てくる物語書いてるんです。
で、福島弁がわからなくて。教えてください‼︎」

【音無優太】
「うーん。じゃあそれが1つ目の悩み相談ってことでいいかな?」

【黒瀬みちる】
「は、はい」

【音無優太】
(そうしてその後、週1回か2回、その子は来て悩み相談をしていく。
それは 福島弁でこれは言いますか?とか
こういうシーンを書きたいんですけど、福島弁だとこうは言いませんか?
などという悩み相談だった。
最初は 小説を書いてるのかなと思ったんだけど、
実は違うようで、絵も描いてるらしい。
なんと 最終的には漫画にしたいと言っている‼︎)

【音無優太】
「漫画。すごいね。
あ、ここ幕張だからコミケ会場も近いから、それ目指してるのかな」

【黒瀬みちる】
「ううん、コミケ 憧れてるけど、怖くて行けてない💦
人がいっぱいで、私みたいなのが行ったら、 はじき飛ばされちゃいそうで」

【音無優太】
「はじき飛ばされる。物理的かな?それとも精神的かな?どっちにしろ、あそこははじき飛ばされない。いろんなものを受け入れる、表現のるつぼですので
…次のコミケ一緒に行ってみますか?」

【黒瀬みちる】
「え!」

【音無優太】
「僕はね、結構、漫画とかアニメが好きでね。中野に住んでるぐらいなんだ」

【黒瀬みちる】
「中野?」

【音無優太】
「中野にはね。おたくの店がいっぱいあるんだよ。まんだらけ。1号館、2号館、3号館、4号館…✨
まあ、そんなわけで、僕は漫画が好きなんだ。
コミケにもたまに行くから、次のコミケの開催日に こっそり2人で行ってみようか。
あ、これは他の職員には内緒だよ」

【黒瀬みちる】
「あ、はい✨(嬉しそうに)」

(音楽流れる🎵)
(コミケを楽しむ様子)

【音無優太】
「黒瀬さん幕張メッセコミックマーケット…コミケ会場はどうだった?」

【黒瀬みちる】
「すごかった。
いろんな表現、いろんなフェチ、
いろんな性癖が網羅されていました✨
ここ、 人間の性癖の博物館ですね‼︎」

【音無優太】
「ふふ、うーん、端的に言えばそうだね」

【黒瀬みちる】
「ああ✨すごかった〜✨
ああ、走り出したいぐらいです‼︎」

【音無優太
「待って。メモ書こうね」

【黒瀬みちる】
「は、はい‼︎」

【音無優太】
(メモに書いてるうちに僕はふっと周りを見渡すと、げっとなった)

【音無優太】
「ま、まずい‼︎(小声で焦る)
ちょっと隠れないと‼︎」

【黒瀬みちる】
「え。なん?なんでですか?きゃ⁈」

【音無優太】
「ま.幕張総合福祉課の女課長さんがいるんだよ。
こんなところで利用者さんと…。
女課長さんが利用者一人ひとりのことは知ってるかわからないけど。
利用者と 施設職員がデートみたいに、一緒にお出かけしてるのを見られたらまずいんだって‼︎」

【音無優太】
(利用者さんに手を出したとなると施設はクビになる。そして僕は柱の影に黒瀬さんをを隠して タバコを吸ってる風を装う。抱え込むように隠した黒瀬さんがぶつぶつ呟きながら、メモを走らせる)

【黒瀬みちる】
「あぁ、近い近い近い。ち、近い近い近い‼︎男の人、男の人、男の人‼︎施設長、施設長、施設長‼︎音無さんが近いよ〜💦恥ずかしいよ〜💦わああ💦」

【音無優太】
(小刻みに震えて口走りながら、短時間で5ページはメモを走り書きしてる黒瀬さん。
こんな時なのに、こちらまでつられて恥ずかしくなりそうだ)

【音無優太】
「う、うん、もう。どうやら巻いたようだ。もう大丈夫だよ」

【黒瀬みちる】
「あ、はい。 はー💦」

【音無優太】
(ほんと可愛らしい子だ。緊張しいで、なんだか守ってあげたくなる。まあ、走り出した時は ほんとに脱兎のごとくで、追いかけて捕まえるのに必死なのだが。
いや、若い頃陸上部やっててよかった 自分て感じです。はい。)

【音無優太】
(後日、施設に来た彼女は福島の写真が必要になったらしい)

【黒瀬みちる】
「イラストも書きたくて、できれば漫画にしたくて…」

【音無優太】
「あ、そうか、福島の写真か。朝日岳だったよね。
あ、なら、朝日岳なら写真あるよ」

【黒瀬みちる】
「写真あるんですか✨」

【音無優太】
「あー、自分ちに福島の風景撮った写真がいっぱいあって。仕事場に持って行くのはアレだから、どこかのカフェとかで見せ…」

【音無優太】
(ちょっと待って。カフェに一緒にってのはなんだ。
それってデートっぽくないか?
はあ…。
でもこの間みたいに有名どころに行って 知り合いとばったり出くわすのも良くない。だから俺は…)

【音無優太】
「知り合いに会うと面倒だから、ほんとに内緒にしてほしいんだけど。うち来て。
福島のアルバム見て、それだけで帰ろう」

【黒瀬みちる】
「あ、はい。わかりました✨」

【音無優太】
(るんるんと嬉しそうに施設を去る黒瀬さん…。本当に可愛いらしい娘だ。と笑顔で見送ってると、何やら後ろに視線を感じた)

【織田数子】
「音無さんこんにちは」

【音無優太】
「あ、お久しぶりです。織田課長」

【音無優太】
(内心慌てまくりながら平静を取り繕う。
この方は幕張総合福祉課の女課長、厳しいと有名な織田数子さまである。
どうやら視察に来てたらしい。
この前幕張メッセで出くわしたのがバレたのだろうか?」

【織田数子】
「音無さん…今の利用者さんとは、どういう関係なんですか?」

【音無優太】
「今のは生活相談に来ていただいてる利用者さんですよ」

【織田数子】
「あの利用者さんは、あなたに恋してる感じに見えました」

【音無優太】
「え⁉︎まさか」

【織田数子】
「あなたにはその気は無いようだけど、いいこと?
施設利用者様と施設職員に恋は厳禁ですよ。
贔屓が出たら、その施設の他の利用者に示しがつきませんからね」

【音無優太】
「は、はい…」

【音無優太】
(そんな感じで、 女課長にはしっかり釘を刺された。
そんななかで施設長としてはギリギリ、いや、アウト中のアウトかもしれないが、利用者の黒瀬さんを自宅に招き、福島のアルバムを見せる日が来た)

【黒瀬みちる】
「わああ、福島の写真✨こんななんだ。すごいですね‼︎ところで。
…なんでカメラ起動して動画撮ってるんですか?」

【音無優太】
「いや、これはやましいことがないっていう証拠に」

【黒瀬みちる】
「やましいこと…?ああ、なるほどです。はい💦」

【音無優太】
(この子はよく赤面をする。赤面が可愛いのだが、あまりに放置しておくとまた走り出したりするので、メモ帳を渡すのは恒例になっていた)

【黒瀬みちる】
「あ、あのですね。
私の話ですね。お金持ちのお坊っちゃんが社会に出るときに、 なんていうか、資産家のお父さんのコピーみたいになるのが嫌というか、そ、その…、誰かのコピーになって、自分がなくなってしまうのが嫌だったんです」

【音無優太】
「資産家のお父さんのコピー?」

【黒瀬みちる】
「はい」

【音無優太】
「コピーってクローンか何か?」

【黒瀬みちる】
「いえ、そういうのじゃなくて、社会常識、お父さんの経営方針とかの思考のコピーです」

【音無優太】
「思考のコピー?」

【黒瀬みちる】
「はい。世の中の人はあんまり意識してないんですけど、
社会って思考とか考え方をコピーしてペタってしてるようなものなんです。
社会に出ると そういう側面ないと生きていけませんが、なんというか、それで自分という個を失うような…それと戦ってる少年なんです。
この少年には母が亡くなった後で、父からの常識を植えつけられるのが、辛くて辛くてたまらなくて、お父さんと喧嘩して 家を出るんです。
そして 朝日岳の川で自から命を断とうとするんです」

【音無優太】
「えええ!?」

【黒瀬みちる】
「うん。でもそしたらお母さんの幽霊とマタギのおじいさんが助けてくれるんです」

【音無優太】
「おおー、マタギのおじいさん‼︎」

【黒瀬みちる】
「はい。で、この幽霊のお母さんは、マタギのおじいさんに恋しちゃうんです」

【音無優太】
「恋…!
え。2人は幽霊と人間なのに知り合いだったのかい?」

【黒瀬みちる】
「はい。お母さん幽霊は生きてた頃の初恋の相手がそのおじいさんで。
おじいさんにとっての最後の恋の相手がその幽霊のお母さんだったんです」

【音無優太】
「はあ、なるほどね
それで、何年も過ぎて子供ができて、何かでお亡くなりになって、魂になったお母さん。息子さんの命の危機にお母さんとマタギのおじいさんが立ち向かう。
いい話じゃないか」

【黒瀬みちる】
「はい。でも、恋しちゃダメですよね」

【音無優太】
「え。」

【黒瀬みちる】
「恋しちゃダメですよね。幽霊と人間なんて、身分違い、立場違いですからね。どうなんでしょうね💦」

【音無優太】
(それは自分にもオーバーラップした。利用者と施設長、人と人としては 愛し合っていいし、恋もしていいと思う。
ただ前提として、先生と生徒のごとく
恋はしてはいけないという前提になっている。社会常識だ。

それを思ったが、だがそれ以上はお互い口に出せなかった)

【黒瀬みちる】
「それに私、まだペンに慣れてなくて。線描くのも遅いし、ペン全部入れてたら 死んじゃいそうなぐらい疲れちゃうんですよね。これじゃ漫画って言えませんよね」

【音無優太】
「いや、鉛筆で書かれた漫画もなくはないぞ。
かの有名なアニメ監督・宮崎駿様だって、『風の谷のナウシカ』という漫画を鉛筆で書き切ったんだから」

【黒瀬みちる】
「え?」

【音無優太】
「みちるさん、今度サポートセンター幕張と近辺ののサポートセンターが 合同で障害者アートフェスっていうのをやるんだ。アートフェスは主に手芸品とか絵画とか、 そういう手作りのものの展示だけど、君の作品も出してみない?」

【黒瀬みちる】
「え、ええ。あ、た、
いいんでしょうか。私、私の作品出していいんでしょうか。
受け入れてもらえるかわからないし。批判とか受けたりとかしたら…、私…‼︎」

【音無優太】
(また走り出しそうになるみちるさんにメモ帳を手渡す
ぐわ〜っと5分ほど書いた後に彼女は落ち着きを取り戻した)

【黒瀬みちる】
「はあ。考えてみます」

【音無優太】
(彼女のこの才能が日の目を見る日が来る。それだけで俺は嬉しくなってしまった)

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