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値引きシール

夜遅く、友だちと遊んだ帰りにスーパーに寄って明日イベントで使う食材を買った。

晩ごはんが早かったから小腹が減ってた。帰ってから下ごしらえやら家事やらやらなくてはならないので、エネルギーをば、と思って、3個入りのお稲荷さんを買った。

「それもっと安くなるんでちょっと待ってください」ちょうど、値引きシールを貼る時間だったらしい。お稲荷さんにはすでに3枚のシールが重ね張りされていて84円になってる。もう値引きする余地ないだろ?と待つ。

30秒くらい待っただろうか。なんかシールを貼るのを2回くらいやり直したりしててこずっていた。まっている間、顔写真付きのお兄さんの名札を見る。こんな顔をしているのか。マスクしてるからこの仕様なのかな。

「おまたせしました」といって渡されたお稲荷さんには4枚目の42円のシールがはられていた。想像を超える値引き。

車の中で、開けて食べた。普通に美味しかった。私はちょっと急いでいたので、シール待ちの時間が少しもったいなく感じたのだが、お兄さんにとっては、きっと安いことのほうが大事で、私がきっと喜ぶと思ってやってくれたんだろうな。

なんか、多様性を大事にするなら、きっとお兄さんの優しさは私の時間を奪ったという加害性を持ってしまうんだろうけど、私は嬉しかったんだよな。

子供から折り紙で作ったお花をプレゼントされたみたいな、そんな気持ち。

私は、マイノリティで、多様性という言葉には救われた側だけどね。私は多様性に振り回されすぎて「なにもしない」を選んじゃうことが多いんだけど、もう少しおせっかいでもいいんだろうなぁ。

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