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「最初で最後の母の日」【母の日/亡き母への感謝の手紙】

伝えたくても伝えられない想いがある。

オトシネマでは、大切な人に向けて書かれた実際のお手紙をAI音声合成技術(全文機械による読み上げ)で代読する「AIボイスレター」を配信しております。

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さて、5月8日(日)は「母の日」という事で、今週一週間は、お母様に向けて綴られたお手紙を代読する「Mother's Dayボイスレター」をお届けいたします。

「最初で最後の母の日」

■お手紙送り主:しょう様(東京都・30代男性)
■朗読:ミヤザキマサト(AI声優)

(※以下Spotifyリンクよりお手紙読み上げ音声のご視聴が可能です)

「最初で最後の母の日」

背景、お母さん。
そちらでは元気に過ごしていますか?

僕は大人になりましたが、
相変わらず、ほのぼのとした毎日を過ごしています。

女手一つで、僕の事を育ててくれ大変だったでしょ?
僕自身子供の頃に、何度も何度も反抗期があり、そのたびによく口喧嘩をしていましたね。ごめんなさい。

そんなお母さんを喜ばせたく、中学三年生の時、あれが最初で最後の母の日のプレゼントでしたね。

お母さんに買っているところをバレてしまわないように、1人で隣町まで片道30分以上かけ、自転車を漕ぎ、花を買いに行き、生きてきた中で一番の悩ましい買い物でした。

今でも鮮明に覚えております。

リビングで休んでいるお母さんに、気恥ずかしい気持ちが高ぶり、買ってきた花を「母の日でしょ?」と素気なく渡してしまった事、後悔しています。

お母さんもあまり感情を出さずに「ありがとう」と、その簡単な言葉で片付けましたが、翌日から玄関にその花を花瓶に飾り、毎日毎日花瓶の水を替えている時、とても優しい顔をしていましたね。
僕は、むず痒い感情でした。

それから時が過ぎ、高校一年生の秋、病気で、お母さんはふと僕の前から急に姿を消してしまいました。

僕の心はぽっかりと穴が空いた状態。

遺品整理をしている時にふと見つけた小説本に手作りの栞を見つけ、その栞の中には、僕が母の日に渡したガーベラの花ビラがたくさん詰まっており、それをみた瞬間、涙がとめどなく溢れ出してしまいました。

こんなのずるいです。それでも感謝しています。

その年から必ず毎年母の日に、お墓に花を飾りに行っています。
ちゃんと見えていますか?

もちろん母の日で渡した、ガーベラの花だよ。
ちゃんと覚えていますか?

あまり照れ臭くて今まで言えてなかったけど、お母さんありがとう。

またね。

(おわり)

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